【詳細2月19日】ネタニヤフ首相「2国家共存」をけん制か

イスラエル軍が突入し、その後も軍事作戦を続けているガザ地区南部ハンユニスの病院では、作戦の影響で8人が死亡したほか、およそ200人の患者が取り残されていると見られ、WHO=世界保健機関は一刻も早い患者の転院が必要だと訴えています。

※イスラエルやパレスチナに関する日本時間2月19日の動きを随時、更新してお伝えします

イスラエル国防相 ラファで地上作戦進める考え強調

イスラエル国防省によりますと18日、軍の司令部で会議を行い、今後の軍事作戦などについて協議したということです。

この中でガラント国防相は、南部のハンユニスの病院を拠点に活動していたとするハマスの部隊について「200人のテロリストが銃などで武装していたが、戦うことなく降伏した」と述べました。

一方で地区の最も南にあり、避難者など150万人近くが暮らしているラファなどについては、ハマスの6つの部隊が残っているとして「ハマスの軍事組織を完全に壊滅させるのに必要なのはイスラエル軍の決断だけだ」と述べ、地上作戦を進める考えを改めて強調しました。

さらにイスラエルのメディアは、戦時内閣に入っているガンツ前国防相が18日、3月10日ごろに始まるイスラム教の断食月、ラマダンまでにハマス側がすべての人質を解放しなければ、「ラファでも攻撃を行う」と述べたと伝えています。

ラファでは南部のほかの地域や中部に人々が再び避難する動きが出ていますが、イスラエル軍はこうした地域でも空爆などを続けていて「どこに避難してもガザでは安全な場所はない」と絶望する声が聞かれます。

ネタニヤフ首相 パレスチナ国家の一方的な承認に反対

イスラエルのネタニヤフ首相は18日、政府会合の冒頭で最近、国際社会ではイスラエルにパレスチナ国家を一方的に認めさせようとする動きが出ているとした上で、パレスチナ国家を承認することは、去年10月のハマスによる襲撃の報酬になると主張し、一方的な承認に反対する考えを示しました。

また、パレスチナ和平は「前提条件なしに当事者間の直接交渉によってのみ実現する」と述べ、2つの国家が共存する形での和平の実現を目指すべきだとする国際社会の要求を全面的に拒否する考えを示しました。

アメリカのバイデン政権やアラブ諸国などがイスラエルとパレスチナという2つの国家が共存する形での和平の実現を目指すべきだとするなか、その動きをけん制したものと見られます。

イスラエル国防相「ハマス部隊 軍事組織として機能していない」

イスラエルのガラント国防相は18日、SNSで、ハマスのヤヒヤ・シンワル指導者について「ハマスは後任を探している」と投稿しました。

そのうえで、ガザ地区南部のハンユニスのハマスの部隊は「軍事組織として機能していない」とし、すでに機能は停止しているとの考えを示しました。

ハンユニスの病院 患者8人死亡 さらに増加のおそれ

イスラエル軍は南部ハンユニスにあるナセル病院でハマスの戦闘員が活動し、人質の遺体が残されている可能性があるなどと主張して、今月15日に突入し、18日も作戦を続けました。

イスラエル軍はナセル病院内で武器を発見したと発表しているほか、ガラント国防相もこれまでにハマスの戦闘員およそ70人を病院での作戦で拘束したと発言しています。

これに対しガザ地区の保健当局は、70人が拘束され、いずれも医療スタッフだとしているほか、病院が停電して酸素の供給ができなくなったため、すでに8人の患者が死亡し、さらに数十人が死亡するおそれがあるとしていて、危機的な状況が続いているとみられます。

WHO テドロス事務局長「もはや病院として機能していない」

WHO=世界保健機関のテドロス事務局長は、18日、SNSへの投稿で「ナセル病院は1週間におよぶ包囲と今も続く作戦により、もはや病院として機能していない。病院にはおよそ200人の患者がいて、少なくとも20人は緊急に転院して治療を受ける必要がある。遅れれば患者たちの命が失われることになる」として、一刻も早い患者の転院が必要だと訴えています。

ガザ地区 保健当局 死者2万8985人に

ガザ地区では各地で空爆も続いていて、ガザ地区の保健当局は18日、過去24時間で127人が死亡し、これまでの死者は2万8985人にのぼったとしていて、住民の犠牲に歯止めのかからない状況が続いています。

ブラジル ルーラ大統領「戦争ではなく集団虐殺」

ブラジルのルーラ大統領は18日、訪問先のエチオピアで記者会見を開きました。

この中でルーラ大統領は、イスラエルが軍事作戦を続けているガザ地区の状況について、かつてユダヤ人を虐殺したナチス・ドイツのヒトラーを引き合いに出して「起きていることは戦争ではなく集団虐殺だ」と非難しました。

また、ガザ地区の支援を担っているUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関の一部の職員がイスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃に関与した疑いを受けて、一部の国が資金拠出の一時停止を表明していることについては「これらの国々にはどれほどの政治的良心があるのか」と疑問を呈しました。

そのうえでルーラ大統領は「何十年もの間、国家の建設のために努力してきた人々への支援を中止してはならない」と述べ、ブラジルとしてはUNRWAへの資金の拠出を継続する考えを強調しました。

イスラエル ネタニヤフ首相「ユダヤ人の記憶 おとしめた」

これに対してイスラエルのネタニヤフ首相は「ルーラ大統領はイスラエルによるハマスとの戦いをホロコーストと比べ、虐殺された600万人のユダヤ人の記憶をおとしめ、ユダヤ人国家を悪者にした。恥を知るべきだ」と述べ、強く反発しました。