能登半島地震 下水管復旧見通し立たず 9割超で被害 石川 珠洲

広い範囲で断水が続いている石川県珠洲市では下水管も大きな被害を受け、トイレなどが使えない状況が続いていて、市が被害の状況確認や復旧作業を急いでいます。

珠洲市では市の人口の半数余りが公共下水道が整備された地域で生活していますが、これまでの市の調査でマンホールが浮き上がるなど、市内の下水管の94%で被害が確認されています。

市は復旧を進めるため、被害状況についてさらに詳しい調査を進めていて、18日は専門の業者がマンホールから特殊なカメラを入れて下水管の破損状況などを細かく調べていました。

さらに、各家庭などから集まった下水を処理施設に送り込む「圧送管」と呼ばれる配管も大きな被害が確認されたことから、業者が1本4メートルの仮のパイプをつなぎ合わせて敷設する作業を進めていました。

市によりますと、下水管は大きな被害を受けている一方、調査と工事を行う業者は県外からの派遣に頼っている状況で、復旧の見通しは立っていないということです。

被災地に派遣され、復旧作業にあたっている名古屋市上下水道局 珠洲市応援隊 太田宗由下水道隊長は「熊本地震や東日本大震災では下水管の被災が3割程度だったのが、珠洲市では9割を超えていて被害の大きさがうかがえる。厳しい環境で避難生活を送っている市民のためにも復旧を急ぎたい」と話していました。

各家庭の浄化槽にも被害報告相次ぐ

珠洲市では今回の地震で公共下水道が大きな被害を受けているほか、各家庭に設置された、生活排水を処理する浄化槽にも被害の報告が相次いでいます。

市によりますと、市の北部を中心に浄化槽を設置している家庭が多く、浄化槽に亀裂が入ったり沈んだりなどといった被害が出ているということです。

浄化槽を利用しているのは市内の家庭の4割余りに上るとみられ、現在、県の浄化槽協会が点検などを進めていますが、市によりますと、被害の全体像は明らかになっていないということです。