ノーベル平和賞受賞のロシア人権団体幹部に禁錮2年6か月の判決

おととしノーベル平和賞を受賞したロシアの人権団体「メモリアル」の幹部が、軍の信頼を失墜させた罪に問われた裁判で、首都モスクワの裁判所は27日、禁錮2年6か月の判決を言い渡しました。プーチン政権のもとで一段と圧力が強まっています。

ロシアの人権団体「メモリアル」は、ソビエト時代から人権侵害の監視に取り組んできた実績が評価され、おととしノーベル平和賞を受賞しました。

「メモリアル」の幹部の1人、オレグ・オルロフ氏は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を批判していましたが、ロシア当局は軍の信頼を失墜させる文章をSNSに投稿したなどとして、去年、オルロフ氏を起訴しました。

モスクワの裁判所は去年10月、オルロフ氏に対して罰金15万ルーブルの判決を言い渡しましたが、検察当局がこれを不服として裁判のやり直しを求めました。

オルロフ氏は一貫して無罪を訴えましたが、モスクワの裁判所は27日、オルロフ氏に対し、罰金刑より重い禁錮2年6か月の判決を言い渡しました。

判決後、人権団体「メモリアル」は声明を出し「ウクライナへの侵略に反対してきたオルロフ氏が当局によって刑務所に送られた。この判決はロシアでの人権活動や国家への批判を封じ込めようとするものだ」と非難しました。

オルロフ氏に対してはロシア法務省が今回の判決を前に外国のスパイを意味する「外国の代理人」に指定していて、プーチン政権のもと反戦を訴える個人や団体に対して一段と圧力が強まっています。