自民 塩谷氏 武田氏が衆院政倫審に出席意向 野党側 “不十分”

派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、自民党は安倍派の幹部を務めた塩谷 元文部科学大臣と二階派の幹部を務めた武田 元総務大臣が衆議院政治倫理審査会に出席する意向だと立憲民主党に伝えました。野党側は、2人の出席は拒むものではないとしながらも到底十分とは言えないとして、引き続き安倍派幹部らの出席を求めていくことにしています。

今回の問題を受けて、立憲民主党など野党側は派閥からキックバックを受けるなどして、自民党の聴き取りの対象になった安倍派と二階派の衆議院議員51人全員を衆議院政治倫理審査会に出席させるよう求めています。

自民党は審査会の開催に応じる方向で、森山総務会長ら党幹部が安倍派の座長や事務総長を務めた塩谷 元文部科学大臣や二階派の事務総長を務めた武田 元総務大臣と会談するなど調整を進めてきました。

そして、これまでに塩谷、武田両氏が審査会に出席する意向を示していることを立憲民主党側に伝えました。

これを受けて、立憲民主党、日本維新の会、共産党、国民民主党の国会対策委員長が会談し、塩谷、武田両氏については審査会への出席を拒むものではないとして、開催の手続きを進めることを確認しました。

一方で、2人だけでは到底十分とは言えないとして引き続き、ほかの安倍派幹部らの出席を求めていくことで一致しました。

塩谷元文科相「私が出る場か みずから最終的に判断する」

塩谷 元文部科学大臣は、党本部で記者団に対し「正式に決定だという話ではないが前向きに判断する。『手を挙げてくれ』と言っても手を挙げた人がすぐに出られるのか分からないし、野党との話し合いの中でどういう形にするか決まるのだろう。原則非公開の審査会がどういう状況で行われるかや、誰が出席するのか、出席者の線引きがどうなるのかを聞き、私が出る場かどうか、みずから最終的に判断する」と述べました。

自民安倍派 高木前国対委員長「党から聞いてから判断」

自民党安倍派の「5人衆」と呼ばれる議員の1人で事務総長を務めた高木 前国会対策委員長は、記者団から政治倫理審査会に出席する意向があるか問われたのに対し「党のほうで検討していただいているが、まだ具体的に聞いてない。それを聞いてから判断させていただく」と述べました。

安倍派 宮沢前防衛副大臣「対応は私のほうから考えようがない」

パーティー券収入のキックバックについて、かつて派閥から「収支報告書に記載しなくてもよい」と指示があったことを明らかにした自民党安倍派の宮沢博行 前防衛副大臣は記者団に対し「連絡がないので、対応は私のほうから考えようがない」と述べました。

政倫審開催に向け 自民 公明の幹部が会談

自民党の茂木幹事長と浜田国会対策委員長、公明党の石井幹事長と佐藤国会対策委員長は20日都内で会談し、自民党は野党側が求める政治倫理審査会の開催に向けて出席議員の人選と本人への意向確認を進めていると説明しました。

このあと浜田氏は記者団に対し「意向確認が全部終了したとは聞いていない。野党側に途中経過を話しても『どうなんだ』となる可能性もあるので、今のところ正式にお伝えする状況にはなっていない」と述べました。

自民 森山総務会長「来年度予算案 できるだけ早く」

自民党の森山総務会長は記者会見で「茂木幹事長から関係議員の意見を聞いてほしいという指示があったので、きのうから作業を進めている。政治倫理審査会は本人の申し出が原則なので、そのことを理解したうえで、野党からの要求にどう対応するかということだ」と述べました。

そのうえで「来年度予算案の年度内成立を確実にできるかどうか、今が極めて重要だと十分に認識し、対応したい。災害復旧の予算が含まれており、できるだけ早く成立するよう与党として条件を整えていく」と述べました。

立民 岡田幹事長「あまりにもその場しのぎ」

立憲民主党の岡田幹事長は記者会見で「本当に新年度予算案を年度内に成立させたいと真剣に思っているなら、このような対応は考えられない。もっと早くから、すべての関係議員への調査をすべきだったし、その時に、政治倫理審査会への対応も一緒に聞けたはずだ。あまりにも、その場しのぎで、いったい誰が予算案の成立に向けて、責任を持って全体を組み立てているのか非常に不思議だ」と述べました。

そのうえで「少なくとも安倍派や二階氏も含めた二階派の幹部が出るべきだというのが基本的スタンスだ。塩谷氏と武田氏の2人がみずから出てくることを拒むものではないが、その2人ですべてが明らかになるとはとても思えない」と述べました。

立民 安住国対委員長「話にならない」

立憲民主党の安住国会対策委員長は、野党4党の国会対策委員長会談のあと、記者団に対し「結論から言うと話にならない。ただ、塩谷氏と武田氏については政治倫理審査会への出席の申し出をするということなので、早速手続きを取ってお話をいただきたい」と述べました。

そのうえで、新年度予算案の審議への影響について「これをもって日程を進める話には全くならない。自民党に危機感が伝わっていないから、たった2人の出席ということになっているのではないか。派閥の幹部クラスの議員は、ふつうはここで名乗ってもらわないとまずいと思う。そんなことで新年度予算案が衆議院を通るわけがないし、国民の不信感や怒りが収まると思ったら本当に大間違いだ」と述べました。

維新 遠藤国対委員長「国民がどう思うか 考えた方がいい」

日本維新の会の遠藤国会対策委員長は、野党4党の国会対策委員長会談のあと、記者団に対し「塩谷氏と武田氏については、審査会に出席して説明してもらえばいいのでそこは了とする。ただ、2人の出席だけではわれわれの要望とは全くかけ離れており、野党4党が一致して『話にならない』ということになった。野党が納得するかではなく、国民が納得するかだ。自民党内の力学が働いているのかどうかわからないが、自民党は国民がどう思うかをもう少し考えた方がいい」と述べました。

公明 山口代表「政治の信頼取り戻すため 早く見通しを」

公明党の山口代表は記者会見で「説明責任を果たして国民の信頼を回復することが重要で、それに資する自民党の対応がなされるべきだ。自民党や党の聴き取りの対象となった議員自身がよくわきまえて、政治の信頼を取り戻すためにどうしたらいいかを大局的に判断し、早く見通しを示すことが大切だ」と述べました。

共産 穀田国対委員長「真相究明が国会の責務」

共産党の穀田国会対策委員長は記者会見で「先の衆議院政治倫理審査会の幹事懇談会では、私から、自民党の聴き取りの対象になった51人全員と、その中でも中心的な幹部ということで9人の出席を要求した。政治倫理審査会に関係者が出席しないのであれば、いよいよ参考人招致や証人喚問が望ましい。真相を究明していくのが国会の責務だ」と述べました。

新年度予算案 年度内に成立しなかった場合は

予算編成を担当する財務省主計局によりますと、仮に新年度予算案が年度内に成立しなかった場合、4月以降、失業給付や生活保護などの社会保障費の支払いができなくなるほか、国から地方に地方交付税交付金が配分されず自治体によっては住民サービスが提供できなくなるといった影響が出るおそれがあるとしています。

このため、予算案の年度内の成立が難しくなった場合、政府は、社会保障費や地方交付税交付金など必要不可欠な経費を盛り込んだ暫定予算案を編成することが法律で認められています。

最近では、平成27年度予算案の審議が遅れたことから、政府は4月1日から11日までの間に必要な一般会計の総額で5兆7593億円の暫定予算案を編成し、3月30日に衆参両院の1日の審議で可決・成立しました。