G20外相会合 開幕 ウクライナや中東情勢 国際機関改革を議論へ

G20=主要20か国の外相会合が21日、ブラジルで開幕しました。
2日間の日程で行われる会合では、ウクライナや中東情勢、それに国連など国際機関の改革について議論が交わされる見通しです。

G20の外相会合は21日、日本の上川外務大臣やアメリカのブリンケン国務長官、それにロシアのラブロフ外相などが出席し、ブラジル南東部のリオデジャネイロで開幕しました。

日本時間の22日未明に始まった初日の会合では、ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルによるガザ地区での軍事作戦など、国際情勢を主要な議題に意見が交わされることになっています。

会合は2日間の日程で行われ、ウクライナや中東情勢を巡って拒否権を持つ大国どうしが対立し、機能不全に陥っていると指摘されている国連の安全保障理事会など、国際機関の改革についても討議が行われる見通しです。

G20の議長国を務めるブラジルはグローバル・サウスと呼ばれる新興国や途上国の中核として、こうした国々が抱える貧困や格差、それに気候変動などに関連する課題を重視していて、今回の会合で対応をめぐる議論を主導したいとしています。

上川外務大臣「人道的停戦の速やかな実現を重視する」

上川外務大臣は「ロシアが今なおウクライナ侵略を継続していることはG20の協力の基盤を揺るがす暴挙であり、法の支配への大いなる挑戦だ」と述べ、強く非難しました。

その上で、「力による一方的な現状変更を決して認めてはならず、永続的な平和を1日も早く実現する必要がある」と訴えました。

また、中東情勢をめぐっては、ハマスなどによるテロ攻撃を断固非難する一方、ガザ地区南部のラファに対するイスラエルの軍事行動に深い懸念を示し、「人道的停戦の速やかな実現を重視する」と述べました。

そして、パレスチナに対し、3200万ドル規模の追加支援を検討していることを表明しました。

日韓外相が会談 北朝鮮のミサイル発射や拉致問題での連携確認

G20=主要20か国の外相会合に出席するため、ブラジルを訪れている上川外務大臣は日本時間の21日夜、韓国のチョ・テヨル外相と初めて対面で会談しました。

この中で、両外相は弾道ミサイルの発射など挑発行動を続ける北朝鮮に対し、連携して対応していくことで一致するとともに、拉致問題を含む人権問題についても緊密な連携を確認しました。

そして、去年、再開された外務次官による戦略対話や外務・防衛当局による安全保障対話などをことしも行うことで一致しました。

一方、上川大臣は太平洋戦争中の「徴用」をめぐる韓国の裁判で、日立造船が裁判所に預けた供託金が賠償に充てる資金として原告側に渡されたことについて、「企業に不当な不利益を負わせるものだ」と述べ、遺憾の意を示しました。

また、上川大臣はフランスのセジュルネ外相とも会談し、ウクライナへの支援を揺るぎない形で進めていくことで一致しました。

中東情勢や北朝鮮への対応を含む東アジア情勢についても意見を交わし、緊密な連携を確認しました。