「無理やりにでも開院」断水の中、給水支援で歯科医院が再開

「困っている人が1人でもいるなら、無理やりにでも開院するっていうのが正しい選択だと思って」

地震の影響で断水が続いている石川県輪島市では一部の歯科医院が給水の支援を受けて診療を再開しています。

水がないために口の中のケアを十分に行えなかった人たちが診療を受けています。

2日に1度、給水受けながら

輪島市河井町にある角歯科医院は、地震で断水が続いているため休業していました。

そうした中で今は2日に1度、市の職員などから給水の支援を受け、診療を行っています。

26日も、地震のあと治療を受けることができていなかった人たちが午前中から次々に訪れ、専用の器具を使って歯の状況などを確認してもらっていました。

輪島歯科医師会によりますと、市内にある11の歯科のうち5つが診療を再開していますが、残りはまだ再開できていないということです。

器具はタンクの水で洗う

角大輔院長
「やっぱり歯科が動いていない状況だとみなさん不安でしょうし、地元の歯科医院で満足に治療ができていないところもあるので、その人たちの分もこの緊急の状態で支えられればと」

地震からまもなく2か月、避難所などで生活を続ける人たちの間では水がないために口の中のケアを十分に行えず、歯周病などを患う人もいるということです。

治療を受けた60代男性
「以前から奥歯の治療をしていて、震災前から通ってたんで。開業してるって出たのですぐ来ました。再開はすごくうれしかったです。全部わかってて『こうしましょう、こうしましょう』と言ってもらえるので安心です」

「一生懸命、自分の職務を」

この歯科医院では、ほとんどの従業員が被災しながら働いているということです。

角大輔院長
「従業員のほとんどは家が壊れていたりとか、まともな状態で生活はしていません。この医院も含めて水道も来ていないところが多く、そうした中で一生懸命自分の職務を果たそうとしてくれています。本当に助かっています」

「とにかく今この状況で患者さんを診させていただいているのは責任感というか、私だけじゃなくほかの医院もそうやって動いてると思います。やっぱりこういう仕事ですので、困っている人が1人でもいるのであれば無理やりにでも開院するっていうのが正しい選択だと思ってやっております」