ナワリヌイ氏の母親 “遺体と対面も秘密裏の埋葬 脅迫された”

ロシアのプーチン政権への批判を続け、刑務所で死亡した反体制派の指導者ナワリヌイ氏の母親は22日、捜査当局の指示でナワリヌイ氏の遺体と対面したと明らかにしました。一方、遺体の引き渡しが拒否された上で秘密裏に埋葬することに同意するよう脅迫してきたとしていて当局の対応を強く非難しています。

ロシアの当局は今月16日、刑務所に収監されていた反体制派の指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏が死亡したと発表しましたが、その後も遺体の引き渡しを求める母親らの要求には応じていません。

ナワリヌイ氏の母、リュドミラさんは22日、新たな動画を公開し、このなかで「昨夜、私はひそかに安置所に連れて行かれそこでアレクセイを見せられた」と述べ、当局の指示でナワリヌイ氏の遺体と対面したと明らかにしました。

そのうえで「彼らは私を脅迫し、アレクセイの埋葬の場所や時期、方法について条件をつけてきた。秘密の葬儀に同意しなければ遺体に何かをすると告げた。私に対して『時間は味方にならない。遺体は腐敗しつつある』と言ってきた」などと述べ、当局側は遺体の引き渡しを拒否し、秘密裏に埋葬することに同意するよう脅迫してきたと非難しました。

リュドミラさんは当局側が脅迫してきたため、今回、動画を公開したとしていて、改めて遺体を直ちに引き渡すよう求めると訴えています。

また、リュドミラさんやナワリヌイ氏の支援団体によりますと、当局側はリュドミラさんに対し、ナワリヌイ氏の死亡診断書に署名させたとしていて、この書類には「死因は自然死」と記されていたとしています。

ナワリヌイ氏の死亡を巡ってはプーチン政権が関与したのではないかという疑惑が指摘されていますが、今回、リュドミラさんの訴えを受けて政権側に対する非難が一層強まるものとみられます。

バイデン大統領 ナワリヌイ氏の妻ユリアさんらと面会

アメリカのバイデン大統領は22日、ロシアのプーチン政権への批判を続け、刑務所で死亡したナワリヌイ氏の妻、ユリアさんと娘のダーシャさんに訪問先のサンフランシスコで面会しました。

ホワイトハウスが発表した声明によりますと、バイデン大統領は哀悼の意を伝えるとともに「ナワリヌイ氏はロシアの民主主義や自由を求めて闘った」としてその功績をたたえたということです。

バイデン大統領は面会後、記者団に対し「ナワリヌイ氏の死亡の責任はプーチンにある」と述べ、ロシアのプーチン大統領を改めて批判し、23日に新たな経済制裁を発表するとして責任を追及していく姿勢を強調しました。

この制裁についてヌーランド国務次官は22日、首都ワシントンで行われたシンクタンクのイベントで「強力かつ大量の制裁だ」としたうえで、ナワリヌイ氏の死に直接、関与した人物が対象に含まれると述べました。

仏 パリでナワリヌイ氏追悼集会

フランスのパリでは、22日、ロシアの人権問題などに取り組む団体が、ロシアのプーチン政権の批判を続け、収監されていた刑務所で死亡した反体制派の指導者ナワリヌイ氏を追悼する集会を開きました。

主催者によりますと、広場で開かれた集会には、およそ400人が集まり、ナワリヌイ氏の写真などを掲げた人たちは「プーチンは殺人者だ。自由なロシアにしよう」などと繰り返し叫んでプーチン大統領を批判しました。

また、「戦争反対」とか、「ウクライナに連帯しよう」などと、そろって声を上げ、ロシアに対し、ウクライナへの軍事侵攻を直ちにやめるよう訴え、集会の最後にはいっせいに携帯電話のライトをともして、ナワリヌイ氏を追悼しました。

集会に参加した、フランス在住のロシア人女性は「ここに来たのは、フランスでは、今のロシアとは違って、自由に意見を表明できるということを示したかったからです」と話していました。

また、軍事侵攻が始まった直後にロシアから脱出してきたという男性は「プーチンに対抗してきた人物を追悼するために来ました」と話していました。