住友商事 生鮮食品のコンテナ輸送 長期化できる新技術導入へ

紅海周辺でフーシ派が船舶への攻撃を繰り返す事態を受けて、海上輸送で航路の大幅な「う回」が課題となっています。こうした中、大手商社の住友商事が香港の大手海運会社と近く業務提携し、生鮮食品のコンテナ輸送を長期化できる新たな技術を導入することになりました。

このコンテナ輸送の新しい技術は、生鮮食品を凍らせずに生の状態のまま船で運ぶチルド輸送の日数を、大幅に伸ばすことができるのが特徴です。

温度を管理したコンテナの内部に電圧をかけて「電場」と呼ばれる状態にし、食品に含まれる水の分子を回転させることで、鮮度を保ちながら腐敗の進行を抑える仕組みです。

従来のチルド輸送と比べて、多くの食品で輸送期間を2倍から3倍に伸ばすことができるとしていて、例えば豚肉の場合、従来の20日程度から60日程度に、魚のぶりの場合は、これまで空輸が中心でしたが、船での輸送が可能になるとしています。

住友商事は、香港の大手海運会社OOCLとの間で近く業務提携を結び、導入を進める方針です。

会社によりますと商用化は世界で初めてで、大手食肉加工メーカーがスペインからの豚肉の輸入に使うことを決めているということです。

紅海をう回する海上輸送によって輸送コストの上昇が課題となっていますが、会社は商品の価格へのコストの転嫁を抑えることが期待できるとしています。

住友商事の物流インフラ事業本部梁井崇史 本部長は「われわれとしては非常に大きな影響があるので、船会社や物流会社と相談しながらできるだけスムーズに物を届けることを考えていかなければならない」と話していました。

フーシ派の船舶攻撃 日本からの海上輸送にも影響

紅海周辺でのフーシ派による船舶への攻撃は、日本と世界を結ぶ海上輸送にもその影響が広がりつつあります。

▽北海道を拠点とするコンビニエンスストアの「セイコーマート」では、総菜商品のスパゲッティの一部が1月下旬から品薄の状態になっているということです。

ヨーロッパからのパスタの輸入が遅れているためで、会社は3月中まで品薄の状態が続くおそれがあるとしています。

4月からは解消される見通しだということです。

▽静岡県富士市にある自動車部品メーカー「ジヤトコ」では、ヨーロッパから海上輸送で送られる部品に通常より10日から20日ほど遅れが出るようになったため、ことしに入って一部を航空機での輸送に切り替えたということです。

輸送コストは増えますが、生産計画を遅らせないためにはやむをえない対応だとしていて、会社は今後もしばらくの間、航空機での輸送を続けるということです。