木原防衛相 玉城知事 基地移設隔たり埋まらず 対話継続は一致

沖縄県を訪れている木原防衛大臣は玉城知事と会談しました。アメリカ軍普天間基地の1日も早い返還のため、名護市辺野古での移設工事を進める考えを示したのに対し、玉城知事は中止を求め、意見の隔たりは埋まりませんでした。ただ、両者は今後も対話を継続していくことでは一致しました。

16日から沖縄県を訪れている木原防衛大臣は沖縄県庁では初めて、玉城知事と会談しました。

玉城知事はアメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設について、「過去3回の知事選挙や県民投票で明確に示された、反対する県民の民意をしっかりと受け止め、直ちに工事を中断し、問題解決のため、県との対話に応じてほしい」と述べました。

これに対し、木原大臣は「世界で最も危険と言われている普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならない。日米同盟の抑止力と飛行場の危険性を合わせて考えたときに、辺野古移設が唯一の解決策だ。自然環境や住民の生活環境にも十分に配慮しつつ、移設工事を着実に進めていく」と述べ、意見の隔たりは埋まりませんでした。

ただ、両者は今後も対話を継続していくことでは一致しました。

一方、会談では、うるま市に陸上自衛隊の訓練場を整備する計画について、地元住民から断念を求める意見が示されていることを踏まえ、木原大臣は住民生活を重視する観点から計画をさらに検討する考えを玉城知事に伝えました。

会談のあと木原大臣は記者団に対し、「普天間飛行場の1日も早い返還という点で知事とは思いを一つにできると実感した。今後ともこうした対話を一つ一つ積み重ねていきたい」と述べました。

玉城知事「政府は対話を心がける姿勢を示すことが肝要」

会談のあと、沖縄県の玉城知事は記者団に対し、「対話の機会を設けていただけたことには感謝を申し上げたいが、政府と県、それに宜野湾市からなる『普天間飛行場負担軽減推進会議』の作業部会ではなく、本会議を開催し、そこで私が発言をすることは、対話における意味合いは当然違ってくると思う。政府は対話を心がけているという姿勢をしっかりと示すことが肝要だ」と述べました。

また、うるま市に陸上自衛隊の訓練場を整備する計画について、「私は自衛隊を認める立場ではあるが、この計画については賛成しかねるということと、1度、白紙に戻して見直していただきたいということを木原大臣に話した」と述べました。

一方、木原大臣は那覇市内のホテルで、アメリカ軍基地を抱える宜野湾市や名護市、それに那覇市など、11の市町村長と会談しました。

この中で木原大臣は「沖縄の基地負担軽減は今の政権の最重要課題の1つだ。政府としては普天間飛行場の名護市辺野古への移設も含め、嘉手納基地より南の土地の返還を早期に実現する」と述べ、アメリカ軍施設の返還計画を着実に実行していく考えを示しました。

一方、普天間基地がある宜野湾市の松川市長は、鹿児島県屋久島沖での墜落事故の後、飛行を停止が続いているアメリカ軍のオスプレイについて、「市への事前説明なしに飛行を再開することがないようにしてもらいたい」と要望しました。

これに対し、木原大臣は「オスプレイが運用される前には必ず日本政府と調整を行うよう指示が出されていると聞いている。飛行の安全確保は日米共通の最優先事項であり、日米で緊密に連携して対応をしていく」と応じました。

これに先立って、木原大臣は自衛隊のヘリコプターに搭乗し、政府が先月10日から代執行に伴う工事を進めている名護市辺野古沖を上空から視察し、工事の進ちょく状況を確認しました。

米軍施設を上空から視察

木原大臣は午後1時すぎ、航空自衛隊那覇基地で陸上自衛隊のCH47ヘリコプターに乗り込みました。

機内で担当者の説明を受けながら、アメリカ軍普天間基地や嘉手納基地など、沖縄本島内にあるアメリカ軍施設を上空から視察しました。

うるま市にあるアメリカ海軍の施設、ホワイトビーチでは揚陸艦1隻が接岸していたほか、日本の潜水艦1隻が沖合に停泊していました。