香港「国家安全条例」記者協会が意見書提出 報道の自由に懸念

香港政府が制定を目指す「国家安全条例」について、現地の記者協会は「報道の自由に否定的な影響を与えるおそれがある」などとする意見書を出しました。

香港政府は、国家機密を盗むことやスパイ行為、それに、外国勢力による干渉など、国家の安全を脅かす行為を取り締まる香港独自の「国家安全条例」の制定を目指しています。

香港記者協会は24日、政府に意見書を提出し「条例の制定は報道の自由に否定的な影響を与えるおそれがある」などと懸念を表明しました。

この中では「国家機密には経済・社会それに科学技術という新しい分野が加わり、範囲が非常に広く、定義があいまいだ。メディアが法に触れることを恐れて報道を控えるなど、萎縮するおそれがある」と指摘しています。

また「外国の公共メディアや外国の政府から資金提供を受けているメディアが“外国勢力”とされることを懸念している」とも指摘しています。

そのうえで記者協会は「報道の自由に取り返しのつかない損害を与えないよう、条例案ではメディアを十分に保護してほしい」と求めています。

この条例の制定は2003年に市民の強い反対で撤回に追い込まれましたが、2020年に香港国家安全維持法が施行されたあと、政府への抗議活動は厳しく抑え込まれています。

香港政府は今月28日まで意見を募り、なるべく早く条例案を議会に提出するとしています。