サッカー女子 北朝鮮戦はサウジアラビア開催で調整 詳しい経緯

サッカー女子の日本代表と北朝鮮が対戦するパリオリンピックアジア最終予選の第1戦は、試合4日前になっても開催地が決まっていない異例の事態となっていますが、日本サッカー協会の佐々木則夫女子委員長は、アジアサッカー連盟からサウジアラビアで開催する方針だと連絡があったことを明らかにしました。

日本が北朝鮮と対戦するアジア最終予選は、ホームアンドアウェー方式で行われ、当初、アウェーの第1戦が今月24日、北朝鮮のピョンヤンで行われる予定となっていましたが、今月上旬、アジア連盟は北朝鮮に対して試合に向けた準備が難しいことなどを理由に中立地での開催を検討するよう提案していました。

その後、アジア連盟と北朝鮮の間で調整が進められましたが難航し、試合4日前の20日になっても開催地が決まらない異例の事態となっています。

これについて日本サッカー協会の佐々木女子委員長は、日本代表「なでしこジャパン」が合宿を行っている千葉市で、報道陣に最新の状況について明らかにしました。

この中で佐々木委員長は「アジア連盟からサウジアラビアのジッダで開催する方針で準備をしているという情報が入り、それに向けて準備をしてほしいと指示があった」と述べました。

そして選手やスタッフが20日夜、飛行機で2便に分かれて日本を出発し、現地入りする方針を明らかにしました。

一方、アジア連盟から開催地が正式に決まったという連絡はまだないということで、佐々木委員長は「不安はあるが試合が行われると思って準備を進めるしかない」と話しました。

池田監督「戦う日程 相手は変わらない」

第1戦の開催地が正式に決まらないまま、日本代表「なでしこジャパン」は20日、千葉市での強化合宿を終えました。

池田太監督は「なかなか決まらない中で難しいところはあったかもしれないが、しっかりとトレーニングをしてくれた。ミーティングでもしっかり準備しようとチーム内で共有できた」と話しました。
そのうえで「戦う日程は変わらず、相手も変わらないという意味ではねらいを定めたトレーニングができた。現地に入って集中力を高めながら試合に向かっていきたい」と話していました。

熊谷紗希主将「今後のためにも あってはならない」

20日、チームに合流したキャプテンの熊谷紗希選手は、開催地が20日になっても正式に決まらないことについて「選手としてもコンディションを整えるのは簡単ではないが、やれることはすべてやってチームとしてパリオリンピックの切符を取るということだけに向かって戦いたい」と話しました。
一方で「何を言おうが、そこでやると言われれば行かなければいけないが、ここまで開催地が決まらないのは普通ではないことだと思うし、今後のためにも、こんなことがあってはならないと思う」と異例の事態に苦言を呈しました。

【経緯】なぜ開催地が決まらない?

AFC=アジアサッカー連盟は、去年12月、日本と北朝鮮が対戦するパリオリンピックアジア最終予選の第1戦をピョンヤンにある「キム・イルソンスタジアム」で開催すると発表していました。

しかし2月8日「なでしこジャパン」のメンバー発表の会見で、日本サッカー協会の佐々木則夫 女子委員長から状況が変わっていることが伝えられました。2月上旬、アジアサッカー連盟が北朝鮮に対して中立地での開催を検討するよう提案したというのです。

理由として新型コロナの影響で北朝鮮とほかの国との定期便が運航されていないことなどから、試合運営をめぐって不透明な要素が多いことが挙げられたということです。

佐々木委員長は、北朝鮮での開催について、寒さが予想される中、スタジアムの芝の状況などを視察できず、選手の安全が懸念されると指摘しました。

一方、この提案はアジア連盟が主導して北朝鮮のサッカー協会に行ったとして「日本協会からはアジア連盟に北朝鮮で試合を行ううえでの懸念点を少し伝えたが、中立地でやることを働きかけたり、場所を希望したりしたわけではない」と話しました。

ところが調整は難航しました。日本協会の関係者によりますと、北朝鮮は自国での開催を求め、アジア連盟が設定した期限までに具体的な代替地の提案はなかったということです。

佐々木委員長によりますと、アジア連盟がいったん中立地の候補としてサウジアラビアを提案しましたが、北朝鮮はこれを拒否し、中国 大連での開催を提案してきたということです。

これについては中国側から「開催できない」と回答があったため、再び白紙に戻ったということです。

そして、19日になってアジア連盟から日本協会に対して、サウジアラビアのジッダで最終調整していると連絡があったということです。

選手たちは、20日夜の飛行機で2便に分かれて現地に向かい、帰国を見送っていたイングランドでプレーする長野風花選手、清水梨紗選手、林穂之香選手、植木理子選手の4人は現地で合流するということです。

ただ、アジア連盟からの正式な決定の連絡はまだ届いておらず、なでしこジャパンは開催地が正式に決まらないままサウジアラビアへと向かう異例の事態が続いています。