春闘 ホンダとマツダが満額回答 高水準での賃上げ広がるか

ことしの春闘でホンダとマツダが21日、労働組合に対し満額回答し、大手自動車メーカーで最も早い回答となりました。いずれも高い水準での賃上げを行う方針で、この動きがさらに広がるかが焦点となります。

ことしの春闘で、ホンダの労働組合は
▽ベースアップと定期昇給の相当分を合わせた総額で月額2万円の賃上げを要求したほか
▽一時金については、月給の7.1か月分を要求していました。

これに対し会社は21日の2回目の労使交渉で、物価上昇などの課題の認識が一致しているとして、組合の要求どおり満額回答しました。

月額2万円の賃上げは、1989年以降で最大だということです。

会社はグループ企業での労使交渉の方向性をリードしたいとしています。

マツダ 満額回答で過去最大の賃上げ

一方、マツダはベースアップ相当分と定期昇給分を含めた総額で組合の要求どおり月額1万6000円の満額で回答しました。

ことしの春闘でマツダの労働組合は、基本給を引き上げるベア=ベースアップ相当分と定期昇給分を含めた賃金の総額で、去年の実績を3000円上回る月額1万6000円の賃上げを求めていました。

マツダがベアを行うのは2年連続で、今の人事制度が始まった2003年以降で最大の賃上げとなります。

また、ボーナスについても組合の要求どおり去年の実績を0.3か月分上回る年間5.6か月分を回答しました。

組合側が要求書を提出してからわずか1週間と異例の早さでの回答となりました。

マツダの竹内都美子執行役員は「全社一丸となって取り組んだ結果が過去最高の業績につながっている。業績に沿った形で処遇改善を行うことや、地域経済に与える影響を十分考慮して回答を決めた」と話しています。

トヨタ 初回の交渉では賃金 ボーナスの回答示さず

また、21日はトヨタ自動車の1回目の労使交渉が行われました。

ことしの春闘でトヨタの労働組合は
▽「職種別」や「資格別」に賃上げの要求額を提示し、最も高いケースでは月額2万8440円の賃上げを求めたほか
▽ボーナスは過去最高となる月給7.6か月分を要求しています。

21日は、愛知県豊田市の本社で1回目の労使交渉が行われ、トヨタによりますと、21日の交渉では賃金とボーナスについての回答は示さなかったということです。

去年は、初回に経営側が賃金とボーナスについて組合の要求どおり満額回答する方針を示しましたが、トヨタグループ各社の労働組合でつくる「全トヨタ労連」によりますと、21日の交渉で佐藤恒治 社長は「今回は職場が抱える課題を共有したが、第2回の労使協議会では具体的に何をしていくべきか深掘りして議論したい」と述べたということです。

オンラインで記者会見した「全トヨタ労連」の秋山大樹 副事務局長は「労使の議論のあり方も状況に応じて常に変化していくので、労使双方でしっかりと議論を尽くしてほしい」と述べました。