国交省 豊田自動織機のエンジン3種 型式指定取り消し明らかに

豊田自動織機が排出ガスの性能試験で不正を行っていた問題で、国土交通省はフォークリフトなどに搭載する3種類のエンジンで悪質な不正行為が確認されたなどとして、これらの大量生産に必要な型式指定を取り消すと明らかにしました。

豊田自動織機の排出ガスの性能試験をめぐっては、これまでフォークリフトや自動車に搭載する、生産中だった8種類のエンジンで不正が明らかになっています。

不正の発覚を受け、国土交通省は先月下旬から会社への立ち入り検査を行い、事実関係の確認を進めてきました。

国土交通省によりますと、その結果、フォークリフト用の2種類のエンジンと建設機械用の1種類のエンジンで、排出ガスの試験の際にエンジンの制御プログラムを書き換えるなどの悪質な不正行為が確認されたということです。

さらに、建設機械用のエンジンは国が求める排出ガス性能の基準を満たしていなかったこともわかったということです。

このため、国土交通省はこれら3種類のエンジンの大量生産に必要な型式指定を取り消す方針を固め、手続きを始めたことを明らかにしました。

また、国土交通省は豊田自動織機に対し、抜本的な改革を求めるとして、22日午前、道路運送車両法に基づく是正命令を出しました。

国土交通省を訪れた豊田自動織機の伊藤浩一社長に対し、物流・自動車局の鶴田浩久局長は「不正行為は国の型式指定制度の信頼を著しく損ない、わが国の製造業への信用を失墜させかねないため、極めて遺憾です。信頼を回復するため、会社の体制、体質を抜本的に改正して、二度と不正を行うことのないよう、再発防止に取り組んでください」と述べ、是正命令書を手渡しました。

国土交通省によりますと、今後、1か月以内に再発防止策を報告するよう求めたということです。

斉藤国交相「不正行為起こさない体制をつくる抜本的改革を」

斉藤国土交通大臣は22日の閣議後の会見で、「先月30日以降、豊田自動織機および、自動車用エンジンの供給を受けているトヨタ自動車や日野自動車に対する立ち入り検査を行い、事実関係の確認を進めてきた。この結果を踏まえ、きょう、特に悪質な不正行為が行われたと認められる3種類の産業機械用エンジンの型式指定の取り消しに向け、法令に基づく手続きを開始する」と述べました。

そのうえで、「二度とこうした不正行為を起こさない体制をつくるための抜本的な改革を促す」として、豊田自動織機に対し、道路運送車両法に基づいた是正命令を出すことを明らかにしました。

国交省 今後の対応

国土交通省は今後の対応として、会社から国の基準への適合が確認されたと報告があった自動車用のエンジン3種類と、フォークリフト用のエンジン2種類について、基準に適合するか確認し、結果を順次公表すると明らかにしました。

また、ほかの自動車メーカーなどに対し、これまでの型式指定の申請で不正行為があったかどうか調査したうえで、ことし4月末までに報告するよう指示していて、その結果を踏まえて必要な対応をとるとしたほか、相次ぐ不正に対応するため、有識者などでつくる検討会を設置するとしています。

このほか、国土交通省は今回の一連の対応で、豊田自動織機からエンジンの供給を受けるトヨタ自動車と日野自動車にも立ち入り検査を行い、その結果、不正への関与は認められなかったことも明らかにしています。

伊藤浩一社長「真摯に受け止めて地道に」

豊田自動織機の伊藤浩一社長は是正命令書を受け取ったあと記者団に対し、「私どもはやってはいけないことをやってしまいました。原点にたちかえってやり直すという指導だと思います。真摯(しんし)に受け止めて、真面目に地道にやっていきたい」と述べました。

経営責任について問われたのに対し、「経営の問題も非常に大きいと重く受け止めているので、私がリーダーシップをとり、今後の再発防止に向けた取り組みを最優先の課題として取り組むことが一番重要なことだと思っている」と述べました。

そのうえで、引き続き、職責を担うかと問われると「今後の再出発に向けて何が重要なのかを考えながら、皆さんにお知らせするようなことが出てくればお知らせしたいと思っている」と述べるにとどまりました。