イスラエル軍はガザ地区の北部や中部で空爆や地上部隊による作戦を続けているほか、攻撃から逃れてきた住民を中心に150万人近くがいる南部ラファに対してもイスラム組織ハマスの最後の拠点があるとして地上作戦を強行する構えを強めています。
死傷者が増え続ける中、現地で人道支援などにあたってきた国連機関やNGOの代表ら19人は21日、緊急の共同声明を出しました。
声明では「ガザでは病気がまん延し、飢きんが迫っている。病院も戦場と化した」として強い危機感を示しました。
そのうえで「わずかな土地に100万人以上の避難民が集まるラファで暴力がエスカレートすれば、さらに多くの死傷者が出ることになる」として、一刻も早い停戦の実現を訴えました。
また、世界各国の首脳に対しても、これ以上の大惨事が起きるのを防ぐため行動するよう求めました。
イスラエルとハマスの間の交渉をめぐっては、アメリカのCIA=中央情報局のバーンズ長官が近くフランスを訪れ、仲介にあたるカタールとエジプト、それにイスラエルの高官と協議を行うとアメリカのメディアが伝えていますが、交渉が進展するかは依然として不透明です。
【2月22日詳細】国連機関「ガザで病気まん延 飢きん迫る」
イスラエル軍が激しい攻撃を続けるガザ地区で人道支援などにあたってきた国連機関やNGOは「ガザでは病気がまん延し、飢きんも迫っている」として強い危機感を示す緊急の共同声明を出し、一刻も早い停戦の実現を訴えました。
※イスラエルやパレスチナに関する日本時間2月22日の動きを随時、更新してお伝えします
国連機関などが緊急声明「ガザでは病気まん延 飢きん迫る」
米メディア “CIA長官 フランスでイスラエル高官などと協議へ”
イスラム組織ハマスに捕らわれている人質の解放に向け、アメリカのCIA=中央情報局のバーンズ長官は近くフランスを訪れ、仲介にあたるカタールとエジプト、それにイスラエルの高官と協議を行うとアメリカのメディアが伝えました。
ただ、イスラエルとハマスの間で交渉が進展するかは依然として不透明です。
アメリカのニュースサイト、アクシオスは21日、イスラエル政府当局者などの話として、今月23日にCIAのバーンズ長官がフランスのパリを訪れ、人質の解放に向けて仲介にあたるカタールとエジプト、それにイスラエルの高官と協議すると伝えました。
また、複数のバイデン政権高官は、来月10日ごろに始まるイスラム教の断食月、ラマダンまでにイスラエルとハマスの間の交渉を成立させ、戦闘の休止を実現したいと話しているということです。
一方、イスラエルの戦時内閣に入っているガンツ前国防相は21日「進展を示す初期の兆候がある」と述べ、交渉の進展に前向きな見方を示しました。
ただ「新たな取り引きが成立しなければ、ラマダンの期間中も作戦を続ける」と述べ、ラマダンまでに人質を解放しなければガザ地区南部ラファへの地上作戦を行う姿勢を改めて示唆しました。
交渉をめぐっては、戦闘休止の期間やイスラエルの刑務所から釈放されるパレスチナ人の数などについて、イスラエルとハマスの間で隔たりが大きいままで、交渉が進展するかは依然として不透明です。
イスラエル軍がラファなどに空爆 住民の犠牲が後を絶たず
イスラエル軍は、イスラム組織ハマスの最後の拠点があるとするガザ地区南部のラファなどに対し21日も空爆を行っていて住民の犠牲が後を絶たない状況が続いています。
イスラエル軍がラファへの地上作戦を行う構えを示す中、被害がさらに拡大することが懸念されています。
イスラエル軍は21日、ガザ地区南部ハンユニスでの作戦を強化し、地上部隊がハマスの戦闘員数十人を殺害したと発表しました。
また、パレスチナの地元メディアによりますと、連日のようにイスラエル軍の空爆が続いている南部ラファでは、21日も空爆があり死者やけが人が出ているということです。
ガザ地区の保健当局は21日、過去24時間にイスラエル軍の攻撃で118人が死亡し、これまでの死者は2万9313人に上ったとしています。
21日にラファで撮影された映像には、空爆で激しく破壊された住宅から家財道具を持ち出す人たちの姿が写っていて、住民の1人は「みんなラファに避難してきているが、ここには安全な場所はありません」と訴えていました。
イスラエル軍はハマスの最後の拠点があるとしてラファへの地上作戦を行う構えを崩していませんが、ラファには150万人近くが暮らしていて、住民の犠牲など被害がさらに拡大することが懸念されています。