G20外相会合閉幕 ロシアの軍事侵攻で各国間に意見の隔たり

ブラジルで開かれたG20=主要20か国の外相会合が22日、閉幕しました。議長国ブラジルの外相はロシアによるウクライナへの軍事侵攻について「いくつかの国が侵攻を非難した」と述べるにとどめ、意見の隔たりの大きさをにじませました。

ブラジルのリオデジャネイロで開かれたG20の外相会合はウクライナや中東情勢、それに国連などの国際機関の改革をテーマに各国の外相が議論を行い、日本時間の23日未明に2日間の日程が終了しました。

閉幕後に会見した議長国ブラジルのビエイラ外相はロシアによるウクライナへの軍事侵攻について「いくつかの国がこれまでと同様に侵攻を非難した」と述べるにとどめました。

ウクライナへの軍事侵攻からまもなく2年となりますが、鋭く対立するG7=主要7か国とロシア、それに中立的な立場をとるグローバル・サウスの国々の間で意見の隔たりがあることをにじませました。

一方、イスラエルが軍事作戦を進めるガザ地区を巡っては「多くの国が懸念を表明し、紛争が近隣諸国に広がるリスクを指摘した。南部ラファへの地上作戦の中止を多くの国が求めた」と述べ、懸念を共有したとしています。

さらに機能不全が指摘されている国連の安全保障理事会などの国際機関についても、改革が必要だとする認識で一致したとしていて、議長国のブラジルはことし9月、ニューヨークの国連総会の場で第2回の外相会合を開き、議論を深めたい考えです。

上川外相 国連改革を訴え

G20の外相会合では、地球規模の課題解決に向けた話し合いが行われ、この中で上川外務大臣は「気候変動や食料などの課題に効果的に対処するためには、グローバル・ガバナンスの改革が急務であり、『人間の尊厳』という原点に立ち返って人間中心の国際協力を推進していく必要がある」と強調しました。

また、国連改革について、機能の強化が不可欠だとした上で「安全保障理事会の構成に国際社会の現実を反映させるためには、常任理事国と非常任理事国の双方の拡大が必要で、具体的な行動に移していくべきだ」と訴えました。

さらに、急速に普及する生成AIについて、去年のG7広島サミットで合意した新たな枠組み「広島AIプロセス」に基づいて国際社会のルールづくりに取り組んでいることを説明し、安全で信頼できるAIの実現に向けて、G20での議論にも貢献していく考えを示しました。

会場近くでパレスチナ支持者らがデモ イスラエルを批判

G20の外相会合が開かれたブラジルのリオデジャネイロではパレスチナを支持する人たちが参加するデモが行われ、ガザ地区で軍事作戦を続けるイスラエルを批判しました。

リオデジャネイロで開かれたG20外相会合の会場近くで22日に行われたデモには、パレスチナを支持する人たちおよそ100人が集まりました。

警察が厳重な警備態勢を敷くなか、参加者は横断幕を掲げたり旗を振ったりしながらガザ地区で軍事作戦を続けるイスラエルに対する非難の声を上げていました。

参加した40代の男性は「パレスチナの完全な自由を支援するために来ました。G20の国々はイスラエルを国際社会から孤立させる必要がある」と話していました。

また、女性のひとりは「ガザ地区でパレスチナの人たちに行われている集団殺害に反対だ」と訴えていました。

ガザ地区の状況を巡ってはブラジルのルーラ大統領が、かつてユダヤ人を虐殺したナチス・ドイツのヒトラーを引き合いに出して軍事作戦を続けるイスラエルを非難したのに対し、イスラエル側が強く反発してルーラ大統領の入国を拒否する姿勢を示すなど両国の外交問題に発展しています。