軍事侵攻2年 ロシア支持サイトなどの記事 拡散割合増える

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から2年になるのを前に、NHKがSNSで拡散されたウクライナに関する日本語での投稿を分析したところ、G7広島サミットが開かれた去年5月ごろからロシアを支持する内容のまとめサイトなどの記事が拡散する割合が増えていることが分かりました。中には偽情報もあり、専門家は当初より関心が低下する中で、ウクライナ支援への負担が注目されるようになっていることが背景にあるとしています。

NHKはこの2年間、旧ツイッターのXやフェイスブックで拡散されたウクライナに関する日本語での投稿を分析ツール「BuzzSumo」を使って分析し、拡散が多かった記事や情報の20位までを3か月ごとに比較しました。

その結果、当初は、支援団体の情報や欧米や日本などの大手メディアの記事が19を占め、去年春まで傾向は変わりませんでしたが、G7広島サミットが開催された去年5月ごろからロシアを支持する投稿を繰り返す「まとめサイト」やロシアの国営メディア「スプートニク」などの記事が上位20位に入ってくるようになり、▽去年8月までの3か月間では上位20のうち7つ、▽今月中旬までの3か月間は5つとなっていました。

直近では「まとめサイト」による「ウクライナ復興に日本が払う金額は50兆円くらいになるかもしれない」とする偽情報が最も多く拡散されたものとなっていました。

上位20位までの拡散の数は、侵攻が始まった時期から最初の3か月間では合わせておよそ77万回だったのが、直近では18万回と下がっていて、専門家は当初より関心が下がる中で、ウクライナ支援への負担が注目されるようになっていることが背景にあるとしています。

上智大学文学部新聞学科の国枝智樹准教授は、「ウクライナへの支援が日本の負担になっていると批判する言説が拡散される状況ができてきている。政治や社会の情勢が変わる中でフェイクニュースや親ロシア的な言説が広く拡散し政治的な影響力が発揮される機会が訪れているのではないか」と話しています。

拡散されたウクライナ関係の記事や情報は

旧ツイッターのXやフェイスブックで拡散されたウクライナに関する日本語で広がった記事や情報を調べると、最も拡散されたのは▽侵攻始まった時期の3か月間は国際NGOの「国境なき医師団」が寄付を求める情報で、▽去年2月までの3か月間でも、ウクライナからの避難民を受け入れる自治体に寄付する「ふるさと納税」のウェブサイト、▽去年5月までの3か月間は、岸田総理大臣がゼレンスキー大統領に広島特産の「必勝」と書かれたしゃもじなどを贈ったことを伝える新聞社の記事でした。

それがG7広島サミットが開かれた去年5月ごろに傾向が変わって、ウクライナ批判や親ロシアの記事の拡散が上位に来るようになり、▽去年8月までの3か月間に最も拡散されたのは、「ウクライナ復興税を徴収し、日本は20兆円支援」とするまとめサイトの偽情報で、▽直近のことし2月半ばまでの3か月間ではロシアを支持する投稿を繰り返しているまとめサイトが「ウクライナ復興に日本が払う金額は50兆円くらいになるかもしれない」とする偽情報となっていました。