ロシア ナワリヌイ氏が死亡 プーチン政権批判の反体制派指導者

ロシアでプーチン政権を批判する急先ぽうとして知られ、刑務所に収監されていた反体制派の指導者、アレクセイ・ナワリヌイ氏が死亡したと当局が発表したことを受けて、ロシア国内外で追悼する動きが出ているほか、欧米各国などからはプーチン政権を批判する声が相次いでいます。

ロシアのプーチン政権への批判を続け、刑務所に収監されていたナワリヌイ氏について、関係当局は16日、「散歩のあと気分が悪くなり、医師が蘇生措置を行ったものの死亡が確認された」と発表しました。

47歳でした。

ナワリヌイ氏は2020年、政権側の関与が疑われる毒殺未遂事件の被害を受けたあと、過去の経済事件を理由に逮捕され、北極圏にあるロシア北部のヤマロ・ネネツ自治管区の刑務所に収監されていました。

ロシアでは来月、大統領選挙が行われ、プーチン大統領も立候補していますが、ナワリヌイ氏は支援団体を通じて、プーチン氏以外の候補者に投票するよう呼びかけるなど、収監後も反政権の活動を続けていました。

これを受けて、アメリカのバイデン大統領は「プーチンに責任がある」と述べて厳しく非難するなど、欧米各国などから批判の声が強まっています。

また、世界各地ではナワリヌイ氏を追悼するとともに、プーチン大統領に抗議する動きが広がっています。

このうち、リトアニアの首都ビリニュスではソビエト占領による犠牲者を悼む記念碑に人々が集まり、花を手向けたり、ろうそくに火をともしたりして追悼していました。

女性の1人は「偉大な人が亡くなった。ロシアにはまだ強い人たちがいるという証しだった。これは人々にとってある種の抵抗の終わりだと思う」と涙を流しながら話していました。

ナワリヌイ氏を追悼する動きはロシア国内でも広がりましたが、ロシアでは集会やデモが厳しく規制されていて、人権団体によりますと、これまでに8つの都市で100人以上が拘束されたとし、当局が神経をとがらせている様子がうかがえます。

ナワリヌイ氏を支援する団体は前日の15日、ナワリヌイ氏が裁判のために刑務所からビデオを通じて姿を見せ、健康そうに見えたとして、その映像をSNSで公開していました。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は16日、記者団に対し、「われわれが知るかぎりでは、規則に従って確認や解明などが行われている。医師が明らかにするはずだ」と述べたほか、ナワリヌイ氏の死亡についてはプーチン大統領も報告を受けたと明らかにしました。

ナワリヌイ氏の広報担当者「ナワリヌイは殺害された」

ナワリヌイ氏の広報担当者は17日、映像を公表し、「ナワリヌイは殺害された」と述べ、死亡の情報を確認したと明らかにしました。

また、ナワリヌイ氏の母親が正式に死亡について通知されたとして、このなかでは現地時間の16日の午後2時17分に亡くなったと記載されているということです。

広報担当者は、当時の状況などについて公式な結論を待つとともに、遺体を家族の元に返すよう求めていくと述べました。

さらに、広報担当者は、その後、SNSへの投稿で、刑務所の職員からナワリヌイ氏の遺体が安置されている場所を聞いて、母親と弁護士が向かったものの、そこに遺体はなかったと説明しています。

アレクセイ・ナワリヌイ氏とは

アレクセイ・ナワリヌイ氏はロシアでプーチン政権を批判してきた急先ぽうとして、世界的にも知られた反体制派の指導者です。

プーチン大統領が反対勢力に対する抑圧を強める中で、最大の政敵ともみられてきました。

ナワリヌイ氏は1976年、モスクワ州生まれで、2000年代初めからプーチン政権の高官や国営企業の汚職を主にインターネット上で告発する活動を続け、若者を中心に人気のブロガーとして支持を広げていきました。

政権側の汚職や選挙の不正に対して、ナワリヌイ氏は反政権デモを呼びかけ、ロシア全土に広がりを見せました。

一方、ナワリヌイ氏自身は政権から敵視され、繰り返し拘束された上、罰金刑や実刑を科されました。

そうしたなか、2020年、ナワリヌイ氏はロシア国内を旅客機で移動中に突然、意識を失い、ドイツの病院に搬送されます。

原因の究明にあたったドイツ政府は、旧ソビエトで開発された神経剤『ノビチョク』と同じ種類の物質によって攻撃されたと発表しました。

政権側の関与が疑われる毒殺未遂事件として世界に衝撃を与え、プーチン政権に対する国際的な批判が高まりました。

そして、ナワリヌイ氏は2021年の1月、療養先のドイツから帰国した直後、過去の経済事件を理由に逮捕され、刑務所に収監されました。

また、ナワリヌイ氏が率いる団体もその年の6月、ロシアの裁判所から「過激派組織」に認定され、解散に追い込まれました。

さらに、2022年3月、ロシアの裁判所は、新たに詐欺などの罪で禁錮9年の判決を言い渡し、刑期が大幅に延長されることになりました。

しかし、ナワリヌイ氏は刑務所からも支援者を通じてSNSで政権批判を続け、弾圧に屈しない姿勢を崩しませんでした。

プーチン政権が始めたウクライナへの軍事侵攻に対しても繰り返し非難し、市民に反対の声を上げるよう呼びかけました。

欧米各国や人権団体はプーチン政権に即時釈放を求め、国際社会ではこうしたナワリヌイ氏の姿勢を評価する声も高まります。

ナワリヌイ氏はEU=ヨーロッパ連合の議会が人権擁護に貢献した人に贈る「サハロフ賞」に選出されたほか、たびたびノーベル平和賞の有力な候補にも上がりました。

また、2023年、活動を取り上げた映画『ナワリヌイ』がアメリカのアカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を受賞しました。

2人の子どもとともに授賞式に出席した妻のユリアさんは「夫は真実を述べ、民主主義を守るためだけに刑務所にいます。夫と私たちの国が自由になる日を夢みています」と訴えていました。

一方、支援団体はナワリヌイ氏の体調が収監中に悪化しているとたびたび訴え、去年4月には「急性の胃の痛みを訴え、刑務所に救急車が呼ばれた」と明らかにした上で、「ゆっくりと、しかし着実に毒殺されようとしている可能性が排除できない」と危機感を訴えていました。

ナワリヌイ氏に対し、ロシアの裁判所は去年8月、過激派団体を創設した罪などで新たに禁錮19年の判決を言い渡し、刑期がさらに大幅に延長されることになりました。

そうした状況の中でも、ナワリヌイ氏はことし3月のロシア大統領選挙をめぐって、支援団体を通じてプーチン大統領以外の候補者に投票するよう呼びかけ、政権への批判姿勢を貫いています。

去年12月、支援団体はナワリヌイ氏との連絡が途絶え、所在が不明になったと明かし、その後、ロシア北部の北極圏にある刑務所に移送されていたことがわかりました。

ナワリヌイ氏は先月、SNSを通じて移送後の姿を見せていました。

「私が殺された状況では、非常に単純だ。諦めないで」

ロシア当局が死亡したと発表したナワリヌイ氏は、過去に自身の活動が取り上げられたドキュメンタリー映画の中で、「あなたが殺された場合、どのようなメッセージを残すか」との質問に対し、「諦めないで」と答え、支持者に活動の継続を訴えていました。

これは、おととし公開された、ナワリヌイ氏の活動を取り上げたドキュメンタリー映画『ナワリヌイ』の中でナワリヌイ氏自身が質問に答えている映像です。

この中で、ナワリヌイ氏は、もし投獄され、何かが起きて殺された場合、どのようなメッセージをロシア国民に残すかと問われると、「私のメッセージは」と言ったあと、少し笑みを浮かべ、「私が殺された状況では、非常に単純だ。諦めないで」と英語で訴えました。

そして、ロシア語でも、「もし彼らが私を殺すと決めたなら、それは私たちがとてつもなく強いということだ。自分たちは弾圧を受けている巨大な力であることを覚えておいてほしい」と語りかけていました。

この動画はロシア当局がナワリヌイ氏の死亡を発表したあと、ロシアの独立系メディアなどで広く伝えられています。

専門家「大統領選への影響を警戒した可能性」

ロシアの反体制派の指導者、ナワリヌイ氏が死亡したと当局が発表したことについて、防衛省防衛研究所の兵頭慎治研究幹事は「2020年にはロシア国内でナワリヌイ氏の毒殺未遂事件があり、プーチン政権の関与が疑われている。今回の死亡も根拠が示されないため、断定はできないが、プーチン大統領の何らかの関与の可能性があると思う」という見方を示しました。

その上で、兵頭研究幹事は「ロシア大統領選挙の1か月前というタイミングで、しかも、選挙戦で唯一、反戦を主張していたナデジディン氏の立候補が却下された直後ということが注目される」と指摘しています。

その理由について、「プーチン大統領は戦時下の状況で次の大統領選で8割以上の得票率で圧勝することが重要だと考えている。ナワリヌイ氏は獄中からプーチン大統領以外の候補者に投票するよう呼びかけていた」としたうえで、「もし、プーチン政権が死亡に関与したのであれば、大統領選挙の前にこうした反戦・反プーチン的な動きが高まって、プーチン大統領が圧勝するというシナリオに影響が出ることを政権が警戒した可能性があるのではないか」として、政権側の警戒感が伺えるという見方を示しました。

今後の影響について兵頭研究幹事は、去年、ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者、プリゴジン氏が死亡した際も支持者などの反発の動きが抑え込まれたとして、「短期的にはプーチン政権も力による統制を強めるため、反戦・反プーチンの大きなうねりにはなりそうもない」としています。

一方で、「戦争がさらに長期化して犠牲が拡大し、そしてロシア国内の経済が悪化した場合、大きな動きに発展していく潜在的な可能性はある」と述べ、中長期的にはプーチン政権に影響を与える可能性が残されていると指摘しました。

国内の反応は

ナワリヌイ氏の妻「プーチンはすべての出来事への責任を」

ナワリヌイ氏の妻、ユリアさんは16日、出席していたミュンヘン安全保障会議で急きょ演説し、「この恐ろしいニュースを信じていいのかわからない。常にうそをつくプーチンやプーチン政権を信じることができないからだ」と述べました。

その上で、「もし事実なら、プーチンやその仲間たちは、彼らが私たちの国や私の家族、そして夫にしたことへの報いを受けると思い知らせたい。その日はすぐにくるだろう」と強調しました。

さらに、「私は今のロシアのこの邪悪で恐ろしい政権に勝利するため、国際社会や世界の皆さんに結束を呼びかけたい。ウラジーミル・プーチンはここ数年間、ロシアに対して行ってきたすべての恐ろしい出来事への責任を負わねばならない」と述べ、国際社会に対し、プーチン大統領の責任を追及するよう訴えました。

ナワリヌイ氏の母「どんな追悼のことばも聞きたくない」

ロシアの独立系新聞「ノーバヤ・ガゼータ」によりますと、ナワリヌイ氏の母のリュドミラ氏はフェイスブックに、「どんな追悼のことばも聞きたくない。息子とは刑務所で12日に面会した。生きていて、健康そうで、人生を楽しんでいるようだった」とつづったということです。

ナワリヌイ氏のグループ「これは殺人だ」

ロシアの反体制派の指導者、ナワリヌイ氏のグループのメンバーで、現在はロシア国外に逃れ、リトアニアで活動する女性はナワリヌイ氏が死亡したとの発表を受けて、「これは殺人だ」と話し、プーチン政権側を批判しました。

女性はNHKとのインタビューの撮影中に、取材班からナワリヌイ氏の死亡のニュースを知らされると、「いったい何?」と驚いた様子で、スマートフォンでニュースの内容を食い入るように確認していました。

そして、涙をこらえながら、「前日、彼は裁判所にいて、健康で、何も問題なかった。その映像もある。これは殺人だ。ショックだ、理解できない」と信じられないという様子で、プーチン政権によるものだと強く批判しました。

そのうえで、ナワリヌイ氏が死亡したとはまだ認めたくないとして、「ナワリヌイ氏は刑務所にいた時でさえ私たちのリーダーだ。これから私たちはどのように活動していけばいいのか」と涙ながらに話し、肩を落としていました。

ナデジディン元下院議員「真実でないことを願う」

ロシア当局がナワリヌイ氏が死亡したと発表したことについて、ウクライナへの軍事侵攻を批判し、来月行われるロシアの大統領選挙に立候補を表明していたナデジディン元下院議員は「その情報が真実でないことを願っている。私が知るかぎり、彼はロシアで最も才能があり、勇気のある人物のひとりだ」とSNSに投稿しました。

ナデジディン氏は大統領選挙でプーチン大統領に対抗する候補として注目され、ナワリヌイ氏のグループからも支持する声があがっていましたが、今月8日、中央選挙管理委員会は立候補は認められないとする判断を下し、ナデジディン氏は最高裁判所に訴えています。

ロシア独立系新聞編集長「刑罰に『殺害』が加えられた」

2021年にノーベル平和賞を受賞したロシアの独立系新聞の編集長、ドミトリー・ムラートフ氏は「恐ろしい知らせだ。懲罰房では動けず、食事の栄養が少なく、空気が薄く、常に寒い。3年にわたり苦痛と拷問を受けたのだ。ナワリヌイ氏への刑罰に『殺害』が加えられた」と非難し、適切な救命措置がとられたか検証するよう求めました。

ロシア人権団体幹部「政権側が故意に殺害したのだ」

また、2022年、ノーベル平和賞を受賞したロシアの人権団体「メモリアル」の幹部、オレグ・オルロフ氏は独立系メディアに対し、「ロシア全体にとっての悲劇だ。ただただ、がく然としている」と述べた上で、「死の状況がどうだったとしても、政権側が故意に殺害したのだ。関与した者は刑事責任を負うべきだ」とプーチン政権を非難しました。

ロシア各地で追悼する動き 100人以上拘束も

ロシアでプーチン政権を批判する急先ぽうとして知られるナワリヌイ氏が死亡したと16日、当局が発表したことを受けて、ロシア各地ではナワリヌイ氏を追悼する動きが広がっています。

ただ、ロシアでは集会やデモが厳しく規制されていて、人権団体によりますと、各地であわせて100人以上が拘束されました。

このうち、首都モスクワでは、ソビエト時代の弾圧の犠牲者を追悼する碑の前にナワリヌイ氏の写真が置かれ、訪れた市民が花を供えていました。

中には、ナワリヌイ氏のことばとして知られる「諦めないで」と書かれたカードを掲げる女性の姿もありました。

ロシアの独立系メディアによりますと、モスクワでは別の記念碑や、9年前に野党指導者のネムツォフ氏の殺害現場となった橋にも、ナワリヌイ氏を追悼するため市民が訪れたということです。

また、第2の都市サンクトペテルブルクでも政治弾圧の犠牲者の記念碑に花が手向けられ、「すべてフェイクであってほしい」と話す人もいました。

ただ、ロシアでは集会やデモが厳しく規制されていて、治安当局は市民が無許可のデモに参加しないよう警告しています。

人権団体によりますと、モスクワやサンクトペテルブルク、それに西部のニジニ・ノブゴロドなどあわせて8つの都市で100人以上が拘束されたということで、当局が神経をとがらせている様子がうかがえます。

モスクワ市民の反応は

ナワリヌイ氏が死亡したと発表されたことについてモスクワの市民に話を聞きました。

女性は「きょう2月16日のことはずっと忘れない。これはロシアの歴史の一部として残るだろう」と述べ、ナワリヌイ氏の死を悼んでいました。

また、男性は「彼がなぜ死亡したのか。病気で亡くなったのか、それとも誰かに殺されたのか、何でもあり得ると思う」と話していました。

一方、「これが彼の運命だ。彼は立ち止まって考え直すべきだった。もっと政権側と話し合うべきだった」とか、「彼のやり方には賛成できないところもあったが、人が亡くなったことは残念だ」と話す女性もいました。

多くの人はSNSなどを通じてこのニュースを知っていましたが、プーチン政権を批判し続けてきた人物に関する街頭取材だからか、口が重い人が目立ちました。

ロシア報道官 相次ぐ批判に「受け入れられず」

ロシア大統領府のペスコフ報道官は16日、ナワリヌイ氏の死亡の発表を受けて、欧米各国からプーチン政権に対する批判が相次いでいることについて、「死因についての情報もないなかで、このような声明が出されている。明らかにおかしく、絶対に受け入れられない」と述べ、反発しました。

各国の反応は

ウクライナ ゼレンスキー大統領「殺害されたのは明らか」

ロシア当局がナワリヌイ氏が死亡したと発表したことについて、ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、訪問先のドイツで、「プーチン大統領によって殺害されたのは明らかだ。プーチン大統領は誰が死のうと気にしない。彼にとって重要なことは、自分の地位を守ることだ」と述べました。

アメリカ バイデン大統領「プーチンに責任がある」

アメリカのバイデン大統領はナワリヌイ氏が死亡したとの発表を受けて16日、緊急の演説を行い、「驚きはしなかったが、激しい怒りを感じる」と述べました。バイデン大統領はナワリヌイ氏について、「彼は勇敢で、信念を持ち、ロシアを法の支配のある国にしようと、ひたむきだった」と述べ、たたえました。

そして、「何が起きたのか正確なことは分からないが、ナワリヌイ氏の死は、プーチンや彼のまわりの悪党が行った、何かしらの結果であると確信している。プーチンに責任がある」と述べ、ロシアのプーチン大統領を厳しく非難するとともに、今後、何らかの対抗措置を取る考えも示しました。

一方、バイデン大統領はウクライナへの軍事支援の予算案が野党・共和党の反対で宙に浮いている事態を受けて、「この重要なときにウクライナの支援に失敗すれば人々の記憶にずっと残ることになる」と述べて、共和党に対し早急に対応するよう求めました。

ウクライナ大統領府長官「プーチンは究極の『悪』だ」

ウクライナのイエルマク大統領府長官はSNSにメッセージを投稿し、「プーチンは究極の『悪』だ。いかなる競争も怖がっている。プーチンにとって、ロシア国民の命はなんの意味もない」と指摘しました。

その上で、「『プーチンと交渉を』と呼びかけている人々に分かってほしい。彼を信じてはならない。彼が理解できるのは『力』だけだ」として、ロシアに対し、徹底抗戦する構えを改めて示しました。

イギリス首相「ロシアの人々にとって大きな悲劇だ」

イギリスのスナク首相は旧ツイッターの「X」に、「これはひどいニュースだ。アレクセイ・ナワリヌイ氏はロシアの民主主義の最も熱心な擁護者として、生涯を通じて信じられないほどの勇気を示した。彼の妻、そしてロシアの人々にとって大きな悲劇だ」と投稿しました。

ドイツ首相「もはや民主主義国家ではない」

ドイツのショルツ首相は16日、記者会見で、「ロシアがいかに変わったかを示す恐ろしいシグナルだ。ロシアはもはや民主主義国家ではない」と述べました。

フランス大統領「ロシアでは自由な精神は死刑を宣告される」

フランスのマクロン大統領は16日、旧ツイッターの「X」に、「現在のロシアでは自由な精神は収容所へと送られ、死刑を宣告される。怒りと憤りを禁じえない。アレクセイ・ナワリヌイ氏の記憶、彼の献身と勇気に敬意を表したい。私の思いは彼の家族、愛する人々、そして、ロシア国民とともにある」と投稿しました。

スウェーデン首相「恐ろしいニュースだ」

ロシアのウクライナ侵攻を受けて軍事的中立を転換し、NATO=北大西洋条約機構への加盟を目指しているスウェーデンのクリステション首相は旧ツイッターの「X」への投稿で、「恐ろしいニュースだ。アレクセイ・ナワリヌイ氏がもう生きていないことについては、ロシア当局、そしてプーチン大統領個人に責任がある」と非難しました。

カナダ首相「プーチンがいかに怪物であるか思い知らされた」

カナダのトルドー首相は16日、地元メディアの取材に対し、「これは悲劇であり、プーチンがいかに怪物であるかを全世界が思い知らされた」と述べ、ロシアのプーチン大統領を非難しました。

国連事務総長 “信頼性と透明性のある調査を”

国連のグテーレス事務総長は16日、報道官を通じてコメントを出し、「ショックを受けている」とした上で、ナワリヌイ氏が死亡した状況について、信頼性と透明性のある調査を行うよう求めました。

EU ミシェル大統領「責任はロシア政府にある」

EU=ヨーロッパ連合のミシェル大統領は16日、SNSに、「アレクセイ・ナワリヌイ氏は自由と民主主義の価値のために戦い、究極の犠牲を払った。この悲劇的な死に対する責任はロシア政府にある」と投稿しました。

そして、「戦士は死んでも、自由のための戦いは決して終わらない」としています。

アメリカ国務長官「責任はロシアにある」

アメリカのブリンケン国務長官は16日、訪問先のドイツで、「プーチン氏が確立したシステムの弱さと腐敗を明確に示している。責任はロシアにある」と述べました。

フランス外相「哀悼の意を表明する」

フランスのセジュルネ外相は16日、旧ツイッターの「X」に、「アレクセイ・ナワリヌイ氏は抑圧体制への抵抗に命をささげた。流刑地での彼の死はプーチン体制の現実を想起させるものだ。フランスは彼の家族と友人、そして、ロシア国民に哀悼の意を表明する」と投稿しました。

NATO事務総長「深い悲しみとともに動揺している」

NATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長は16日、ナワリヌイ氏が死亡したという報道について、「深い悲しみとともに動揺している」と述べた上で、「事実をはっきりさせる必要があり、ロシアは彼が死亡した状況についてすべての重大な疑問に答える必要がある」として、真相の究明を求めました。

ベラルーシ 反政権派の指導者「故意に殺害されたこと 疑いない」

ロシアの同盟国ベラルーシで民主化運動を率いてきた反政権派の指導者、スベトラーナ・チハノフスカヤ氏は「独裁者にとって人命がいかなる価値もないことが改めて明らかになった」と自身のSNSに投稿しました。

そのうえで、「プーチン政権はベラルーシのルカシェンコ政権のように、権力を維持しようと手段を選ばず反対者を排除する。プーチン政権によってナワリヌイ氏が故意に殺害されたことに疑いはない」と非難しました。

その上で、ベラルーシでも自身の夫を含め、収監が続く政治犯たちが危険にさらされていると訴えました。

世界各地でも追悼と抗議の動き

ナワリヌイ氏が死亡したと発表されたことを受けて、世界各地でも追悼する動きのほか、ロシアのプーチン大統領に抗議する動きが広がっています。

このうち、ドイツの首都ベルリンではロシア大使館の前にナワリヌイ氏の死を悼む人たち数百人が集まり、「プーチンは殺人者だ」と書かれた紙などを掲げて、抗議の声をあげていました。

男性の1人は「私はプーチン大統領に反対する集会に参加したくて来ました。非常に怒っています」と話していました。

また、ロシアの隣国、ジョージアでは、かつてロシア大使館があった場所の近くにおよそ500人が集まり、スマートフォンのライトを照らして死を悼むとともに、プーチン大統領への抗議の声をあげていました。

参加した女性の1人は「涙が出るばかりで、ショックで、まだ信じることができません。この痛みは耐え難い」と話していました。

さらに、アメリカのニューヨーク中心部で行われたデモでは、参加者が「私たちは戦争の終結、政治犯の自由、ロシアの自由を求めなければいけない」などと呼びかけていました。

参加したロシア人の女性は「これは私の国の歴史における暗い、暗い日です」と話していました。