きょう 東京でウクライナ復興の会議 復興の現状は?

ロシアによるウクライナへの侵攻開始からまもなく2年となる中、19日、東京で、ウクライナの復興に関する「日・ウクライナ経済復興推進会議」が開かれます。

岸田総理大臣やウクライナのシュミハリ首相ら政府関係者に加えて、両国の企業およそ130社も参加する予定で、官民一体で復興を支援するため、農業やインフラ整備など7つの分野を柱に、協力文書を交わすことにしています。

首脳セッションでは、岸田総理大臣が基調講演を行い、ウクライナのゼレンスキー大統領がビデオメッセージを寄せることになっています。

日本は、▽地雷の除去やがれき処理、▽農業の生産性向上、▽電力・交通インフラの整備など7つの分野で支援策を打ち出す方針で、両国の企業どうしや官民の間で、およそ50本の協力文書を交わすことにしています。

また、日本企業の進出を後押しするため、政府は企業・団体関係者に限定してウクライナへの渡航制限を一部緩和する方向で検討していて、19日の会議で表明することにしています。

ウクライナ 復興の状況は?

ウクライナではロシアによる軍事侵攻で住宅やインフラなどが甚大な被害を受けています。

復旧復興を進めるなか、戦時下ならではの課題も浮き彫りになっています。

破壊されたままの建物(キーウ州ボロジャンカ)

世界銀行などによる試算では、侵攻当初から去年12月末までの間にウクライナが受けた住宅やインフラなどへの直接的な被害は1520億ドル、日本円でおよそ22兆円に上っています。

もっとも被害が深刻な住宅では、集合住宅や一軒家などが破壊されるなどして影響を受けた世帯が200万世帯近くに達し、インフラでは8400キロにのぼる道路や、290を超える橋などが被害を受けたり、破壊されたりしています。

このうち2年前の侵攻直後に、一時、首都キーウ周辺がロシア軍に占拠されたキーウ州では、当局によりますと、州内だけで2万9000棟以上の建物が破壊されるなどしていて、このうち40%程度はいまも修復や再建が進んでいないということです。

首都キーウから北西におよそ50キロ離れたボロジャンカでは、2年前に侵攻してきたロシア軍による攻撃で破壊されたまま手付かずの建物があちらこちらでみられました。

自宅の敷地に建てられた仮設住宅で暮らす市民の1人は、資金もなく、自宅を取り壊すこともできないとしたうえで、「戦争が続いていて、ロシア軍がまた来るかもしれません。戦争が終わってから再建したい」と話していました。

工事が進まないアパート建設予定地(キーウ州イルピン)

また、首都キーウに近いイルピンでも、被害を受け取り壊された集合住宅の再建が計画されているものの、さら地のままとなっている場所もみられました。

キーウ州当局などによりますと、徴兵による人手不足で住宅の再建にあたる作業員が確保できないケースも多いということです。

イルピンで住宅の再建作業にあたっていた男性は「多くの人が前線に行ったり、徴兵されたりして、人手の60%がいなくなり、40%しか残っていない。作業を十分に進められない」と話していました。

イルピンでは、ロシア軍による首都への進軍を阻止するために破壊された橋が去年11月に復旧したほか、ブチャでは多くの住民が殺害された通りで、住宅が再建されている様子がみられ、復旧復興が少しずつ進んでいる場所もあります。

ただ、住民の中には住宅の再建を果たしたものの、侵攻が続くかぎり、再び、自宅を奪われかねないと強い懸念を示す人もいて、ブチャの40代の男性は「家が再建できてうれしいが戦争は続いていて、恐怖はまだある」と話していました。