イラン議会選挙 選挙戦始まる 保守強硬派が勢力拡大するか焦点

イランで来月に投票が行われる議会選挙に向けた選挙戦が始まりました。ウクライナやパレスチナのガザ地区の情勢などをめぐり、欧米との対立が深まる中、政権の外交・軍事政策を支持する保守強硬派が勢力をさらに拡大するかが焦点となっています。

来月1日に投票が行われるイランの議会選挙は、290の議席をめぐって22日から選挙戦が始まりました。

イランは、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに無人機を供与していると欧米側から指摘されていますが、これを否定し対立を深めてきました。

また、イランはパレスチナのイスラム組織、ハマスの後ろ盾となり、ガザ地区で軍事作戦を続けるイスラエルや軍事的に支援するアメリカと激しく対立しています。

今回の選挙では、欧米と対立するライシ政権の外交や軍事政策を支持し、議会で多数派を占める保守強硬派が勢力をさらに拡大するかが焦点となっています。

一方、立候補の事前審査を行う機関は、申請を受理した人のうちおよそ4分の1が審査で失格となった結果、およそ1万5000人が立候補したとしています。

失格した人の中には、おととし、「ヘジャブ」と呼ばれるスカーフのかぶり方をめぐってデモが広がった際に政権を批判した政治家などが含まれていることから、「公正な選挙ではない」として、ボイコットを呼びかける声もあがっていて、投票率も注目されます。

選挙に期待しない人も多く

今回の議会選挙について、首都テヘランでは大事な選挙だという声が聞かれた一方、投票しないという人も多くいました。

このうち、57歳の女性は「選挙に行かなければ自分に関わることを他人に任せることになります。イスラム教の教えに基づいた国であることをわかっている候補者を選びます」と話していました。

一方、60歳の男性は「自由な選挙ではないので投票には行きません。たくさんの候補者が失格となり、私が投票したい候補者はいません」と話していました。

また、政治家が信用できないため投票に行かないという52歳の男性は「社会全体が経済制裁の影響を受けて、外国から物を輸入できず、商品の質は落ちています。われわれ自身が弱っているのにハマスに興味なんて持てません」とハマスなどへの支援を批判していました。

同じく投票に行かないという30歳の女性は、おととしのデモが政権側の強硬な取締りにより鎮圧されたことをあげて「政府は人々を失望させ、何かを変えられるという希望はなくなりました。投票には何の効果もありません」と話していました。

前回、4年前の議会選挙では投票率が42%余りと1979年のイスラム革命以来、最低となっていて、今回、投票率がどうなるかも注目されています。