ゼレンスキー大統領「戦争どのように終わるか “転換の年”」

ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアによる軍事侵攻が3年目に入ったのにあわせて25日、会見しました。この中でゼレンスキー大統領は、ロシア軍がことし5月にも大規模な攻撃を仕掛ける準備を進めているなどとした上で「戦争がどのように終わるかは、ことしにかかっている。転換の年だ」と述べ、欧米各国が軍事支援を続ける重要性を強調しました。

ゼレンスキー大統領は、首都キーウ市内で各国のメディアを前に2時間近くにわたって会見しました。

この中で、ロシアが軍事侵攻を始めてからこの2年間で3万1000人のウクライナ兵が死亡したと初めて明らかにしました。

また、ゼレンスキー大統領は欧米からの軍事支援の遅れが多くの人的被害につながっているとして「失望している。今はわれわれの結束にとって最も困難な時期だ」と述べました。

特に、最大の支援国、アメリカの議会で与野党の対立から新規の軍事支援が停止していることについて触れ「前向きな決断をしてくれると信じている」と述べました。

今後の戦況についてゼレンスキー大統領はロシア軍が5月にも大規模な攻撃を仕掛ける準備を進めているなどとした上で「戦争がどのように終わるかはことしにかかっている。転換の年だ」と述べ、欧米各国が軍事支援を続ける重要性を強調しました。

そしてロシアが、北朝鮮やイランから兵器を調達しているとみられることについて「ロシア側にとっても兵器が大きく不足し、ことしが重要な年だということを意味している」と述べました。

さらにゼレンスキー大統領は、ウクライナが提唱する「ロシア軍の撤退」などを含む和平案について欧米や新興国などが話し合う首脳級の協議をスイスでこの春に開催したい意向を示しました。

その上でロシアのプーチン大統領を念頭に「彼がこの戦争に負け、間違いだったと受け入れるための枠組みを提唱する」と述べ、ロシアに和平案を受け入れさせるため関係国と連携する考えを示しました。

ウメロフ国防相 “兵器の50%しか受け取ることができていない”

ロシアによる軍事侵攻が3年目に入った25日、ウクライナの首都キーウで政府高官も出席して前線の状況や軍事産業の発展の見通しなどを話し合うフォーラムが開かれました。

この中でウメロフ国防相は、欧米側が供与すると約束した兵器の50%しか受け取ることができていないと指摘しました。

その上で「予定通りに届かなければ、市民が犠牲になり、領土を失うことになる」と述べ危機感を示すとともに、迅速な軍事支援を改めて求めました。

また、カミシン戦略産業相は、ウクライナでは軍事産業に参入する企業が増え、現在では、国営と民間あわせて500社以上が関わっているとして、去年は(2023年)前年と比べ3倍の兵器を生産したと強調しました。

ただ「国内で生産をどれだけ増やしても、前線ではウクライナとアメリカ、EU=ヨーロッパ連合の生産量を合わせた以上の弾薬が必要だ」と述べ、弾薬などの軍事支援の必要性を訴えました。

そして、去年は国産の無人機や無人艇を使った活発な攻撃が行われたとした上で「ことしは、地上でのロボットシステムについてより頻繁に耳にする年になるだろう」と述べ、地上での作戦であらたなシステムを導入するという見通しを示しました。