京都大学「吉田寮」裁判 14人の入居継続を認める判決 京都地裁

京都大学の学生寮「吉田寮」のうち、築100年を超える古い建物に住む寮生に大学が明け渡しを求めた裁判の判決で、京都地方裁判所は、大学の訴えを一部退け、14人について入居の継続を認めました。

京都大学の学生寮「吉田寮」のうち1913年に建築された建物をめぐっては、老朽化して地震で倒壊する危険性があるとして、5年前の2019年以降、大学が寮生40人に明け渡しを求める訴えを起こしました。

これまでの裁判で大学側は、倒壊の危険性があることや、代わりの宿舎の提供を理由に、寮に住む契約は解除できるなどと主張していました。

16日の判決で、京都地方裁判所の松山昇平裁判長は「寮は寮の自治会が運営することが大学側と自治会との間で確認されていて、寮生は自治運営されていることに意味を見いだして入寮しており、代替宿舎の提供をもって契約は終了できない」と指摘しました。

そのうえで「14人の寮生との間には在寮契約が認められ、大学の規程には、老朽化を理由に退去を求めることができるという定めが存在しない」などと指摘し、現在も寮に住む17人のうち14人について明け渡す必要がないとする判決を言い渡しました。

一方、
▽大学側が新規入寮の停止などを求めた2017年12月以降に寮に入った3人や
▽現在は学生ではないものの退寮を確認できていない23人については明け渡しを命じました。

在寮生「うれしい判決に驚いています」

判決を受けて、学生や代理人は京都市内で会見を開きました。

このなかで、被告の1人で、現在も寮に住んでいる松村主承さんは「思いもよらないうれしい判決に驚いています。寮の自治会と大学との間で交わされた約束をほごにしてはならないと認められたことは非常に大きいと思います」と話しました。

また、被告の1人で現在も寮に住んでいる高橋歩唯さんは「裁判を5年間も続けることは、学生である私たちにとってはきつかったです。今後は自治会と大学が話し合い、寮の在り方などについて決めていく形を望んでいます」と話しました。

被告側の代理人を務めた森田基彦弁護士は「判決は、寮の自治会の法的な地位を認定し、大学と対等に契約をする団体だと認めるなど、自治会側の主張をおよそ8割認めてくれたと思っています」と話しました。

明け渡しを命じられた3人については控訴を検討するとしています。

京都大学「判決内容の詳細を確認中」

京都大学は「現在、判決内容の詳細を確認中であり、コメントは差し控える」としています。