中国への直接投資 前年から80%以上減少 30年ぶりの低水準

中国の去年1年間の外国企業からの直接投資は、前の年から80%以上減少し、30年ぶりの低い水準となりました。不動産市場の低迷の長期化で、景気の先行きに不透明感が強まる中、投資の落ち込みが鮮明になっています。

中国国家外貨管理局が発表した国際収支統計によりますと、去年1年間の外国企業からの直接投資は、前の年から82%減少して330億ドル、日本円で4兆9000億円余りとなりました。

外国企業からの直接投資が減少するのは2年連続で、1993年以来、30年ぶりの低い水準となりました。

これは、不動産市場の低迷で景気の先行きに不透明感が強まっていることや改正「反スパイ法」の施行など、外国企業への締めつけが強まっていること、それに、半導体などの先端技術をめぐってアメリカとの対立が続いていることなどが背景にあるとみられます。

中国に進出する日系企業でつくる団体がことし1月に発表した調査では、会員企業の5割近くが中国への投資を縮小する方針を示していて、外国企業による投資の落ち込みが鮮明になっています。

台湾からの直接投資も 前年比40%減 30億ドル余

台湾経済部によりますと、去年1年間の台湾から中国への直接投資は、前の年から40%減少して30億ドル余りでした。

これは、2002年以降で最も少なく、ピークだった2010年の146億ドル余りと比べ、およそ5分の1の水準にとどまりました。

2010年は国民党の馬英九政権が中国との間で自由貿易協定に当たる「経済協力枠組み協定」を結んだ年で、対外直接投資全体に占める中国向けの割合もこの年は84%に達していましたが、去年は11%にまで落ち込みました。

台湾から中国への直接投資が大きく減った要因として、台湾経済部は、アメリカと中国の対立が激しさを増す中、国際的なサプライチェーンの再構築の流れを踏まえ、台湾企業が、欧米や日本、それに東南アジアなどへの投資の比重を高めてリスクを分散しているからだと指摘しています。