【解説】ナワリヌイ氏死亡 影響は?追悼の市民ら400人以上拘束

ロシアでプーチン政権を批判する急先ぽうとして知られ、刑務所に収監されていたナワリヌイ氏が死亡し、サンクトペテルブルクなどロシア各地でナワリヌイ氏の死を悼む人たちの姿が見られました。

しかし、人権団体によりますと追悼に来ていた人など400人以上が拘束されたということでプーチン政権を批判する声の広がりにロシア当局は神経をとがらせているとみられています。

世界に大きな衝撃を与えているナワリヌイ氏の死亡。
死亡の背景は?今後に与える影響は?
「キャッチ!世界のトップニュース」望月麻美キャスターの解説です。
(2月19日放送)

※動画は10分26秒、データ放送ではご覧になれません。
※動画の後半はロシア軍が攻撃を強めている東部のアウディーイウカからの撤退も余儀なくされたウクライナの状況についての解説です。

ナワリヌイ氏 死亡の背景は?

望月キャスター
ナワリヌイ氏はプーチン政権を批判する急先ぽうとして世界的に知られていただけに、アメリカCNNは「ロシアの1つの時代が終わった」と表現しています。

週末も関連の報道が相次いでいますが、目立つのは、死亡の背景と今後に与える影響を考察するものです。

死亡の背景についてやはり挙げられるのが3月17日に行われるロシア大統領選挙です。

ナワリヌイ氏は大統領選挙をめぐってプーチン大統領以外の候補者に投票するよう呼びかけていました。

ナワリヌイ氏の死へのプーチン政権の関与は断定できませんが、プーチン大統領にとって最大の政敵がいなくなっただけでなく、国内の反対勢力も抑え込むことになり、ワシントン・ポストは「プーチンに競争相手はいなくなった」と伝えています。

今後の影響は?

一方、今後への影響については、ロシア国内でナワリヌイ氏を英雄視する動きが出る可能性や、西側諸国が反プーチンで結束を強めてウクライナ支援を加速させる可能性もあると指摘しています。

プーチン政権はナワリヌイ氏を追悼する動きに当面、神経をとがらせるものとみられます。

母親 遺体の引き渡し受けられず

ロシアのプーチン政権への批判を続け、16日に刑務所で死亡したナワリヌイ氏について、ナワリヌイ氏の広報担当者は17日公表した映像で「ナワリヌイは殺害された」と述べ、死亡の情報を確認したと明らかにしました。

広報担当者は、当時の状況などについて公式な結論を待つとともに、遺体を遺族のもとに返すよう求めていくと述べました。

ただ、母親と弁護士が刑務所の職員からナワリヌイ氏の遺体の所在を聞いて、その場所に向かったものの、そこに遺体はなかったということで、引き渡しが受けられない状態が続いています。

また、当局はこれまでに詳しい死因を発表していませんが、支援団体の幹部によりますと、刑務所を訪れた母親と弁護士は「死因は『突然死症候群』だ」と言われたということです。

各地でナワリヌイ氏追悼の動き 400人以上が拘束

ロシアでプーチン政権を批判する急先ぽうとして知られ、刑務所に収監されていたナワリヌイ氏が16日に死亡したことを受け、ロシア各地では17日もナワリヌイ氏を追悼する動きが続きました。

このうち第2の都市サンクトペテルブルクでは、ソビエト時代の政治弾圧の記念碑の前に集まった人たちが、治安部隊による警戒の中、礼拝を行ったり花を供えたりして、死を悼みました。

この場所で「死亡したのではなく殺害された」と書かれたカードを掲げた83歳の女性は、「彼のことと、破滅に向かうこの国のことを思うと心が痛む。もはやロシアの未来を信じられない。今はソビエトのスターリン時代よりも悪いと感じるほどだ」と嘆きました。

女性はこのあと一時、拘束されたとみられます。

人権団体などによりますと、16日から17日にかけてサンクトペテルブルクや首都モスクワなど32の都市であわせて400人以上が拘束されたということで、当局はプーチン政権を批判する声の広がりに神経をとがらせているとみられます。