免疫不全の感染者支援 新型コロナ診療で指針案を新たに作成へ

がんの治療などで免疫不全の状態にある人が新型コロナウイルスに感染すると体内にウイルスが残り続けて症状が再発するなど、治療が長期化する傾向にあるとして、国立感染症研究所などの研究グループは、こうした患者の診療を支援するための指針案を新たに作ることになりました。

がんの治療などで免疫の働きが低下している人が新型コロナに感染した場合、ウイルスの排除に時間がかかり、症状が再発したり、長期間、検査で陽性になったりするなどして治療が長期化することがあるほか、治療が長引く間に薬が効きにくい「耐性ウイルス」に変異する可能性も指摘されています。

このため、国立感染症研究所などの研究グループは免疫不全の感染者を対象にした診療を支援するための情報を集めた新たな指針案を作ることになりました。

研究グループでは、新型コロナに感染し、各地の病院に入院した免疫不全のコロナの患者およそ90人を対象に治療の経過やウイルスの検出状況について解析を進め、海外の研究成果も参考に、3月以降、指針の素案をまとめることにしています。

グループの代表を務める国立感染症研究所感染病理部の鈴木忠樹部長は「免疫不全の患者の治療や退院の方針は医療機関ごとにばらばらで、手探りなのが現状だ。患者の利益のために何を重視しどう対応すべきか整理したい」と話していました。