袴田巌さん再審 争点の衣類めぐり 検察と弁護団が新証拠を提出

58年前、静岡県で一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さんの再審=やり直しの裁判で15日、9回目の審理が行われ、争点となっている血の付いた衣類をめぐり、検察と弁護団の双方が新たな証拠を提出して主張を交わしました。

58年前の1966年に今の静岡市清水区でみそ製造会社の一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審は、静岡地方裁判所で9回目の審理が行われました。

再審では、事件発生から1年2か月後に現場近くのみそタンクから見つかった、血の付いた「5点の衣類」について、検察が「事件後に袴田さんが隠した」と主張する一方、弁護団は「みその中に長期間入っていれば血痕の赤みは失われる。衣類は捜査機関によってねつ造された疑いがある」と主張し、最大の争点になっています。

この争点について15日、検察は新たな証拠として法医学者7人による「共同鑑定書」を提出し、事件当時は、みそタンクの底に酸素がほとんどなかった可能性が高く、血痕が酸化せず、赤みが残った可能性があると主張しました。

一方弁護団は、法医学の専門家2人による意見書を新たに提出し、「タンクの中は少なくとも20日間は十分な空気にさらされていて、酸素がほとんどなかったとはいえない」と反論しました。

来月には検察と弁護団が請求した法医学者などの証人尋問が行われます。