【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(2月27日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる27日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

“EU加盟国からロシアに制裁対象品” 米メディア

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに対し、ヨーロッパ諸国が制裁の一環として輸出を禁じている品々が大量に、EU=ヨーロッパ連合の加盟国からロシアに流れていたことが分かったとアメリカのメディア、ブルームバーグが26日、伝えました。

ブルームバーグは当局者の話として去年1月からの9か月間で、金額にして4億5000万ユーロ、日本円でおよそ730億円に相当する制裁対象品がEUの加盟国からロシアに流入したとしています。

多くの制裁対象品はEU加盟国から、トルコや中国、それに旧ソビエトの中央アジアの国々といった第3国を経由してロシアに輸出されていましたが、全体の4分の1はEU加盟国から直接ロシアに流入していたということです。

ブルームバーグは、ウクライナ侵攻後、EUからロシアへの制裁対象品の直接の輸出は、統計上は大きく減少しているものの、ロシア以外の国への輸出は大きく増え、減少分を補っていると指摘しています。

ロシア報道官 NATO加盟国の部隊派遣を強くけん制

フランスのマクロン大統領は26日に行った記者会見で欧米側がウクライナへ地上部隊を派遣する可能性について質問されたのに対し、「合意はない」としながらも、「いかなることも排除されるべきではない」と述べました。

この発言についてロシア大統領府のペスコフ報道官は27日、「議論そのものが新たなものであり、非常に重要だ」と述べ、注視していく考えを示しました。

そのうえで、NATOの加盟国がウクライナに部隊を派遣した場合のロシアとNATOとの紛争の可能性について記者団から質問されたのに対し、「可能性ではなく必然となる。自分たちの国益に合致するか自問すべきだ」と述べ、直接の軍事衝突は避けられなくなると強くけん制しました。

ゼレンスキー大統領 “トランプ氏はロシアの脅威 理解せず”

ウクライナのゼレンスキー大統領は、最大の支援国アメリカの大統領選挙で返り咲きを目指すトランプ前大統領について「プーチンと対じしたことがない」と述べ、ロシアの脅威を理解していないと指摘したうえで、ロシアを支持するなら、自由や民主主義を重んじるアメリカ国民に対する裏切りにもなると訴えました。

アメリカのCNNテレビは26日、前日に行ったウクライナのゼレンスキー大統領のインタビューを放送しました。

この中でゼレンスキー大統領は、ウクライナヘの軍事支援に消極的な姿勢をとるトランプ前大統領について「トランプ氏はプーチンを知らない。彼と対じしたことがないからだ」と述べ、ロシアの脅威を理解していないと指摘しました。

そのうえで、アメリカの与野党の対立で新規の軍事支援が停止していることについて「数百万人が命を落とすことになる」と強い懸念を示し、支援の継続を訴えました。

そして「もしトランプ氏がロシアを支持するならアメリカ国民を裏切ることになる」と述べ、民主主義や表現の自由といったアメリカが重視する価値観を台なしにすることになるからだと訴えました。

トランプ氏についてのこうした発言について、CNNテレビはゼレンスキー大統領からの厳しい警告だと伝えています。

仏大統領 ウクライナへ地上部隊派遣 “排除されるべきでない”

フランスの首都パリでは26日、ロシアによるウクライナ侵攻から2年となるのにあわせ、ヨーロッパ各国やアメリカなど20か国以上の首脳や閣僚らがウクライナへの支援について話し合う会合が開かれました。

この会合に先立ってロイター通信などは、ウクライナへの軍事支援に否定的な立場を取るスロバキアのフィツォ首相が「一部の欧米諸国がウクライナへの派兵を検討している」などと発言したと報じました。

会合のあとマクロン大統領は記者会見で、欧米側がウクライナへ地上部隊を派遣する可能性について質問されたのに対し「会合では、自由で直接的にさまざまな議論が行われた。正式な形で地上部隊を派遣することについて合意はない。しかし、いかなることも排除されるべきではない」と述べました。

また「フランスは戦略を明確にしない立場を取る。ロシアを勝たせないというわれわれの目的のためだ」と述べました。

ただ、会合の中での具体的なやりとりなどについては明らかにしませんでした。

一方、今回の会合では、参加国が、ウクライナへの中長距離ミサイルのさらなる供与を目的とした新たな枠組みを結成することで合意したということで、ウクライナへの支援についてアメリカが与野党の対立で軍事支援の継続が不透明となっている中、フランスが主導して各国の連携を示したかたちです。

ナワリヌイ氏告別式 支援団体が今週開催検討 ロシア当局警戒か

刑務所で死亡したロシアの反体制派の指導者ナワリヌイ氏について、支援団体の広報官は26日、母親のリュドミラさんに遺体が引き渡されたことを受けて告別式を今週末に開くため会場を探していると明らかにしました。

一方、当局側は支持者の動きなどに警戒を強めるものとみられます。

支援団体は当局がリュドミラさんに対し秘密裏に遺体を埋葬するよう迫っていたとも説明していましたが、ロシア大統領府のペスコフ報道官は26日、「何の関係もない」などと政権側の関与を否定しました。

一方、支援団体の幹部は26日、ナワリヌイ氏が、ロシアで収監されている2人のアメリカ人の受刑者と共にドイツに収監されているロシア治安機関の元工作員の受刑者との交換で釈放される交渉が進められ、今月15日に「交渉が最終段階にある」とする情報を受け取っていたと主張しました。

ナワリヌイ氏は翌16日に死亡が発表されたことから支援団体は「プーチン大統領が殺害を決断した」と非難しています。

これについて、イギリスの経済紙フィナンシャル・タイムズはアメリカとドイツの当局者の話としてナワリヌイ氏の死亡によってドイツ側は受刑者の交換に応じる可能性が大幅に低くなったとしていて、釈放に向けた交渉があった可能性を伝えています。

一方、フィナンシャル・タイムズの取材に対しロシア大統領府のペスコフ報道官は「そのような合意は承知していない」と否定したとしています。

ロシア軍兵士の家族らの会合 軍の対応に不満や不安の声相次ぐ

ウクライナ侵攻で戦地に派遣されたロシア軍の兵士の家族らの会合がモスクワで開かれ、軍の対応に対して不満や不安の声が相次ぎました。

兵士の家族を支援しているNGO「兵士の母の委員会」が26日にモスクワ市内で開いた会合には、ロシア各地から夫を亡くした女性などおよそ40人が参加しました。

会合では、軍検察局のモスクワ市の担当者が兵士の給与や医療サービスなどについて説明したうえで、できるだけ家族を支援したいと述べました。

これに対し出席した家族からは「息子がけがをしたのに、すぐに適切な治療を受けることができなかった」とか、「夫は契約兵としての期間が終わったのに、軍から解放されない」といった不満や不安の声が相次ぎました。

去年8月に死亡した夫の遺体がまだ家族の元に返っていないという女性は「多くの人が亡くなり、多くの家族がバラバラになったこの2年は地獄のようです。遺体を返してほしい、それだけです」と訴えていました。

プーチン大統領はおととし11月、兵士の母親たちを大統領公邸に招いて要望を聞くなど配慮する姿勢を強調する一方で、「母と妻の評議会」という別の家族の団体は去年3月、ロシア政府に外国のスパイを意味する「外国の代理人」に指定されるなど家族の活動にも圧力が強まっています。

こうした状況で活動していることについてNGO代表のスベトラーナ・ゴルブさんは「ロシアで、母親たちへの尊敬が失われていることは本当に不快なことです」と話していました。

ロシア軍 東部拠点に続き さらに西の集落も掌握 攻勢強める

ロシア国防省は26日、ウクライナ東部ドネツク州のアウディーイウカの西にある集落、ラストチキネを掌握したと発表しました。

ウクライナ軍もラストチキネからの撤退を認め、部隊の指揮を執るタルナフスキー司令官はSNSで「ロシア軍のさらなる前進を阻止するため防衛線を強化する」と強調しました。

ロシアは2月17日に激戦となっていた東部の拠点アウディーイウカの掌握を発表しましたが、その後も部隊を西に進め、攻勢を強めているものとみられます。

また、プーチン大統領は26日、ロシア軍の国内の管轄について、新たに首都モスクワを含む「モスクワ軍管区」と北西部の第2の都市サンクトペテルブルクを含む「レニングラード軍管区」を新設する大統領令に署名しました。

北欧のスウェーデンがフィンランドに続いてNATO=北大西洋条約機構に加盟することに対し、ロシア側は警戒を強めていて、対抗する動きとみられます。

一方、アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズは25日、アメリカのCIA=中央情報局が10年前から秘密裏にウクライナを支援してきたと複数の欧米やウクライナの関係者の話として伝えました。

ロシアの軍事侵攻後もCIAの職員がウクライナにとどまり、ロシアの攻撃計画や兵器などの情報を伝え、重要な役割を果たしたとしています。

また、アメリカでは与野党の対立で軍事支援の継続が不透明となっていますが、CIAのバーンズ長官が2月、侵攻後10回目となるウクライナへの極秘の訪問を行ったとしていて、長年の緊密な支援の様子を報じています。

スウェーデン NATO加盟決定

北欧スウェーデンのNATO=北大西洋条約機構への加盟について、ハンガリーの議会が承認しました。

これですべての加盟国が承認したことになり、NATOはロシアによる軍事侵攻後、32か国へと拡大し、安全保障が一段と強化されることになります。

ハンガリーの議会は26日、スウェーデンのNATO加盟について、賛成多数で承認しました。

1月、承認したトルコに続く形で、スウェーデンはすべてのNATO加盟国の承認を得られたことになり、今後、手続きを経て、32か国目の加盟国となります。

スウェーデンはロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて、隣国のフィンランドとともに長年続けてきた軍事的中立の方針を転換し、2022年5月、NATOへの加盟を申請しました。

フィンランドの加盟は去年4月に実現したものの、スウェーデンについては、申請から1年半以上たってもトルコとハンガリーが承認せず、難航していました。

承認を受けて、スウェーデンのクリステション首相は26日、記者会見を行い「200年にわたる中立と非同盟に別れを告げ、大きな一歩を踏み出そうとしている」と述べ、歴史的な瞬間だとしています。

その上で「安全保障を求めるだけなく、提供もしたい。スウェーデンは陸海空や水面下の独自の防衛力で貢献する」と決意を示しました。

ロシアによる侵攻後、フィンランドに続きスウェーデンが加わることでNATOは32か国へと拡大し、ロシアと対じする上で戦略的に重要なバルト海を加盟国で囲むことになるなど、安全保障が一段と強化されることになります。