衆院 政倫審 28日と29日開催の方向で調整 公開の是非 協議続く

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて、与野党は、28日と29日衆議院政治倫理審査会を開く方向で調整していますが、野党側が公開を求めているのに対し、自民党は議員に限って傍聴を認める案を提案して折り合っておらず、午後も協議が続くものとみられます。

今回の問題で、与野党は自民党の松野 前官房長官ら安倍派と二階派の事務総長を務めた5人からの申し出を受けて、28日と29日衆議院政治倫理審査会を開く方向で調整してきましたが、野党側が公開での開催を求めているのに対し、自民党は議員に限って傍聴を認める案を提案し、折り合っていません。

このため、27日も午前から審査会の与党側の筆頭幹事を務める自民党の丹羽秀樹・衆議院議員と野党側の筆頭幹事を務める立憲民主党の寺田学・衆議院議員が対応を協議しました。

この中で丹羽氏が5人の意向も踏まえ、議員に限って傍聴を認める案を改めて提案したのに対し、寺田氏は応じられないという考えを伝えました。

このため幹事会は午前中開催されませんでした。

一方、野党側は協議を行い、公開での開催を求めていくことを改めて確認しました。

午後も与野党で協議が続くものとみられます。

与党側 筆頭幹事 丹羽氏「弁明する議員の思いを尊重」

衆議院政治倫理審査会の与党側の筆頭幹事を務める自民党の丹羽秀樹・衆議院議員は記者団に対し「議員の傍聴を認めるという案を出したが、野党側は『フルオープンで』ということで協議は整わなかった。審査会は弁明する議員の思いを尊重する場なので、議員の考えを聞きながら野党と協議したい。あすの開催に向けて努力し、野党の言い分が通らないから審査会が開かれないということがないようにしたい」と述べました。

また申し出た5人の中に報道陣への公開を了承している議員がいるのかどうか問われたのに対し「現在確認中だが、一部そういった議員がいるという話もある」と述べました。

野党側 筆頭幹事 寺田氏「完全公開要求で一致」

衆議院政治倫理審査会の野党側の筆頭幹事を務める立憲民主党の寺田学・衆議院議員は記者団に対し「与党側からは、議員傍聴のみの非公開な形での開催を望むという返答しかない。野党側で話し合い、一致して完全公開の形で審査会が開かれるよう交渉していくことを改めて確認した。ボールは与党側にあり、5人が完全公開の形で国民に直接、説明責任を果たすことを強く求めていく」と述べました。

岸田首相 麻生副総裁 茂木幹事長と情報共有

岸田総理大臣は27日午後、自民党本部で麻生副総裁、茂木幹事長とおよそ50分間会談し、衆議院政治倫理審査会の開催に向けた与野党の調整状況などをめぐり情報を共有しました。

自民 森山総務会長「国民の不信への説明が大事」

自民党の森山総務会長は記者会見で「国民の皆さんが不信を持っていることについて説明することが大事で、理解を得る努力は今後もしなければならない。公開・非公開については、原則非公開で出席者の意見なども尊重されるべきというのが審査会の規程だ」と述べました。

自民 浜田国対委員長「議員の意向尊重せざるをえない」

自民党の浜田国会対策委員長は記者団に対し、政治倫理審査会の公開の是非について「審査会の性質や決まり事もあるので、申し出た議員の意向を尊重せざるをえないのではないか」と述べました。また報道陣への公開を了承している議員がいれば、先行して審査を行う可能性があるか問われたのに対し「あらゆるアイデアは否定するものではなく、できることとできないことをはっきりさせていくしかない」と述べました。

公明 山口代表「自民党として積極的な対応を」

公明党の山口代表は記者会見で「自民党の政治資金のさまざまな問題について、政治不信や失った国民の信頼を取り戻す効果をもたらすことが重要で、かえって政治不信が増したということでは何にもならない。どうしたら説明責任を果たしたと国民に受け止めてもらい、政治の信頼が回復されるか、自民党として積極的な対応をすべきだ」と述べました。

自民 公明 新年度予算案の年度内成立へ引き続き連携

自民・公明両党の幹事長と国会対策委員長が都内で国会対応などをめぐって意見を交わしました。自民党が衆議院政治倫理審査会の開催に向けた野党側との調整状況を説明したのに対し、公明党は「最良の方法を見つけてほしい」と伝えました。また両党は、新年度予算案の年度内の成立を目指し、引き続き連携していくことを確認しました。

立民 泉代表「自民党の後ろ向きな姿勢はあきれるばかり」

立憲民主党の泉代表は、党の会合で「自民党の後ろ向きな姿勢は、あきれるばかりだが、真相究明が必要であり自民党に責任を果たしてもらわないといけない。本来であれば弁明の機会なので、みずから進んで出てくるべきだが、こちらが何回も後押ししないと審査会が開催されない状況にある。誰がどんな発言をしているかも分からないような審査会はありえず、公開を求めて発信していきたい」と述べました。

立民 笠国対委員長代理「徹底究明の前に予算案採決に応じず」

立憲民主党の笠国会対策委員長代理は、記者団に対し「政治倫理審査会は完全に公開の形で説明することが当たり前のことだし、もし非公開であれば、説明責任を果たしたことには一切ならないのではないか」と述べました。

その上で「政治とカネの疑惑をしっかり解明し、説明責任を果たさせることが新年度予算案の審議とあわせて非常に重要だ。自民党の派閥の裏金づくりというあってはならないことに対し、自民党が誠実な対応をできないのであれば、国民の立場に立っても、徹底究明の前に予算案の採決に応じることはできない」と述べました。

立民 小沢一郎衆院議員「すべて非公開では意義薄れる」

1985年に衆議院政治倫理審査会が設置された際に、議院運営委員長として設置に向けて取り組んだ立憲民主党の小沢一郎衆議院議員は記者団に対し「審査会は、ロッキード事件などを受けて最終的に与野党が設置で落ち着いた案だ。司直の手や捜査が入っていないが、世間から疑惑があると指摘されるものについて『弁明しろ』ということだ。すべて記者にも見せるのか、審査会長が議事録をまとめて出すのかなど方法はあるが、まるっきり非公開では意義が薄れる」と述べました。

維新 音喜多政調会長 「非公開で予算案採決は難しい」

日本維新の会の音喜多政務調査会長は、記者団に対し「審査会を非公開で行うことは全く理解できず、フルオープンでしっかり説明責任を果たすべきだ。公開の場で説明を尽くすことがないまま、新年度予算案を採決することは難しいのではないか」と述べました。

また、参議院できょう審査会が開かれることについて「野党側が行った申し立ての趣旨説明が行われる点で一歩、進んでいる。ここまで野党が水を向けたのだから、自民党の議員には自発的に出てもらい、オープンな形で審査会を開くべきだ」と述べました。

国民 玉木代表「完全公開が原則」

国民民主党の玉木代表は記者会見で「岸田総理大臣も『国民に対する説明責任を果たす』と話している以上、完全公開が原則だ。新年度予算案は年度内に成立すればいいのであって、例年と同じように粛々と審議を進める状況ではない。審査会の公開が実現しないのであれば、予算案の審議に応じるのは難しくなる」と述べました。

その上で、新年度予算案の賛否について「本来は政策の中身で判断するが、審査会への対応があまりにもひどければ、当然、賛否にも影響を与えてくる」と述べました。