大阪マラソン 国学院大の平林が初マラソン日本最高記録で優勝

パリオリンピックの男子マラソン代表をかけた選考レースの1つ、大阪マラソンは、国学院大の3年生、平林清澄選手が初マラソンの日本選手最高記録を更新する2時間6分18秒のタイムで優勝しました。

一方、この大会で、オリンピックの代表内定の条件となる設定記録を突破した選手はいませんでした。

大学3年生 平林清澄 初マラソン日本選手最高記録

ことしの大阪マラソンは、パリオリンピックの男子マラソン代表をかけた選考レースの1つとして行われました。

日本歴代7位の記録を持つ26歳の土方英和選手や、すでにパリオリンピック代表に内定している小山直城選手などが出場し、レースは、30キロまで20人余りの集団で進みました。

このあと、箱根駅伝で活躍した国学院大の3年生で、初マラソンの平林選手が積極的に仕掛けてペースを上げ、先頭を争いました。

平林選手は、残り1キロを過ぎてから2時間4分台の自己記録を持つウガンダの選手を引き離し、初マラソンの日本選手最高記録を更新する2時間6分18秒の好タイムで優勝しました。

平林清澄選手 初マラソンの日本選手最高記録を更新し優勝

また、小山選手は30キロ手前で仕掛けて一時は先頭に立つなどして自己記録を1分以上更新する2時間6分33秒のタイムで3位に入り、パリオリンピックに向けてはずみをつけました。

一方、この大会でオリンピックの代表内定の条件となる設定記録、2時間5分50秒を突破した選手はいませんでした。

平林清澄「勝負に徹した中でタイムも うれしい」

初マラソンで優勝した国学院大の3年生、平林清澄選手は「後ろに海外の選手がついてきているのは怖かったが、気にしたらダメだと思って、自分がいけるところで仕掛けようと思っていた。勝負に徹した中でタイムがついてきて率直にうれしい」と充実した表情で振り返りました。
今後に向けては「ここが自分の最高ではない。練習を積んで精進したい」と力強く意気込みを話しました。

3位 小山直城「まだまだ力不足」

パリオリンピック代表に内定していて、3位に入った小山直城選手は30キロ付近で一時、先頭に立ったレース展開について「先頭に立って、風が強い中で前を走るときついということを確認することができた。海外の選手が後ろにいて走るのはプレッシャーを感じた」と振り返っていました。
パリオリンピックに向けては「後半の10キロが課題で、まだまだ力不足だと感じた。残り5か月で世界との差を詰めていきたい」とさらなる成長を誓いました。

【解説】マラソン界の新たなスター候補に名乗り

笑顔で両手を突き上げて優勝のフィニッシュテープを切った大学生の平林清澄選手。初マラソンでも冷静に勝負どころを見極める走りでマラソン界の新たなスター候補に名乗りを上げました。

日本陸上競技連盟 瀬古利彦さんと平林選手

福井県出身で、国学院大3年の平林選手は、正月恒例の箱根駅伝で各チームのエースがそろう「花の2区」を2年連続で走り、去年は6人抜き、ことしは区間3位の好走で8人を抜くなど将来の活躍が期待されるランナーです。

力むと体が固まってしまうため「冷静さと余裕を持つこと」を大切にしているという平林選手。初マラソンとなった25日のレースでは、スタートから集団の真ん中付近でレースを展開し、勝負どころと見ていた、32キロ付近の高低差20メートルの上り坂を迎えました。

この時点で、レースで走る距離としては最も長い距離に達していましたが、前を走っていたパリオリンピック代表に内定している小山直城選手を一気に抜き去りました。

「集団で走っていたので思ったより余裕があった」と、この上りの途中では、チームメートから声をかけられ、笑顔で右手をあげて応えるほどでした。

このあと、2時間4分台の記録を持つウガンダの選手と一騎打ちになりましたが、残り700メートル付近で「自分のほうが余裕がある」と、ここでもみずから仕掛けました。

平林選手は相手を一気に引き離し、初マラソンの日本選手最高記録を27秒更新、日本歴代でも7位となる好タイムで優勝を果たすという快挙を成し遂げました。

平林選手は最後まで苦しそうな表情をほとんど浮かべることなく、初めての42.195キロを走りきり、レース後も「未知な領域は楽しみだった。最後は1キロ1キロが長く感じたが、正直楽しかった。調子がよいときは明るい表情が勝手に出ていることが多い」と笑顔を見せました。

自身も大学時代にマラソンで優勝した経験がある日本陸上競技連盟の瀬古利彦さんも「マラソンを笑いながら走るのはあまり見たことがない。自分で仕掛けて勝ったのがすばらしい」と目を細めました。

来年、東京で行われる世界選手権や4年後のロサンゼルスオリンピックに向けて、活躍が楽しみな選手が誕生した瞬間でした。