台湾 取締り中に転覆の中国漁船 乗組員2人を中国側に送還へ

中国にほど近い台湾の離島、金門島(きんもんとう)の沿岸で先週、中国の漁船が台湾側の取締り中に転覆した事故で、台湾当局は、拘束していた乗組員2人を、中国側に20日送還すると明らかにしました。

中国南部、福建省アモイの沿岸に位置する金門島近くの海域で、今月14日、中国の漁船が台湾当局の取締り中に転覆し乗っていた4人のうち、2人が死亡しました。

この事故で、台湾当局は、残る2人の漁船の乗組員を拘束していましたが、中国側に20日送還すると明らかにしました。

台湾当局で対中国政策を担当する大陸委員会は「両岸の相互協力は理性的かつ現実的な態度で進めることを呼びかける」としています。

中国側も、関係者らが乗組員の家族とともに20日現地入りするとしています。

一方、今回の事故を受けて、中国海警局は、金門島周辺の海域でパトロールを強化すると表明し、台湾当局によりますと、金門島を出発した遊覧船が19日、中国当局の臨検を受けたということです。

中国側としては、台湾側への対抗措置に出た形ですが、今後もこうした措置を強めるかどうか、中国側の出方が注目されます。

台湾 海洋委員会閣僚「中国当局の臨検は遺憾」

台湾の遊覧船が海上で中国当局の臨検を受けたことについて、20日、報道陣の取材を受けた台湾の海洋委員会のトップで閣僚の管碧玲主任委員は「台湾の人たちの感情を害し、パニックを引き起こした。台湾海峡の平和と両岸の間の善意を基礎とするなら、このような船への臨検は遺憾だ」と述べました。

管主任委員は、臨検を受けた遊覧船が中国側の水域に入り込んでいたことを認めた上で、現場周辺では中国の遊覧船も台湾側の水域に入ることがあるものの、故意でなければ台湾当局が臨検したことはないと強調しました。