ウクライナ軍 新たな防衛ライン築く ロシア軍攻撃に備える構え

ロシアとの攻防で激戦地だった東部の拠点、アウディーイウカからの撤退を表明したウクライナ軍は、新たな防衛ラインを築いたとして、さらなるロシア軍の攻撃に備える構えを強調しました。

ウクライナ軍のタルナフスキー司令官は19日、SNSで部隊がロシア軍の攻撃に備えて東部の拠点、アウディーイウカ近郊で新たな防衛ラインを築き、ロシア側の攻撃に備えていると明らかにしました。

ウクライナでは、激戦地だったアウディーイウカからウクライナ軍が撤退を余儀なくされています。

これについてアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は19日、ロシア軍がアウディーイウカを掌握したあと周辺にいるウクライナ軍への砲撃が大きく減っているとするウクライナ軍の報道官の発言に触れたうえで、「ロシア軍は大規模な攻撃を再開させる前にいったん作戦を休止するか、異なる前線から追加の部隊を増援させなければならないだろう」との見方を示しました。

一方、スペインなどのメディアはロシア軍のヘリコプターのパイロットとして去年8月にウクライナ側に投降した元兵士が今月13日、滞在先のスペインで何者かに銃で撃たれて死亡しているのが見つかったと報じました。

ロシアの国営テレビは去年10月、ロシア国防省のGRU=軍参謀本部情報総局の特殊部隊の隊員が元兵士について「この人物を見つけ出し、裏切り者は罰する」と話すインタビューを放送していて、ロシア政府の関与があったのかどうかに関心が集まっています。

ゼレンスキー大統領 東部の前線を視察 兵士を激励

ウクライナ大統領府は19日、ゼレンスキー大統領がロシア軍との間で激戦となっている東部ハルキウ州のクピヤンシクの前線を視察に訪れたと発表しました。

ゼレンスキー大統領は、現地の司令官から戦況の報告を受けるとともに兵士に勲章を授与するなどして激励したということです。

ウクライナ軍はロシア軍との間で激しい戦闘が続いてきた東部ドネツク州の拠点アウディーイウカから部隊の撤退を表明したばかりでゼレンスキー大統領としては、みずから兵士たちを鼓舞し、徹底抗戦する構えを強調するねらいとみられます。

一方、ロシア側はアウディーイウカの完全掌握を発表し、今後、ドネツク州全域の掌握を目指す構えです。

ロシアの前の大統領で安全保障会議のメドベージェフ副議長は19日、訪問先のロシア南部のチェチェンで「ことし1月1日以来、5万3000人以上が兵役についた」と述べ、ウクライナへの戦闘地域で兵力を増強していると強調し今月24日で軍事侵攻から2年となる中、攻勢を強める構えを示しています。