中国 “金門島周辺でパトロール強化”漁船事故受け対抗措置か

中国海警局は、台湾の離島の金門島周辺の海域でパトロールを強化すると表明しました。先週、島の沿岸で台湾当局の取締り中に中国の漁船が転覆して2人が死亡した事故への対抗措置をとった形です。

今月14日、中国南部、福建省アモイの沿岸に位置する金門島近くの海域で、中国の漁船が台湾側の取締り中に転覆し、乗っていた4人のうち2人が死亡しました。

金門島は台湾当局が実効支配し、沿岸に中国船が許可なく進入するのを禁じる「禁止水域」や「制限水域」を設定していて、台湾側は、対応に問題はなかったとしています。

これに対して、中国政府で台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室は当日、「悪質な事件だ」として台湾の民進党政権を強く非難したのに続き、17日には「『禁止水域』や『制限水域』などというものはそもそも存在しない」という談話を発表しています。

さらに中国海警局の報道官は18日、「福建省のアモイと金門島周辺の海域でパトロールを常態化し、この海域の秩序と、漁業者の生命・財産・安全の保護をさらに進める」と表明しました。

中国海警局によるパトロール強化の表明は事故への対抗措置をとった形で、台湾事務弁公室の談話からは、これまで中台双方に暗黙の了解があったとされる「禁止水域」や「制限水域」の形骸化を図り、民進党政権への圧力をさらに強めようというねらいもうかがえます。