「棋王戦」第2局 藤井八冠が伊藤七段に勝利 藤井八冠の1勝に

将棋の八大タイトルの1つ、「棋王戦」の第2局が金沢市で行われ、連覇を目指す藤井聡太八冠(21)が、挑戦者の伊藤匠七段(21)に勝ちました。
対局では能登半島地震で倒壊した住宅から見つかった駒が使われ、駒を提供した被災者の男性も会場を訪れて対局を見守りました。

「棋王戦」の第2局は金沢市で行われ、挑戦者の伊藤七段が先に対局室に入ると、続いて藤井八冠が盤の前に座りました。

今回、使われている駒と盤は、能登半島地震で被災し、妻の紀美子さん(64)を亡くした石川県珠洲市の塩井一仁さん(63)が提供したものです。

将棋の愛好家の塩井さんは1月下旬、倒壊した自宅の隙間からこれまで収集してきた将棋の駒などを偶然見つけたということです。

対局は序盤に大駒の「角」を交換する「角換わり」の戦型となり、午前中、ハイペースで進みました。

そして終盤、形勢を有利にした藤井八冠が押し切って94手で伊藤七段が投了しました。

藤井八冠は終局後のインタビューで駒について「倒壊された家の中から見つかったという点でも特別な駒だと思うので、指していて、なんとかうまい将棋にしたいという気持ちは強くありました」と話しました。

第1局は互いの「玉」が詰む見込みがなくなる「持将棋」となり、規定によって引き分けとなったため、これで藤井八冠の1勝となりました。

対局のあと塩井さんは見つかった駒が使われたことについて「本当に大会を彩る役割を果たしてくれたと思います。みんな笑顔になって、明るい話題になって被災地の多くの方にも喜んでもらえたと思います」と話していました。

「棋王戦」五番勝負は来月にかけて日程が組まれ、次の第3局は3月3日に新潟市で行われる予定です。

対局会場近くでは「大盤解説」 地元の将棋ファンが見守る

対局会場近くのホールではプロ棋士による「大盤解説」が開かれ、地元の将棋ファンも訪れて勝負の行方を見守りました。

このうち、石川県白山市の36歳の男性は「能登半島地震で中止になるかと思いましたが開催されてよかったです。がれきから見つかった貴重な駒が使われ、全国的に有名な藤井八冠も来て注目され、石川も元気になると思います。終盤まで白熱した対局を見たいです」と話していました。