【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(2月25日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる25日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ軍 ロシア中部 最大級の製鉄所を無人機で攻撃か

ウクライナ空軍は25日、ロシア軍が無人機でキーウ州や東部、南部などに攻撃を仕掛け、18機のうち16機は撃墜したと発表しました。

一方、ウクライナのメディアは情報筋の話として24日、ロシア中部リペツク州にあるロシアで最大級の製鉄所に対し、ウクライナ側が無人機の攻撃を行い、大規模な火災が起きたと伝えました。

製鉄所ではロシア軍のミサイルや無人機など兵器の材料が製造されていると指摘していて、地元の州知事もSNSで製鉄所で火災が起きたとしています。

ウクライナ軍はことしに入ってロシア側の石油関連施設などに対しても各地で無人機による攻撃を仕掛けているとみられ、侵攻が長期化する中、無人機を利用した攻撃の応酬が続いています。

一方、ロシアでは来月15日から17日にかけて大統領選挙の投票が行われ、プーチン大統領の勝利が確実視されています。

ロシアの国営メディアは、選挙管理委員会の話として軍事侵攻のあと、一方的に併合したウクライナ南部のザポリージャ州で25日から期日前投票が始まったと伝えました。

プーチン政権は一方的に併合したウクライナの4つの州で、選挙だとする活動を強行することで、支配を既成事実化するねらいがあるとみられます。

ウクライナ軍 総司令官が前線訪問“徹底抗戦を”

ウクライナ軍のシルスキー総司令官は25日、SNSでウメロフ国防相とともに前線の指揮所を訪問したと発表しました。

具体的な場所は明らかにされていませんが、前線の状況について報告を受けたほか激戦のすえ撤退した東部アウディーイウカや、バフムトなどでの戦闘に貢献した兵士たちを表彰したとしています。

これに先立ち、シルスキー総司令官はロシアによる侵攻が始まってから2年となる24日に、声明でこれまでの戦闘を振り返り「第2次世界大戦以降、ヨーロッパで最大の戦争になった」と指摘した上で、ウクライナが一部の領土を奪還し持ちこたえてきたとたたえました。

その一方で、去年6月に始めた反転攻勢については「残念ながら、客観的な状況により、望ましい結果をもたらせなかった」として思うように進まなかったことを認めました。

そして「ウクライナのすべての町や村が多くの市民が犠牲になった首都近郊のブチャや、アウディーイウカなどのようにならないよう戦い続けている」と強調し、空での攻撃を強めるなどロシアに対し徹底抗戦する姿勢を改めて示しました。

ナワリヌイ氏の遺体 母親に引き渡し 支援団体が明らかに

今月16日に北極圏にあるロシア北部のヤマロ・ネネツ自治管区の刑務所で死亡したと発表された反体制派の指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏について、支援団体の広報官は24日「アレクセイの遺体が母親に引き渡された」とSNSに投稿し、母親のリュドミラさんに遺体が引き渡されたことを明らかにしました。

一方で広報官は、このあと家族の望みどおりにナワリヌイ氏の葬儀が執り行えるかどうかはまだ見通せない、としています。

リュドミラさんはこれまで繰り返し遺体の引き渡しを求めていましたが、広報官によりますと、前日の23日まで当局はリュドミラさんに「秘密裏の埋葬に同意するか、同意しなければ刑務所の敷地内に埋葬する」と迫っていたということで、一転して引き渡しに応じたかたちです。

ナワリヌイ氏の死亡をめぐってはプーチン政権が関与したのではないかという疑惑が指摘され、欧米各国からの非難が高まっていますが、死亡の発表から8日過ぎてから遺体が引き渡されたことで、遺族側による検証につながるのかは不透明です。

一方、ロシアの人権団体などによりますと、ロシア各地では24日もナワリヌイ氏の追悼やウクライナ侵攻への抗議の動きが見られ、当局があわせて30人以上を拘束したということです。

ヨーロッパ各国でウクライナ支援訴える抗議活動

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めてから2年となった24日、ヨーロッパ各国では、ウクライナへの支援を訴える抗議活動が行われました。抗議活動は、イギリスのロンドンや、ドイツのベルリン、イタリアのミラノなど、ヨーロッパ各地で行われました。

このうちフランスのパリでは、中心部のバスチーユ広場に続く大通りを、地元の市民やフランスに暮らすウクライナ人などがデモ行進しました。参加者たちは、ウクライナやフランスの国旗を掲げ、「ロシアはウクライナから出て行け」とか、「フランスはもっと武器を送るべきだ」などと、声を上げていました。

また広場では、ウクライナに見立てた10メートルほどもある女性のあやつり人形がつるぎを振り回すパフォーマンスも行われ、参加者から拍手が送られていました。

南部オデーサ出身のウクライナ人の20代の女性は「ウクライナに残る家族のため、またヨーロッパの人たちに支援を続けてもらうため、デモに参加しました」と話していました。

またフランス人の20代の男性は「ウクライナの将来は私たちにとっても重要だ。ロシアはウクライナだけでなく世界にとっての脅威だ」と話していました。

一方で、別のフランス人の男性は「2年前と比べるとデモの参加者も減り、熱量も失われたと感じる。誰もが戦争に慣れてしまったからだろう」と話していました。

キーウで兵士たちの解放を求めるデモ

ロシアによる軍事侵攻から2年となった24日、ウクライナの首都キーウでは、ロシア軍の捕虜となっている兵士たちの解放を求めるデモが行われました。ウクライナ政府によりますと、先月の時点で民間人1600人以上を含む8000人以上がロシア側の捕虜になっているということです。

キーウ中心部の広場には24日、捕虜となっている兵士の家族や友人など100人以上が集まり、「兵士たちに自由を」とか、「私の夫を返せ」などと書かれたプラカードを掲げて、解放を訴えていました。

捕虜の中には激戦地となった東部マリウポリの製鉄所で戦っていた「アゾフ大隊」の隊員が多く含まれるということで、「アゾフの解放を」と書かれたプラカードをもつ人の姿も目立ちました。

また広場の近くを通行する車のドライバーは、クラクションを鳴らして連帯を示していました。

ゼレンスキー大統領が演説 徹底抗戦の姿勢を示す

ロシアによる軍事侵攻が始まって2年となった24日、ウクライナのゼレンスキー大統領は首都キーウ近郊で演説し、このなかで「ウクライナは、独立を守り抜いてきた。世界も過ちを犯すことなくウクライナを支援してきた。私たちの友人、パートナー、世界に感謝したい」と述べました。

その上で「プーチンはあらゆる点において敗北しなければならない。それこそが平和を達成する唯一の手段だ」と述べ、改めて徹底抗戦を続ける姿勢を示し、国際社会が結束してロシアに圧力を強めるよう訴えました。

ロシア国防相 “部隊が必要物資 迅速に供給するよう指示”

ロシア国防省は24日、ショイグ国防相がウクライナの前線の部隊を視察し部隊が必要とする物資を迅速に供給するよう指示したと、発表しました。

この際、無人機を運用する専門の部隊の設置が報告され、ショイグ国防相は「人工知能で操縦する無人機の配備に着手した。重要な兵器になるだろう」と述べ、これまで以上に無人機を活用した作戦を展開すると強調しました。

イギリス国防省 “ロシア側 約35万人が死傷した可能性”

戦況を分析しているイギリス国防省は24日、この2年間のロシア側の損失についておよそ35万人が死傷した可能性があり、戦車2700両以上、歩兵戦闘車など5000両を失ったことが確認されたと、発表しました。

一方で予備役の動員や備蓄兵器の改修などで戦力が補充され「前線で攻勢を維持しウクライナ軍に対して消耗戦を行うことも可能になっている」として、ロシア軍が長期の戦闘にも耐えうる態勢を整えていると指摘しています。

G7首脳 EU委員長がそろってウクライナ訪問

ロシアによる軍事侵攻が始まって2年となった24日、G7=主要7か国やEU=ヨーロッパ連合の首脳らがそろってウクライナを訪れ、亡くなった兵士たちを追悼するとともに、資金支援や軍事支援を続けていく方針を示しました。

軍事侵攻の長期化で「支援疲れ」も指摘される中、2年の節目となる日にG7とEUの首脳らがそろって現地を訪れることで、ウクライナとの連帯をあらためて強調したかたちです。