ウクライナ“パリ五輪・パラを通じ平和を国際社会に訴えたい”

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって2年となり、スポーツ界にも影響が続く中、パリオリンピック・パラリンピックの開幕がこの夏に迫っています。ウクライナのスポーツ担当の幹部は、大会を通じて平和を国際社会に訴えたいとする考えを示しました。

ウクライナの青年スポーツ省によりますと、ロシアによる軍事侵攻が始まってからこの2年間に受けた国内でのスポーツ関連の被害は、選手やコーチなど少なくとも400人以上が死亡、練習場や合宿所といった500以上の施設が破壊されるなどしたということです。

侵攻開始から2年、パリオリンピック・パラリンピックがこの夏に迫る中、NHKの取材に応じたウクライナのビドニー青年スポーツ相代行は「ウクライナは大きな損失と困難を毎日背負い続けており、選手たちは練習や大会の最中にも砲撃を受け、防空ごうに移動するような状況の中で競技している。パリ大会は、いまウクライナで何が起こっているかを世界に思い出させる非常に大きな機会となる」と述べ、大会を通じて平和を国際社会に訴えたいとする考えを示しました。

IOC=国際オリンピック委員会などは、パリ大会でのロシアとその同盟国のベラルーシの選手の出場について「中立な立場の個人資格の選手」として、軍の関係者でないことや、軍事侵攻を積極的に支持していないことなどを条件に認める方針を示しています。

これについて、ビドニー青年スポーツ相代行は「ロシアにおいては、大会での活躍がプロパガンダに利用されることは明らかであり、いかなる選手も中立であることはできない」と改めて参加に反対する立場を強調しました。

また、両国の選手が参加した場合、大会をボイコットする可能性があるかについては、「われわれが求めている条件が整うかどうかを注視し最終決定する」と述べ、明言を避けました。

一方、ロシアのマティツィンスポーツ相は、ロシア国営のタス通信などに対し、「オリンピックへの参加がアスリートの夢であることは否定しないが、提示された条件は絶対的に差別的であり、オリンピックの基本原則に反している」などと批判しています。

軍事侵攻から2年、スポーツ界においても両国の対立が続く中、『平和の祭典』とされるパリでのオリンピック・パラリンピックがどのような大会となるのか注目されます。