東京V×横浜FM 1993年Jリーグ開幕カード再現 国立に大きな拍手

サッカーJ1は、1993年のJリーグ開幕カードの再現となる東京ヴェルディと横浜F・マリノスの開幕戦が東京 国立競技場で行われ、F・マリノスが終盤に立て続けにゴールを決めて2対1で逆転勝ちしました。

23日開幕したJリーグは25日、東京 国立競技場で16年ぶりにJ1に復帰したヴェルディと、F・マリノスという1993年のJリーグ開幕カードの再現となる試合が行われました。

会場には5万3026人の観客が詰めかけ、試合前のセレモニーで当時、Jリーグの初代チェアマンとして開会宣言をした川淵三郎さんがサプライズで登場し「お帰りなさい、東京ヴェルディ」とあいさつしました。

東京V 山田楓喜選手がフリーキックで先制点

ヴェルディは、前半7分、22歳の山田楓喜選手がフリーキックをゴール右隅に決めて先制し、31年前の試合と同様、1点リードで折り返しました。

横浜FM アンデルソン・ロペス選手がPKで同点

後半は、高い攻撃力が持ち味のF・マリノスが押し込む展開が続き、後半44分、相手のハンドの反則でペナルティーキックを得ると、昨シーズンの得点王、アンデルソン・ロペス選手が冷静に決めて同点に追いつきました。

横浜FM 松原健選手が決勝点

さらに後半のアディショナルタイムには、ディフェンダーの松原健選手が左足で豪快にシュートを決めて、F・マリノスが31年前の開幕戦と同様に、2対1で逆転勝ちしました。

ヴェルディは、序盤に先制したあと追加点を奪えず、16年ぶりのJ1復帰戦を勝利で飾ることはできませんでした。

《監督・選手談話》

決勝ゴール 横浜FM 松原健「興奮であまり覚えていない」

試合終了間際に決勝ゴールを決めた横浜F・マリノスの松原健選手は「興奮してあまり覚えていない。ボールをうまく自分の位置に止められたというか、枠をねらうように心がけてシュートした。チームのみんなで取った1点だと思う」と振り返りました。
先制されてからの逆転勝ちという31年前の開幕カードと同じような試合展開となり「当時、僕はまだ生まれて3か月だった。伝統のある試合がJ1の舞台に戻ってきたことがうれしいし、最後は自分が試合を決められてさらにうれしい気持ちだ」と話しました。
そして今シーズンに向けて「タイトルをすべて取りに行く。そのためにしっかり試合に出てチームの勝利に貢献したい」と意気込んでいました。

横浜FM キューウェル監督「タフな試合 今後も続いていく」

横浜F・マリノスのハリー・キューウェル監督は「注目された開幕カードでJ1に昇格してきたヴェルディとの対戦だったので簡単な試合にはならないと思っていた。自分たちのサッカーがなかなか見せられなかったし、選手もベストな状態ではなかったが、最後の最後まで諦めない姿勢を見せてくれた」と逆転勝ちをした選手たちをたたえました。
そしてJリーグの公式戦で初めて指揮をとった試合を振り返り「Jリーグには簡単な試合はないと聞いていたが、開幕戦で改めて実感した。タフな試合が今後も続いていくと思うし、いい準備をして試合に臨まないと足もとをすくわれる。1試合1試合、しっかり準備していきたい」と話していました。

東京V 山田楓喜「これは決まるなと思った」

チームのJ1復帰戦で先制ゴールを決めた東京ヴェルディの山田楓喜選手は「素直にうれしかった。先週の練習試合でもフリーキックを決めていて、あそこに立った瞬間『これは決まるな』と思った。初めて自分のプレーを見た人も多かったと思うので、これが山田楓喜だというのを少しは見せられたかなと思う」と、振り返りました。
そのうえで「悔しい負けにはなったが、J1で戦える手応えを感じた。ヴェルディはJ1で上にいるべき存在だと思うし、自分自身もチームを勝たせる力をつけていきたい。これから楽しみにしていてください」と話しました。

東京V 城福監督「この試合を学びにしないといけない」

東京ヴェルディの城福浩監督は「選手は本当に頑張っていたが、勝たせられなかった。2点目を取れなければいつ何が起こるかわからない、J1はそれぐらいのクオリティーを持っている」と悔しさをにじませました。
そのうえで「この試合を学びにしないといけない。成長していくチームなので、きょうの悔しさをピッチで表現できるようにしたい。またホームで多くの人が来てもらえるように頑張りたい」と奮起を誓いました。

川淵三郎さん「お帰りなさい 東京ヴェルディ」

31年前のJリーグ開幕カードの再現となった東京ヴェルディ対横浜F・マリノスの試合前のセレモニーに当時、Jリーグの初代チェアマンとして開会宣言をした川淵三郎さんがサプライズで登場し、あいさつしました。

川淵さんは途中、感極まった様子で声を詰まらせながら「東京ヴェルディが16年ぶりにJ1に戻ってきました。お帰りなさい、東京ヴェルディ」と呼びかけました。

そして「東京ヴェルディ、横浜F・マリノスはもちろん、Jリーグのより一層の発展に向けてどうか皆さん力を貸してください」と呼びかけると、国立競技場に詰めかけた観客から大きな拍手が沸いていました。

1993年 東京ヴェルディと横浜マリノスのJリーグ開幕戦

1993年5月15日、旧国立競技場。5万9626人の観衆が詰めかける中、Jリーグはヴェルディ川崎と横浜マリノスの試合で幕を開けました。

Jリーグ開幕戦(1993年5月15日)

カズ=三浦知良選手やラモス瑠偉選手などスター選手を擁するヴェルディ川崎は、前半、マイヤー選手のゴールで先制しましたが、後半、横浜マリノスがエバートン選手とディアス選手のゴールで逆転し、2対1で横浜マリノスが勝利しました。

31年の時を経て25日に国立競技場で行われた東京ヴェルディと横浜F・マリノスの開幕戦。強力な攻撃陣を擁し、2シーズンぶりの優勝を目指すF・マリノスに対し、16年ぶりのJ1復帰となるヴェルディはかつてのスター集団から22歳のフォワード染野唯月選手や、キャプテンを務める23歳の森田晃樹選手など若手中心のチームになっていました。

国立競技場にはヴェルディ川崎や横浜マリノスの当時のユニフォームを着たサポーターが多く訪れ、ヴェルディのサポーターは「結果は二の次です。国立競技場に来られてしかも相手はF・マリノス。31年前の開幕カードが実現できて感極まっています」とうれしそうに話しました。

また「中学生の時にお小遣いで買った」という横浜マリノスのユニフォームを着たサポーターは「ヴェルディサポーターの皆さん、お帰りなさい。これから『クラシックダービー』と呼ばれるような試合をたくさん作っていきましょう」などと呼びかけていました。

平成から令和へと長くチームを応援してきた人たちにとって、25日の開幕戦は、Jリーグと自分の歩みを振り返る時間にもなっていました。