【詳細28日】“ガザは危機的 速やかな戦闘休止を”国連

イスラエル軍による攻撃が続くガザ地区では、これまでの死者が3万人に迫っています。国連は、住民の4分の1にあたる57万人余りが飢餓の一歩手前の状態に直面し、危機的な状況に陥っていると指摘し、速やかな戦闘の休止の実現が必要だと訴えています。

※イスラエルやパレスチナに関する日本時間2月28日の動きを随時、更新してお伝えします。

ガザ地区保健当局 “28日までの死者 3万人に迫る”

ガザ地区への攻撃を続けるイスラエル軍は、28日も、過去一日の間に南部ハンユニスなどで地上部隊や戦闘機による攻撃を行ったと発表しました。

また、イスラエル軍は27日、ガザ地区での作戦でハマスの武器の製造施設や倉庫を見つけたと明らかにし、空爆や地上作戦の様子をうつした映像やハマスが使っていたとみられる武器などの写真をSNSに投稿しました。

ガザ地区の保健当局によりますと、28日までの死者は2万9954人にのぼり、3万人に迫っています。

国連の幹部 “少なくとも57万6000人が飢餓の一歩手前に”

国連の各機関は27日の安全保障理事会でガザ地区の最新の人道状況について報告し、OCHA=国連人道問題調整事務所の幹部は、200万人以上の人口の4分の1にあたる少なくとも57万6000人が飢餓の一歩手前の状態に直面しているとして、危機的な状況に陥っていると指摘しました。

そして「このまま何もしなければ、ガザ地区に飢餓が広がるのは避けられないだろう」と述べ、人道状況を改善するために速やかな戦闘の休止の実現が必要だと訴えました。

避難民支援の団体の事務局長「ラファは全く耐えがたい状況」

戦争や災害などで住まいを追われた移民や避難民を支援する国連のIOM=国際移住機関のエイミー・ポープ事務局長が来日し、27日、NHKの取材に応じました。

このなかでポープ事務局長は、まずパレスチナのガザ地区の情勢について、「異例な規模の移住が極めて狭い地区で起き、危機的な状況だ。人道支援を届けることは難しく、支援の必要性は天文学的規模で増大している」と訴えました。

さらに、イスラエル軍が多くの人が避難している南部ラファに地上作戦を進める構えを見せていることについては、「1か所に大勢が集中し安全な場所が極めて限られているなかで、さらに他の場所に移動を強いている。人々にとって全く耐えがたい状況だ」と述べ、強い懸念を示しました。

交渉仲介役のカタール「まだ合意は得られていない」

アメリカのバイデン大統領は26日、カタールなどが仲介する戦闘休止と人質解放をめぐる交渉が近くまとまり、3月4日までに戦闘休止が実現することに期待を示しましたが、カタール外務省の報道官は27日、「まだ合意は得られていない」と述べました。

ただ、3月10日ごろに始まるイスラム教の断食月、ラマダンまでに戦闘の休止を実現させることを目指しているとして、働きかけを強める考えを強調しました。

交渉をめぐっては、ロイター通信が27日、戦闘を40日にわたって休止し、ハマスが女性や高齢者などの人質40人を解放する一方、イスラエルも刑務所に収容しているパレスチナ人およそ400人を釈放するなどの提案を、ハマス側が受け取ったものの、意見の不一致があると伝えていて、交渉が速やかにまとまるかは不透明な状況です。

また、アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズは、バイデン大統領とイスラエルのネタニヤフ首相の政治スケジュールが正反対だと伝えました。

記事によりますと、ネタニヤフ首相は10月7日のハマスによる攻撃を防げなかった責任を問われる時期を先延ばしすることに関心を持つ一方、バイデン大統領は秋の大統領選挙を前にできるだけ早く戦闘を終わらせたい思惑があると分析しています。

辻外務副大臣 UNRWAへの資金拠出「再開するべく協議」

パレスチナ暫定自治区のラマラを訪問した辻外務副大臣は27日、現地で取材に応じ、ガザ地区の住民の支援にあたるUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)への資金拠出について、「さまざまな国際機関を通じてガザ地区に物資が届くような措置は行っている」と述べました。

そのうえで「疑惑が解明された瞬間に援助ができるような準備をしているし、打ち合わせもしている」と述べ、国連による調査が終わりしだい、速やかに資金拠出を再開するべく、UNRWA側と協議をしていると説明しました。

UNRWAをめぐっては、一部の職員が去年10月のハマスによるイスラエルへの攻撃に関与した疑惑が出たことを受けて、日本を含む10か国以上が資金の拠出を停止しています。

疑惑を受けて資金拠出を停止する国が相次いだことで、UNRWAのラザリーニ事務局長は、3月から資金不足となる可能性があり、活動に深刻な影響が出ると訴えています。