ブレーキとアクセル 踏み間違い事故はなぜ起きるのか?

アクセルとブレーキを踏み間違えたという事故が後を絶ちません。なぜ事故が起きてしまうのでしょうか。

後を絶たない踏み間違い

交通事故総合分析センターによりますと、ブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故は、2022年の1年間に3050件起きていて、48人が死亡、4289人がけがをしています。

車の技術の進化などもあり事故の件数はこの10年で半減しているものの、依然として多くの人が被害にあっています。

事故を起こしたドライバーを年代別に見ると、▽70代が23.4%と最も多く、次いで▽60代が16.1%、▽20代が14.7%、▽80代が13.6%などとなっています。

センターの分析によりますと、ブレーキを踏もうとしてアクセルを踏んで起きた事故は▽駐車場で方向転換や車を停めようとした時、▽交差点手前で停止している車の後ろを走っていた時、▽施設から道路に出ようとした時などに多く起きているということです。

アクセルとブレーキの踏み替えが多い時や、車や歩行者に対しさまざまな注意を払う必要がある時、乗り慣れない車や、サンダルなど不適切な履物の時も起きやすいといいます。

高齢ドライバーは特に注意が必要

高齢ドライバーは踏み間違いに特に注意が必要だといいます。

「視覚機能の低下」や「注意力、集中力の低下」、「情報処理の遅れや誤り」などの高齢化の影響に加え、慌てたり、パニックになったりして踏み間違いやすいといいます。

過去の踏み間違い事故を分析した結果、55歳以上のドライバーは、1度ぶつかっても止まれずに他のものに衝突してしまう確率が高く、複数の人を事故に巻き込んでいることも分かったということです。

高齢ドライバーは車をバックさせるときも注意が必要です。

センターが検証したところ、窓を開けて後ろを向くなど、上半身を右にひねる姿勢の時は太ももが大きく開いたりして、右足の先がアクセルペダル側に近づく傾向にあるといいます。

サポートカーや免許返納も

高齢ドライバーの事故を防ぐための技術も進歩しています。

その一つがサポートカーです。

▽前方の車や人を検知して自動でブレーキがかかる機能や、▽ブレーキと間違えてアクセルを強く踏んでも、急発進しないように制御する装置などを備えている車です。

自治体によっては、購入費用の補助を出しているところもあります。

また、警察は運転に不安がある人には免許の返納を呼びかけています。

踏み間違い事故 防ぐには

交通事故総合分析センターでは、踏み間違い事故を防ぐための運転の心構えをまとめています。

▽クリープ現象の活用
駐車場などでは、ブレーキに足を乗せた状態で、アクセルを踏まずに低速で進むクリープ現象をできる限り活用すると、踏み間違いや急発進の防止に効果的だといいます。

▽予期せぬ歩行者や車に注意
予期せぬ所から歩行者や車が出てきて慌ててパニックにならないために、周辺の状況を把握し、注意力を高め、冷静な対応ができるよう心がけましょう。

▽運転操作の再確認
身体能力や柔軟性の低下により体が思うように動かず、意図しないところで操作ミスすることも考えられます。
シートの位置や、正しい運転姿勢をとることが大切です。

▽運転に集中
ふだんから気持ちに余裕を持った運転を心がけるとともに、運転中はカーナビの操作などを同時に行わず、運転に集中しましょう。悲惨な事故を繰り返さないために、一人一人の心がけが大切だといいます。