ウクライナ世論調査“ロシアに領土を譲歩すべきではない”7割

ウクライナ国内で行われている世論調査では、侵攻を続けるロシアに対して7割以上の人が「領土を譲歩すべきではない」と答え、依然として多くの人が政府の徹底抗戦の方針を支持する考えを示した形です。ただ、最新の調査では最も高かった時と比べると13ポイント下がりました。

この調査は、ウクライナの調査会社「キーウ国際社会学研究所」がおととし5月から行っていて、去年12月までに合わせて8回実施されています。

対象はロシアが支配している南部クリミアなどを除くウクライナ全土で、毎回、1000人以上が回答しています。

この1年でみると、ロシアに対して「領土を譲歩すべきではない」と答えた人は、去年の▽2月が87%、▽5月が84%、▽10月が80%、▽12月が74%となっていて、依然、7割以上の人が政府の徹底抗戦の方針を支持する考えを示した形です。

一方で3回連続で減少し、減少の幅も大きくなっていて、最新の調査の12月は、最も高かった去年2月と比べて13ポイント下がりました。

また、ゼレンスキー大統領を「信頼している」と回答した人は去年の▽10月が80%、▽12月が77%と高い支持率を維持しています。

ただ、今月、ゼレンスキー大統領が国民に人気の高い軍のザルジニー総司令官を解任した8日の前後に行われた調査では「信頼している」と回答した人は64%となっています。

ロシア世論調査 軍事侵攻「支持」70%台で推移

ロシアでは独立系の世論調査機関「レバダセンター」が毎月、ロシア国内の1600人余りを対象に対面形式で調査を行っています。

それによりますと、ロシアが「特別軍事作戦」とするウクライナへの軍事侵攻について「支持する」と答えた人はこの1年、70%台で推移しています。

また、「プーチン大統領の活動を支持する」と答えた人は80%台となっています。

一方で、「軍事行動を続けるべきか」「和平交渉を開始すべきか」という質問では、「和平交渉の開始」と答えた人のほうが1回の調査を除き「軍事行動の継続」より多くなっています。

このうち、去年11月では「和平交渉の開始」と答えた人は57%で、プーチン政権が予備役の動員に踏み切った後に行われたおととし10月と並び最も高くなりました。

「レバダセンター」は、政権から「外国のスパイ」を意味する「外国の代理人」に指定され、圧力を受けながらも独自の世論調査活動や分析を続けています。

米 世論調査 ウクライナへの支援“過剰” 増加

ウクライナへの「支援疲れ」も指摘される中、最大の支援国であるアメリカの世論はどうなっているのか。

アメリカの世論調査機関「ピュー・リサーチセンター」が行った世論調査によりますと、アメリカによるウクライナへの支援について「過剰だ」と答えた人は去年12月は31%で、軍事侵攻が始まった直後のおととし3月時点の7%から24ポイントも増えています。

こうした傾向は野党・共和党支持者で顕著となっていて、支援について「過剰だ」と答えた人は9%から39ポイント増えて48%になっています。

一方、与党・民主党の支持者では5%から16%と11ポイントの増加にとどまっています。

また、ロシアのウクライナへの軍事侵攻がアメリカにとって「深刻な脅威である」と答えた人は33%で、軍事侵攻が始まった直後の去年3月の50%を17ポイント下回っています。

こちらも野党・共和党支持者で顕著で、「深刻な脅威である」と答えた人は51%から半減し27%となっています。

一方、与党・民主党支持者では、50%から40%と10ポイントの減少にとどまっています。

西側諸国の軍事支援 現状は

西側諸国は、ウクライナに対してこの一年も巨額の軍事支援を続けてきました。しかし、戦闘が長期化する中で、支援の先行きは不透明となっています。

ドイツの「キール世界経済研究所」は、各国が表明した軍事支援や人道支援などを含む支援額について、おととし1月24日からおよそ2年間の総額を公表しています。

それによりますと、支援額が最も多いのは、EU=ヨーロッパ連合で849億ユーロ、日本円でおよそ13兆7500億円に上ります。

次いで、
▽アメリカが677億ユーロ、およそ10兆9600億円、
▽ドイツが220億ユーロ、およそ3兆5600億円、
▽イギリスが156億ユーロ、およそ2兆5200億円、
▽デンマークが87億ユーロ、およそ1兆4000億円、
▽ノルウェーと日本が75億ユーロ、およそ1兆2100億円などとなっています。

このうち軍事面での支援で見るとアメリカが最も多く、422億ユーロ、およそ6兆8300億円で、
次いで
▽ドイツが177億ユーロ、およそ2兆8600億円、
▽イギリスが91億ユーロおよそ1兆4700億円などとなっています。

一方、軍事侵攻2年となる中、欧米各国では「支援疲れ」も指摘されていて、支援の先行きが不透明になっています。

最大の支援国のアメリカでは、追加支援に必要な予算案の議会での審議が、野党・共和党の反対で暗礁に乗り上げ、支援が滞った状態が続いています。

こうした中、EU=ヨーロッパ連合は今月、ウクライナに対し、今後4年間で500億ユーロ、日本円で8兆円規模の資金支援を行うことで合意しました。

しかし、アメリカの支援の滞りによる影響への懸念は大きく、「キール世界経済研究所」は、「ヨーロッパ各国がアメリカの軍事支援の埋め合わせをするためには今の2倍の支援が必要だ」と分析しています。

戦闘の長期化は避けられない見通しの中、西側諸国からの支援が続くかどうかが戦況を大きく左右することになります。