孤立した地区「コミュニティー維持できなくなる…」石川 輪島

能登半島地震で、道路の寸断などで一時期、孤立状態となった地域では、ほとんどすべての住民が地域を離れて避難しているところもあります。このうち、輪島市の南志見地区に今も残る住民からは「このまま人々が離れ、コミュニティーを維持できなくなるのではないか」と不安の声があがっています。

輪島市の南志見地区は、地区につながる道路が土砂崩れなどの影響で寸断され、県によりますと先月19日まで孤立状態にあったということです。

住民は自衛隊のヘリコプターなどで避難し、およそ350世帯700人の住民のうち、今も残っているのは3世帯6人となっています。

このうち大向稔さん(80)は自宅に大きな被害がなかったということで、家財の片付け作業を進めるため、妻の信子さん(79)と2人で自宅で暮らしています。

地区では先月下旬まで停電が続き、大向さんはろうそくに火をともして夜を過ごしたということです。

断水は今も続き、川の水や山からの湧き水をくんで生活用水に使っています。

また、食事は自宅裏の畑で育てたダイコンなどの野菜や備蓄してあった食料で賄い、必要に応じて、市の中心部に車で1時間半ほどかけて、出かけているということです。

大向さんは「ここをついの住みかと決めているので、離れるつもりはない。幸い私たちの家は寝ることもできますし、何とか自給自足のような形で生活を送っていますが、夜になると町は真っ暗で人がいないさみしさを感じます」と話していました。

輪島市の市議会議員の大宮正さんも、地域の状況を確かめるため地区に残って生活しています。

孤立状態が解消されてからは、家の片付けのために週末に地区に戻ってくる住民がいるということで、18日も避難生活の状況などを聞き取っていました。

大宮さんが懸念しているのは、今後、地域のコミュニティーを維持できるかどうかです。

南志見地区から市の中心部につながる国道249号線は土砂崩れの影響で寸断され、通行再開の見通しがたっていません。

多くの住民の職場がある市の中心部に向かうには遠回りしなければならず、地震前は片道15分ほどだったのが1時間半もかかるということです。

現在、地区では54世帯分の仮設住宅の建設が進んでいますが、大宮さんは地区で暮らすためには国道の復旧が欠かせないと考えています。

大宮さんは「若い人たちは職場に通えないので、私たちにとって国道は生命線だ。早く復旧させなければ若い人たちは南志見地区に見切りをつけてしまい、人口がものすごく減るのではないか」と話していました。