石川 輪島 長引く避難生活 ペットも体調崩すケースが目立つ

石川県輪島市の中心部で診療を再開した動物病院には、被災した人たちが猫などのペットを連れて次々と訪れています。長引く避難生活でペットも体調を崩すケースが目立っているということです。

輪島市横地町の「おおね動物病院」は地震で建物の一部や医療器具が破損し、一時、診療を休止しました。

院長の大根理恵子さんの自宅も傾くなどの被害を受けましたが、ペットの飼い主から要望が相次いだことから、1月15日に時間を短縮して診療を再開しました。

多いときは一日15匹以上の猫や犬を診察していますが、体調を崩すペットの中には、車中泊などの避難生活によって寒さでかぜの症状が出たり、ストレスで食欲がなくなったりするなど、地震の影響を受けたとみられるケースも多いということです。

18日も朝から3件の診療を受け入れ、薬を飲ませたり、注射を打ったりしていました。

飼い主の女性は「遠くの病院に行くのは体調の悪い猫には大変です。家族の一員なので、本当にありがたいです」と話していました。

一方、病院では被害の大きかった入院設備のあるスペースが使えなくなり、重症のペットの受け入れは断っているということで、完全な復旧に向けクラウドファンディングなどで支援を呼びかけているということです。

院長の大根さんは「避難生活でペットが支えだという人もいるので頑張っています。早く以前のような診療ができるようにしたい」と話していました。

石川県の獣医師会 バスで被災地のペットを無料診療

能登半島地震では地元でも数少ない動物病院が被災していることから、石川県の獣医師会は医療設備を整えたバスで被災地を巡回し、ペットの無料診療を行っています。

ペットの無料診療は県の獣医師会が1月28日から能登半島北部の被災地で行っていて、レントゲン撮影や血液検査ができる専用のバスを用意しています。

18日は、輪島市で避難所となっている輪島中学校の一角にテントを張って、獣医師6人が診療を始めると、ペットとともに避難している飼い主などが次々と訪れました。

獣医師は症状を聞き取ってアドバイスしたり、薬を処方したりしたほか、心臓の疾患がある犬についてはバスで精密検査を行い、症状を見極めていました。

これまでの巡回では心臓病や腫瘍など持病のあるペットだけでなく、避難生活で環境が変わったストレスで体調を崩すペットも多かったということです。

ペットの犬を連れて訪れた飼い主の女性は「ペットはそばにいてくれるだけで癒やしになります。自分よりもペットの健康のほうが気になるくらいで、すごく助かります」と話していました。

獣医師会によりますと、被災した動物病院の多くは建物や医療機器が壊れて十分な診療ができない状態が続いていて、無料診療は3月も週末を中心に続ける予定です。

県獣医師会の原広幸さんは「われわれが診察することで少しでも安心してもらえればと思います。今後も微力ですが頑張っていきたい」と話していました。