スポーツクライミング リード 女子 森秋彩が大会5連覇

1回のトライで登った壁の高さを競うスポーツクライミングのリード種目の日本一を競うジャパンカップが佐賀県で行われ、女子はこの種目の世界選手権金メダリストで、パリオリンピックの代表にも内定している20歳の森秋彩選手がただ1人完登に迫る登りで大会5連覇を果たしました。

スポーツクライミングのリードは、6分の制限時間内に1回のトライで壁を登り、その高さを競う種目で、パリオリンピックでは「ボルダー」と合わせた「ボルダー&リード」として実施されます。

リードの日本一を競うジャパンカップは24日、佐賀県多久市で決勝が行われました。

このうち女子は、去年の世界選手権で金メダルを獲得した大学生の森選手が、序盤に配置されたホールドの間の距離が遠い難しいエリアをクリアすると、テンポよく高度を上げていきました。

終盤の壁の角度が変わったあとの難しいポイントも指の力を生かして突破し、最後のトップホールドに、手を伸ばしたものの惜しくもつかむことはできず、完登目前で落下しました。

それでもほかの選手を圧倒する登りで大会5連覇を果たし、オリンピックに向けて順調な仕上がりぶりを見せていました。

また、オリンピック出場を目指して5月と6月に開催される予選シリーズに臨む21歳の伊藤ふたば選手は4位に入りました。

男子 17歳の小俣史温が大会2連覇

一方、男子は、ともにパリオリンピックの代表に内定している安楽宙斗選手と、楢崎智亜選手が準決勝で敗れる波乱の展開となり、17歳の小俣史温選手が大会2連覇を果たしました。

森秋彩「悔しさを忘れずパリ五輪までに仕上げたい」

得意のリードで大会5連覇を果たした森秋彩選手は「完登できなくてもう1回、時間を戻したいぐらい悔しい。全体的な登りはよかったが、課題である上半身で体を引き上げて、遠いところに飛ぶ動作がまだまだ足りなかった。体の連動性と脚力を強化していきたい。今の悔しさを忘れないで、パリオリンピックまでに仕上げていきたい」と今後を見据えました。

そして大会5連覇を果たしたことについては、「緊張するので気にしていなかったが、実力を1回1回出し切れているということなので、自分の中で自信がついた。反省点を思い返して、より強いクライマーになりたい」と話していました。

小俣史温「W杯初優勝と年間総合優勝ねらいたい」

また、男子で大会2連覇を果たした小俣史温選手は「追い込んで練習してきたので、自信はあった。ワールドカップでの初優勝と年間総合優勝を、ねらっていきたい」と話していました。

伊藤ふたば「持久力ついてきた」五輪初出場へ手応え

スポーツクライミングのボルダー&リードでオリンピック出場を目指す伊藤ふたば選手は、得意のボルダーに対して課題としてきたリードで結果を残し、「持久力がついてきた」と初めてのオリンピック出場に向けた手応えを口にしました。

各国と地域から男女それぞれ最大2人が出場できるスポーツクライミングのボルダー&リードのパリオリンピック代表は、日本選手は、すでに男子の2人と女子の森秋彩選手が内定を決めています。

残る女子の1人の枠は、ことし5月と6月に行われるアーバンスポーツの予選シリーズで決まることになっていて、伊藤選手はここで初のオリンピック出場権獲得を目指します。

予選シリーズに出場する日本勢は伊藤選手を含めて4人で、東京大会の銀メダリスト、野中生萌選手などと出場権をかけたしれつな争いとなります。

伊藤選手はもともとボルダーを得意としていて、2つの種目の合計で競うオリンピックに向けてはリードの力をどこまで上げることができるかが課題でした。

「今どれぐらいの実力をつけているのかを確認する大会にしたい」と臨んだ今回のジャパンカップ。

野中選手など、五輪出場を争うほかの選手たちが準決勝までで敗退する中で、伊藤選手はただ1人決勝まで勝ち進みました。

そして決勝では、持ち味のリーチの長さを生かして順調に高度を上げ、最後は「足が滑った」と落下しましたが、リードを得意とする選手の中に割って入り4位と、しっかり結果を残しました。

伊藤選手は「決勝に残ることができて手応えを感じられた。パーフェクトではなかったが、壁の上部まで行けたのは持久力がついてきたおかげかなと感じた。このまましっかり上げていきたい」と手応えを口にしました。

そのうえで「後半の粘りなどの課題が明確に見えたので、しっかりトレーニングをして、予選シリーズに臨みたい」と話していました。

また、日本代表の安井博志ヘッドコーチは「伊藤選手が思っていた以上にリードの力を上げてきていると感じた。昨シーズンはボルダーが主体だったが、リードの力がついてきたことが確認できた」と評価していました。

スポーツクライミングがオリンピックで初めて採用された東京大会では出場を逃した伊藤選手が、目標とするパリの舞台に立てるのか、日本勢の激しい代表争いに注目です。