なでしこジャパン パリ五輪最終予選第1戦 北朝鮮と引き分け

サッカー女子のパリオリンピックアジア最終予選の第1戦が24日、サウジアラビアのジッダで行われ、日本代表「なでしこジャパン」は北朝鮮と0対0で引き分けました。

28日に行われるホームアンドアウェー方式の第2戦、NHKは総合テレビで生中継し、NHKプラスでも配信する予定です。

異例の事態 サウジアラビアでの第1戦 引き分けに

日本と北朝鮮が対戦する最終予選は、ホームアンドアウェー方式で2試合を戦い、合計得点の多いチームがパリオリンピックの出場権を獲得します。

第1戦の開催地をめぐっては当初、北朝鮮の首都ピョンヤンで行われる予定でしたが、アジアサッカー連盟は試合に向けた準備が難しいことなどを理由に中立地での開催を提案しました。

しかし、調整は難航し、試合3日前の21日になってサウジアラビアのジッダで行われることが発表されました。

こうした異例の事態になでしこジャパンの選手たちも海外組の選手たちの合流の時期が二転三転するなど、難しい準備を強いられました。

日中の最高気温が30度を超す暑さとなった24日、第1戦が行われ、前半、日本は守備を固める北朝鮮に対して思うようにチャンスを作れず、逆にカウンターやセットプレーからピンチを招く場面がありました。

それでも前半終了間際には、ゴール前でボールを受けた田中美南選手のシュートが枠を捉えましたが、相手のゴールーキーパーの好セーブに阻まれました。

後半に入ると日本はさらに相手に押し込まれる時間が続き、ドリブルが持ち味の中嶋淑乃選手や、18歳の谷川萌々子選手などを投入して流れを変えようとしましたが、得点にはつながらず、0対0で引き分けました。

日本は26日に帰国し、28日に東京・国立競技場で行われる第2戦に臨みます。

第2戦は前後半を終えて同点の場合、延長戦やペナルティーキック戦が行われ、勝った方がパリオリンピックの出場権を獲得します。

池田監督「奪いどころをなかなか作れなかった」

第1戦のあと会見を行った池田太監督は「気温が高い中で選手たちはよく頑張ってくれた。勝つのが目標だったが、ホームでの戦いにつながる試合だった。ただ、相手にボールを収められて奪いどころをなかなか作れなかった。ホームの試合では点を取る必要があるので、相手との距離感やフィニッシュまでの精度を見直していきたい」と話していました。

熊谷紗希 主将「ゴール脅かす怖さ 出せなかった」

キャプテンの熊谷紗希選手は「自分たちはシュート数がかなり少なかったし、相手のゴールを脅かす怖さは出せなかった。もちろん勝ってホームでの試合に向かいたかったが、引き分けで終わってしまったので、ホームで勝つことだけを考えて準備したい。ホームで試合ができることをアドバンテージにしながら、パリオリンピックへの切符を皆さんと一緒に取れるように頑張っていきたい」と話していました。

長谷川唯「引き分けてよかったという試合に」

試合後、取材に応じた司令塔の長谷川唯選手は「引き分けてよかったという試合になってしまった。相手の中盤でつながれて自分たちが中盤でやりたいことをやられた。チームとして攻撃の形を作れなかったので、反省することはたくさんある。あと1戦しかなく、勝つか負けるか。プレッシャーはあるが、しっかりプレッシャーを楽しんでチームで勝ちに行きたい」と話していました。

【解説】磨いた「対応力」で第2戦へ

第1戦は北朝鮮に主導権を握られ、日本はかろうじて引き分けた形となりました。

試合前、北朝鮮は前線からプレッシャーをかけてボールを奪い、奪った後は日本のディフェンスラインの裏に大胆にロングパスを蹴ってカウンターを仕掛けてくることが予想されました。

北朝鮮代表 リ・ユイル監督

しかし、第1戦で北朝鮮はディフェンスラインに選手を5人並べて引いて守り、前線から積極的にボールを奪いにくることはほとんどありませんでした。

そして、ボールを持つと、中盤の選手が短くパスでつないで攻撃を組み立てるなど“想定外”の戦術をとってきました。

予想と違った相手の戦い方にフル出場した司令塔の長谷川唯選手は「もっと簡単にロングパスを蹴ってくると思っていたので、最初は少しプレッシャーをかけにいけない部分があり、簡単につながれてしまった。攻撃の面でも全く形を作れず、個人でひとつ打開できるかどうかという試合になってしまった」と振り返りました。

第1戦は引き分けに持ち込んだ日本ですが、第2戦は磨いてきた「対応力」が問われることになります。

去年11月と12月に行ったブラジル遠征。アジア最終予選を見据えて、同じ相手とたて続けに2試合行う日程が組まれました。

その1戦目。体の大きなブラジルを相手に間合いを詰め切れず、4点を奪われて敗れました。

中2日で迎えた2戦目。日本はサイズのある選手には人数をかけて守る、早い段階からプレッシャーをかけてくる相手に対して立ち位置を工夫して回避するなど、1戦目で出た課題を修正して2対0で完勝しました。

アジア最終予選、ホームで行われる第2戦は、中3日で今月28日に行われます。

長谷川選手は「相手も自分たちが対応してくることを想定していると思うので、その準備を上回ることができるかだ。戦術も含めて相手がこうしてきたらこうしようという1個先を読んだ準備ができれば勝つチャンスは大きくなる」と話しました。

勝ったほうがオリンピックの出場権を得る大一番を前に、限られた時間で課題を共有し、再び「対応力」を示すことができるか

北朝鮮との第2戦はなでしこジャパンの真価が問われる試合になります。

《NHK 第2戦(28日)北朝鮮戦を中継》

東京 国立競技場
2月28日(水)
試合開始 18:34

【放送予定】
NHK総合 18:25~
NHKプラスで同時配信・見逃し配信も