能登半島地震 必要な支援と課題は?首長発言から【2月22日】

能登半島地震の発生から7週間以上がたちます。

石川県の「災害対策本部員会議」には被災自治体の首長が参加し、それぞれ、いまの被災地の状況や今後の見通し、課題などを報告し、必要な支援なども訴えています。

2月22日に開かれた会議での被災自治体の首長の主な発言をまとめました。

※発言の順番に掲載しています。

輪島市 坂口茂市長「災害廃棄物は66年分の大変な量」

「建物の被害調査は住家については、1万643棟まで進んだ。全壊は27%、半壊以上は50%。住家以外の非住家の建物も含めると建物被害調査は1万7479棟と全体のおよそ6割まで進んだ

それに比べ、り災証明の発行は、全体の建物のおよそ10%となっていて、今後さらなる発行に努めてまいりたい」

「水道は全体の35%、3971戸が復旧している。1日でも早く復旧・復興を進め、避難者の皆様に日常の生活に戻っていただくよう取り組んでいる」

避難所の数は少し減っているが、避難者の数は大幅に減らない状況になっている。日常の生活に戻るために必要なのは、水・住まい・倒壊家屋の撤去、そしてなりわい再建だと思っている」

「倒壊家屋の撤去について市で算出したところ、災害廃棄物の発生量はおよそ75万トンとなる。これは市のおよそ66年分の排出量。大変な量なので、人的支援も含め撤去・排出への支援の対応をぜひともお願いする」

珠洲市 泉谷満寿裕市長「避難所の運営 厳しい状況も」

「ボランティアの受け入れ、奥能登ベースキャンプの開設は本当にありがたい」

「発災からまもなく8週間。避難者の人数はピーク時の5分の1ほどとかなり減ってきてはいるが、避難所によっては自治会による運営が非常に厳しい状況となっている。特に避難所になっている学校では、児童生徒の授業の本格化とともにスペース的に難しくなってきている。こうした課題を丁寧に解決していくには、学校の中のレイアウトの変更など専門的なスキルが必要になってきている」

「各自体から応援にきていただいている職員の方々、感謝の念に耐えないが、これから年度末を迎えることから、今後も同様の人員規模を期待するのも難しいかなと思っている」

「今後、上下水道の復旧や仮設住宅の建設の進み具合も踏まえ、避難所の集約を図っていくが、避難所運営について、専門的なスキルを有する人を、県を介してNPOなどの団体から派遣していただいたり、県職員の応援をいただくなど、さらなる支援をお願い申し上げる」

穴水町 吉村光輝町長「転出者が前年の3倍以上に」

「避難者数は654人、避難所の数は23か所。ラインおよび電話による避難者登録は685人となっている」

「り災証明の発行数は2029件と調査件数の約50%となっている」

「水道復旧について。上水道契約戸数の復旧率は82%。地区管理水道については、こちらも復旧率は82%。残り8か所、122世帯となっている」

仮設住宅について。川島児童公園の15戸は2月29日から。穴水交通公園の18戸は3月6日から入居を開始する予定。この2月24日、25日に入居者向けの説明会を実施する予定」

「被災者の食事支援について。穴水町では被災者向けの食事を提供できるセントラルキッチンの整備を進めている。支援自治体や町の管理栄養士と、支援物資を活用したメニューを立案。町飲食店組合が調理を担当するかたちで内閣府と相談しながら準備を行い、来週中に実施する予定で準備を進めている」

令和6年1月末からの転出者の数は39名と前年同月の12名と比較するとおよそ3倍以上に。人口流出が今後の復興の課題となってくると思う。さらに動向を注視しつつ、今後の復興に取り組んでいきたい」

「町では3月1日付で総務課内に『復旧・復興対策室』を設置する。年度内は総務課職員に兼務辞令を交付し、地震の災害復旧対策や復興計画の策定の準備を行うほか、各関係機関との調整業務を行う。新年度の4月からは、中長期的に迎える全国の自治体職員を加え、本格的に業務に当たることを予定している」

能登町 大森凡世町長「公費解体の申請が伸び悩んでいる」

「公費解体について。町でも個別の説明や申請の受け付けを実施している。説明には多くの住民にきてもらっているが、実際の公費解体の申請件数が非常に伸び悩んでいる。家屋の相続が進んでいなかったりして、手続きに踏み出しづらいということがあると考えている」

「今後、り災証明の交付が進むにつれて申請が加速する思う。町としても手続きを簡便にしたり、周知のしかたや出張相談など、さまざまな工夫をしていきたいと考えている。国や県も公費解体の申請が進むように、手続きの簡素化などに助言をもらえればと思っている」

「連日のお願いになるが、宅地の被害について。住家被害の6割以上が一部損壊となっている。見かけ上は非常に軽微な被害のように思われるが、地面が動いているので家が傾いている、壁が崩れている、地割れなど、多くの宅地被害が現実に生じている」

「例えば家が傾いている場合には、ジャッキアップ工法などの工事が必要で、その工事も相当額にのぼる。一部損壊だからといって決して負担が小さいということではないと思っている」

「熊本地震では、国の制度の隙間となる事業について支援がなされたというふうに聞いている。宅地の被害に関わる支援の拡充をぜひともお願いするとともに、その前提として、被害の全貌把握が必要ということであれば、宅地判定士の派遣など必要な対応を進めていただければと思う」

七尾市 茶谷義隆市長「能登島地区の通水見込みを前倒し」

「22日に能登島の供給点に県水が送水された。誠にありがたい。能登島地区への通水の見込みを今まで4月としてたが、3月中に変更させてもらった

「県のご好意により、仮設で能登島への送水管から和倉方面へ一部分水をすることができた。これにより、漏水調査をかけることができ、和倉・石崎方面への通水も早まるのではないか。一番の懸念だった能登島、和倉、石崎方面への通水が早まることで市民も安心するのではないか」

災害廃棄物の仮置き場は、2月26日から追加で2か所増やしてもらった。これにより道路の渋滞も緩和されるのではないか」

「仮設住宅について。21日に新たに161戸を着工してもらった。まだ未整備の部分が地3か所、110戸の要望を出しているので、引き続きよろしくお願いしたい」

志賀町 稲岡健太郎町長「道の駅のトイレ使えず 迅速な対応を」

「避難所について。21日現在で20か所、560人が避難している。前回(20日)の報告から2人減った」

「り災証明について。1次調査が9536棟で完了していて、進捗(しんちょく)は74%となっている。発行件数は2941件となっていて、もう少しスピードアップを図りたい」

「断水の状況について。21日現在で8300戸まで上水道が通水した。率にして94.3%まで通水している。ただ、下水の方はまだまだで、農業集落排水、浄化槽、コミュニティプラントなどはまだ調査段階で、今後さらに復旧を進めていきたい。引き続き支援をお願いしたい」

「仮設住宅について。227件の応募に対して、23日に選考委員会を開催し、入居者を選定する。引き続き仮設住宅の工事をよろしくお願いしたい」

「災害ごみについて。平均で2か所で1日に764台を受け入れている。1日におよそ130トンを処理していて、順調に稼働している」

ボランティアはこれまでニーズの受け付けが590件に達し、完了した件数は294件。これまで参加してもらったボランティアは1899人となっている。引き続きボランティアの派遣をお願いしたい」

「最後に要望だが、いま道の駅のトイレが使えない状態がずっと続いている。24時間使用できるはずの道の駅のトイレが使えないという状況で、支援にきているボランティアや事業者の方々も大変苦労している。復旧は秋ごろだという話も聞いている。人手不足なのは重々承知しているが、いま一度、迅速な対応をお願いしたい。もし人手が不足して手が回らないのであれば、例えば管理が比較的容易なマンホール設置型の仮設トイレなどをおいて対応してもらうことも検討してもらいたい」

石川県の「災害対策本部員会議」の内容は県のホームページから誰でも確認できます。資料を確認できるほか、会議の動画を見ることもできます。