「平和学の父」ガルトゥング氏 死去 各地の紛争調停に携わる

世界各地の紛争の調停に携わり、「平和学の父」と呼ばれたノルウェーの平和学者、ヨハン・ガルトゥング氏が今月17日に死去しました。93歳でした。

1930年にノルウェーのオスロで生まれたガルトゥング氏は、第2次世界大戦で祖国をナチス・ドイツに占領され父親を強制収容所に送られた経験などから平和研究を志しました。

戦争がない状態の「消極的平和」に対して貧困や差別、抑圧など構造的な暴力のない「積極的平和」という考え方を提唱し、1959年に設立したオスロ国際平和研究所を拠点に平和研究を主導しました。

イスラエルとパレスチナや旧ユーゴスラビア、それに朝鮮半島など世界各地で紛争の調停に携わり、1987年にはもう1つのノーベル平和賞とも言われている「ライト・ライブリフッド賞」を受賞しました。

「平和学の父」と呼ばれたガルトゥング氏は日本もたびたび訪れ、各地の大学で教べんをとったほか憲法9条を評価し、専守防衛の方針を明確にした上で中国や韓国など近隣諸国との協力関係を深める重要性を指摘しました。

2015年に横浜市で開かれた講演会では、「国際問題を学び、平和のために何ができるかを考えてほしい」と日本の若者に向けてメッセージを送っていました。