【一問一答】大谷翔平 移籍後初のオープン戦でホームラン

大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手が移籍後初めて出場したオープン戦で、ツーランホームランを打ってチームの勝利に貢献しました。

記事後半では大谷選手のすべての打席を詳しくお伝えするとともに、試合後の報道陣の取材に対する一問一答もお伝えしています。

ドジャース移籍後初のオープン戦でホームラン

大谷選手は27日、アリゾナ州グレンデールで行われたホワイトソックスとのオープン戦に2番・指名打者で先発出場し、1回の打席に入る際には大谷選手の名前がアナウンスされるとスタンドからは大きな歓声と拍手が送られました。

第1打席は先発の左ピッチャーに対して4球目のアウトコース低め、160キロの速球を見逃して三振でした。

3回の第2打席は1アウト一塁三塁のチャンスで大谷選手に回りましたが、初球の変化球を捉えきれずダブルプレーに倒れました。

そして、5回の第3打席はランナー1人を置いて打席に入り、フルカウントからの6球目、152キロの速球につまりながらもレフトスタンドまで運び、ツーランホームランを打ちました。

大谷選手のオープン戦初戦は3打数1安打1三振、ホームラン1本で2打点の内容でした。試合はドジャースが9対6で勝ち、オープン戦で負けなしの5勝1引き分けとなりました。

28日のレンジャーズ戦には山本由伸投手がオープン戦で初めて登板する予定ですが、大谷選手の出場についてはドジャースのロバーツ監督が「2日連続の出場はそのうちやるだろうが、あすはしないと思う」と話しています。

大谷翔平「順調に戻ってくることができてよかった」

大谷選手は予定の第3打席を終えたあと、報道陣の取材に応じました。大谷選手は「まずは予定どおりに出られて、終わることができてよかった。体の強さもよかったし、1打席目から3打席目まで徐々に感触もよくなっていった。手術もあったが、まずこの時期に順調に戻ってくることができてよかったと思う」と久しぶりの実戦を振り返りました。

打順はエンジェルス時代に慣れ親しんだ2番に入りましたが「僕はどこでもいいという感じだった」と話し「まだ1試合目なのでこれからだと思う。チームに貢献して早くチームに認めてもらえるように頑張りたい」と話しました。

開幕戦出場へ リハビリと調整 着実に進む

初実戦で早速飛び出した大谷選手のホームランは、来月の開幕戦出場に向けてリハビリと調整が着実に進んでいることを改めて印象づける一打となりました。

大谷選手はことしのキャンプで、去年9月に手術した右ひじのリハビリと並行して打者としての調整を続けていて、シーズン開幕までに50打席に立つことを目安としています。これにはオープン戦や実戦形式の練習のほか、屋内練習場にあるピッチングマシンを使った打撃練習も含まれています。

実戦形式の打撃練習ではすでに外野のフェンスを越える大きな当たりを見せ、順調にリハビリが進んでいることを示していた大谷選手ですが「集中力はもちろん、ファンの人や審判がいる環境では出力的に違う」と話していて、実戦でどのようなバッティングを見せるのか注目されていました。

そんな中で飛び出したホームランに、大谷選手自身も「1席目から3打席目まで徐々に感覚もよくなった」と納得した様子でした。

「あとは見逃したコースが、自分の思ったとおりのコースかどうかがいちばん大事だ」とシーズンに向けてクリアすべき課題についても話していましたが「無事に終わってよかったというのが今の気持ち。手術もあったが、なによりもこの時期にこうやって戻ってこられて、それがいちばんよかった」とおよそ半年をかけて実戦でプレーするまでたどりついたことに安心している様子でした。

今後は来月20日に韓国で行われるパドレスとの開幕戦に出場するのかどうかが焦点となりますが、大谷選手は「きょうは体の感覚はここ最近でいちばんよかった」としたうえで、目安としている50打席を念頭に「ペース的には今の段階では予定より少し早いくらいの感じだと思う。量自体はこなせるのであとは感覚次第だ」と語り、開幕に向けてステップをまた1つ上がったことを感じさせました。

ドジャース ロバーツ監督 大谷のホームランを称賛

ドジャースのロバーツ監督は試合後、大谷選手のホームランについて興奮気味に称賛しました。

ロバーツ監督は「ラインナップがそろって私自身とても楽しかった。フライだったが、それが球場の外まで行ってしまって、ファンも大喜びだった。彼は本当に特別な選手だ」と笑顔で振り返りました。そして、初めての実戦で早速ホームランを打ったことについて「とてつもないことだ。彼のキャリアにとって大きな瞬間はこれまでもあったけれど、これからもまたこういう瞬間が来るのだと感じている」と期待を寄せていました。

また、対戦相手のホワイトソックスの先発キャッチャーはエンジェルス時代に大谷選手とバッテリーを組み、今シーズン移籍したスタッシー選手でした。

大谷選手が打席に入る際にはあいさつを交わす姿もあり、スタッシー選手は「彼と会うことができて本当によかった。彼にはベストを尽くしてほしいが、ホワイトソックス戦は勘弁してほしい」と笑顔で話していました。

《詳細》ドジャース大谷翔平 初のオープン戦

【第1打席】笑顔で打席に 見逃し三振

2番・指名打者で出場の大谷選手は、1回の第1打席で先発左腕、クロシェ投手と対戦しました。

クロシェ投手とエンジェルス時代の2021年に対戦したことがあり、その際は2打数ノーヒット、2三振に倒れていました。

大谷選手は大きな歓声に応えながら笑顔で最初の打席に入り、豪快なスイングを見せる場面もありましたが、4球目を見逃して三振でした。

打席に入る前にはエンジェルス時代のチームメートで、今シーズン、ホワイトソックスに移籍したキャッチャーのスタッシー選手とあいさつを交わす姿も見られました。

ドジャースの1回の攻撃は1番のベッツ選手がセカンドゴロ、2番の大谷選手が三振、3番のフリーマン選手がショートゴロに倒れ、無得点でした。

【第2打席】チャンスでダブルプレー

大谷選手の第2打席は1点を追う3回、ノーアウト一塁三塁のチャンスの場面で迎えました。

ピッチャーは3人目、右腕のアンダーソン投手で、大谷選手は初球を打ってセカンドゴロのダブルプレーに倒れました。

この間に三塁ランナーがかえりドジャースは同点に追いつきました。

【第3打席】ツーランHR 詰まりながらもフェンス越え

第3打席は1対4と3点を追う5回。2アウトでランナー1人を置いて迎えました。ホワイトソックスのピッチャーは5人目、昨シーズン、エンジェルスにも所属していた右腕のリオン投手でした。

大谷選手はフルカウントから6球目を打ってツーランホームランを打ちました。

インコースの速球にややタイミングは遅れましたが、ひじをうまく畳んだスイングで打球は失速することなくレフトのフェンスを越えました。

去年9月に受けた右ひじのじん帯修復手術から5か月余り。まだリハビリの途中の段階ながら昨シーズン、ホームラン44本を打ってホームラン王を獲得したパワーを存分に見せつけ、来月20日のシーズン開幕に向けて弾みをつけました。

3番フリーマンとの “約束”果たす

5回のドジャースの攻撃は8番バッターから始まり、ランナーが1人出たため大谷選手に打席が回りました。

大谷選手は打席後の取材で、後ろの3番を打つフリーマン選手から声をかけられていたことを明かし「僕で終わっていたらフレディが6回の守備に行かないといけなかったので『絶対打ってくれよ』と言われていた。彼に回せてよかった」と笑顔を見せました。

“無事に”次の回の守備につくことなく第3打席に立つことになったフリーマン選手は、ホームにかえってきた大谷選手を満面の笑顔で迎え、観客もスタンディングオベーションで大谷選手の初ホームランをたたえました。

大谷翔平 オープン戦後の【一問一答】

大谷翔平選手はドジャース移籍後、初めての出場となったオープン戦のあと、報道陣の取材に応じました。ホームランも飛び出した試合を終えた心境、リハビリの状況、今後の見通しなどについておよそ10分間、質問に答えました。

Q.初の実戦を振り返って?

A.そうですね、まずは予定どおりに出られたっていうことと、終われたっていうことがいちばんよかったと思います。

Q.しっかり結果を出した。スイングやリハビリも順調か?

A.そうですね、打席を重ねるごとに反応もよかったかなと思うので、徐々に徐々にですけどよくなっていたかなと思います。

Q.ホームランは入ると思ったか?

A.いや、ちょっと(打球が)高いかなと思ったので(湿度が低く乾燥していて打球が飛びやすい)アリゾナでどうかなというところだったかなと思います。

Q.移籍後初の試合で、緊張などはあったか?

A.緊張はなかったですね、まあスプリングトレーニングなので、まだそういう段階ではないかなと思いますし、自分の調整がまずいちばん大事かなと思います。

Q.2番というのはどう捉えている?

A.まだきょう初めてなので。でもやること自体は変わらずにストライクだけしっかり自分のスイングする、シンプルなところがいちばんかなと思います。

Q.フリーマン選手が後ろにいることで、ストライクが増えると思うか?

A.まあ立ってみないともちろんわからないですし、前後でもちろんムーキー(ベッツ選手)もフレディ(フリーマン選手)も、あとそれ以降もいいバッターがもちろん続くので、どう変わっていくのかなというのももちろん楽しみですし。1打席1打席自分も勉強しながら対応していきたいなと思います。

Q.エンジェルスのデビューと比べてどうだった?

A.あー。
あの時は何がどういうふうに進んでいくのか全くわからなかったので。その時とはまた全然違うかなと思います。

Q.ファンが列を作ってサインを求めていた。ドジャースでそういった光景を見るのはどんな気持ちか?

A.きょうもたくさんの人に見に来てもらって、歓声もすごく大きかったですし。何よりもチーム関係なく、まずこの時期にこうやってまた戻って来られて、手術もありましたけど順調に戻って来られて。まずそれがいちばん、きょうよかったかなと思います。

Q.ホームランも出た、3打席を振り返って?

A.まあ振ったのもよかったですし、さっきも言いましたけど1打席目から3打席目まで徐々に感覚もよくなってきているので、あとは見逃したコースが、自分の思ったとおりのコースかどうかが、あとはいちばん大事かなと思います。

Q.体の感覚は?

A.感覚もよかったです。まあ、体自体の強さもよかったですし。ケージで振ってる感じも、ここのところのなかではいちばんよかったんじゃないかと思うので。あとは無事に終わってよかったなというのが今の気持ちかなと思います。

Q.スタンディングオベーションもあったが、ドジャースの一員になった実感は?

A.そうですね。まだ1試合目なので、これからかなと思いますけれど、しっかりとチームに貢献して早くそういうふうに認めてもらえるように頑張りたいと思います。

Q.ホームランはフルカウントからだった。強振ではなかった?

A.どうなんですかね、まあ普通な感じですね。まあ、別に長打を狙ってるわけではなかったですし、全体的に言えることですけど、シンプルにゾーンを振るっていう。

Q.手術明けで体のケアは?

A.ケアは、んー、まあその、細かい動きのチェックだったりとか、トレーニングだったりとかっていうのは週に何回かあって、あとはトレーナーの人に見てもらう。あとは数週間に1回自分のPT(フィジカルセラピスト)の人、来てもらうタイミングでチェックしてもらうって感じです。

Q.終わった後監督や選手からことばは?

A.そうですね、フレディ、フリーマンが、たぶん僕が終わってたらもう1回守備に行かないといけなかったので「絶対打ってくれよ」って言われていたので。回せてよかったなと思います。

Q.ベンチで言われていた?

A.前の回ですね、前の回の攻撃が終わったとき。

Q.このキャンプで下半身や体幹のメニューをよく行っているが、その意図とバッティングへの影響は?

A.いやまあ、トレーニングは一貫して、もう別に年単位で変えるとかっていうことではなくて、10年20年のスパンで考えてやるものなので。ことしは手術はあったのでそれに適したトレーニングはもちろんしますけど、全体的なフィジカルの強化は例年どおりだと思います。

Q.ピッチャーとしてのリハビリはそこまでしていないが、それはバッターとしての出場を早くするため?

A.いやピッチャーのリハビリもしてます。トレーニングだったり。まだスケジュール的に投球を再開する段階ではないというか、スケジュール的にまだなだけで。

Q.クラブハウスで外野手用とファースト用のミットを持っていた意図は。

A.いやまあ、そういうこともあるかもねっていう。みんなに言えることですけど。そうなってからでは遅いので。事前の準備がどういう時も大事かなと思います。

Q.ノックも受けていく?

A.どうなんですかね、まだその段階ではないかなと、もちろん投げられなければすることもないですし。そこは優先事項から外れているので。そこはまあシャグ(外野での球拾い)とか、何て言うんですかね、トレーニングメニューというか、コンディションの一環でランニングしたいなという時に入ることはあると思いますけど。そこまでやることないかなと思います。

Q.きょうは愛犬は試合を見ている?

A.いや、見てないんじゃないですかね。

Q.振っていいボールと振ってはいけないボールの見極めはどうだった?

A.3打席目はまあまあよかったですかね。ただあの、たぶん練習してるボールとか、予想していないボールをたぶん投げてたので、そこはまあチェック外でしたけど。ある程度自分が振りに行っていいボールに対してアプローチできていたかなと思うので、はい。

Q.2番の打順について監督と話は?

A.いや僕はもうどこでもいいって感じだったので。まあ前後どう変わるかわからなかったですし、監督がどういうふうにやりたいのかっていうところに対して僕が言うことはもちろんないので。好きなように、そこに対応していけたらなと思ってました。

Q.開幕に向けての打席数は間に合うか?

A.ペース的には越えてくると思いますね。今の段階ではちょっと早いくらい、ちょっと多めに入ってくらいの感じだと思うので、十分にこなせるかな、量自体はこなせるかなと。あとは感覚次第かなと思います。

大谷 外野用のグローブとファーストミットを用意

この日の試合前のロッカールームでは、大谷選手が自分のロッカーで外野用のグローブとファーストミットを箱から取り出す姿がありました。

大谷選手は今シーズン、去年、右ひじの手術を受けたためバッターに専念することになっていますが、アメリカではひじの回復状況によっては指名打者だけではなく守備につく可能性もあるのではないかと予想するメディアもあります。

大谷選手はグローブを用意していたことについて「みんなに言えることだが、守備につくということもあるかもしれない。そうなってからでは遅いので事前の準備がどんなときも大事だと思う」と話していました。

そのうえで、今後守備の練習も行うのかという質問に対しては「投げられるようにならなければできることもないし、まだその段階ではない。外野での球拾いなどトレーニングの一環としてやることはあるかもしれないが優先事項からは外れている」と慎重に進める考えを示しました。

ロバーツ監督は、大谷選手の起用について「今は指名打者としての起用しか考えていない」としたうえで「準備をしているのはすばらしいことだ。彼がドジャースがよりよくなり、勝つために必要だと感じてそうしているのならその考えに賛成だ」と話していました。

◇177日ぶりの実戦

大谷翔平選手はこの日、ドジャースのユニフォーム姿で初めてのプレーとなりました。

実戦に出場するのは、エンジェルスに所属していた去年9月3日のアスレティックス戦以来で177日ぶりでした。

また、ドジャースの上位打順は1番にベッツ選手、2番に大谷選手、3番にフリーマン選手の豪華なメンバーがそろいました。ベッツ選手は2018年にレッドソックスでシーズンMVP=最優秀選手を受賞し、大谷選手は2021年と2023年、それぞれ満票でMVPを受賞しました。

フリーマン選手もブレーブス時代の2020年にMVPを受賞していて、MVPをあわせて4回受賞している3人で作る上位打線は、相手投手にとって脅威となります。

◇打順に注目集まる

大谷選手がドジャースの強力打線の中で、何番を打つのかについては移籍決定直後から話題となっていました。

ドジャースの上位打線はこれまでいずれもMVP=最優秀選手の受賞経験があるベッツ選手が1番、フリーマン選手が2番とほぼ固定されていました。

ここに昨シーズン、アメリカンリーグのホームラン王である大谷選手が加わったことで、アメリカのメディアは盛んに打順の予想を行ってきました。

ロバーツ監督も大谷選手の入団会見の際に「すばらしい選択肢がある」と話し、大リーグ屈指のラインナップになる強力打線に期待を寄せていて、今月上旬のファン感謝イベントではファンの声援の大きさで、3人の打順を決めると話すなど繰り返し話題にしてきました。

実際に発表された打順は1番ベッツ選手、2番大谷選手、3番フリーマン選手となり、ロバーツ監督はこのねらいについて「翔平のあとにフリーマンを置くことで彼の勝負の機会が増えるし、得点のチャンスも増えるだろう」と話しています。また「選手たちはとても興奮している。翔平が加わることで私たちはよりよくなる」と話していました。

ファン「特大のホームランが見たい」

現地時間の午後1時すぎから始まる試合に備えて、大谷選手は午前中からチームメートとともにグラウンドに出てウォーミングアップをしたあと、走塁練習などで体を動かしました。

試合が行われる球場周辺には平日にもかかわらず、開場前から大勢のファンが集まっていて、スポーツ史上最高額の契約で移籍した大谷選手のプレーに現地の期待も高まっています。

姉妹で訪れたという女性は「とても興奮しています。彼は才能にあふれた選手で、移籍後最初の試合を見ることができてうれしいです。ホームランを見たいです」と話していました。

また、日本から息子の高校の入学祝いで親子で訪れたという男性は「試合に出るということを知ってロサンゼルスからこちらに移動してきました。とてもラッキーです」と楽しみにしている様子で、息子も「とても楽しみです。学校で友達にたくさん自慢したいです。特大のホームランが見たいです」と話していました。