「食料・農業・農村基本法」改正案 閣議決定 食料安全保障強化

ロシアによるウクライナ侵攻や気候変動などを背景に、食料安全保障を強化するため、政府は、“農政の憲法”とされる「食料・農業・農村基本法」の改正案や関連法案を27日の閣議で決定しました。

政府は、農業政策の基本方針を定めた、「食料・農業・農村基本法」の改正案と、関連する2つの法案を27日の閣議で決定しました。

このうち基本法の改正案では、法律の基本理念に、「食料安全保障の確保」を新たに加えたうえで、農産物や農業資材の安定的な輸入を図るほか、農業法人の経営基盤の強化やスマート技術を活用した生産性の向上に取り組んでいくとしています。

また、食料不足への対応を盛り込んだ新たな法案では、政府が、食料がひっ迫する事態を未然に防ぐ必要があると判断した場合、内閣総理大臣をトップとする対策本部を設置し、コメや小麦、大豆など重要な品目や関連する資材の確保すべき数量を設定したり、生産者に生産の拡大を要請したりできるとしています。

さらに事態の解消が困難な場合は、事業者に、生産や出荷に関する計画の提出や変更を指示できるとし、計画を提出しない事業者には、20万円以下の罰金を科すなどとしています。

これらの法案について政府は、今の通常国会での成立を目指す方針です。

坂本農相 「一日も早い法案成立を目指す」

「食料・農業・農村基本法」の改正案などが27日の閣議で決定されたことについて、坂本農林水産大臣は閣議のあとの会見で、「気候変動による異常気象や、アジアやアフリカの人口増加などを背景に食料需要が増加し、これまでのように自由に買い付けができなくなってきた。さらに各地の紛争や新型コロナによる物流の混乱など、貿易が不安定になる事象も生じている。今回の改正は、こうした情勢の変化を踏まえ、およそ1年半をかけて検討を行ってきたもので一日も早い法案成立を目指して尽力していく」と述べました。