大阪 門真 中3男子生徒自殺「いじめ」認定 市教委設置の審議会

おととし、大阪 門真市の中学3年生の男子生徒が自殺したことについて、市の教育委員会が設置した審議会が、男子生徒が直接目にしていない同級生らがやりとりしたSNSでの誹謗中傷も含め、いじめが原因だったと結論づけていたことがわかりました。

遺族は「加害者たちが息子の心が壊れてしまうまで攻撃していることは明白で、決して許されることではない」と話しています。

おととし2月、門真市の中学校に通っていた当時、3年生の男子生徒が自殺したことについて、市の教育委員会は第三者による審議会を設置して調査を行い、去年12月、遺族に結果を報告しました。

それによりますと、男子生徒が直接目にしていない同級生らがやりとりしたSNSでの誹謗中傷がいじめと認定されました。

男子生徒が中学3年間に受けた仲間はずれや無視、それに誹謗中傷なども含めて、合わせて62件がいじめにあたると認定し「いじめと自殺には密接に関連があると考えられる」と結論づけました。

学校は全校生徒に「いじめアンケート」を行い、亡くなった生徒は何度も被害を訴え、母親も繰り返し学校に相談していましたが、学校側は組織的に対応していませんでした。

これについては「コンプライアンス意識に欠ける対応」と指摘しています。

男子生徒の母親は15日大阪市内で記者会見を開き「守ってやれなかったことを毎日息子に謝っています。加害者たちが息子の心が壊れてしまうまで攻撃していることは明白で、決して許されることではない」と話しました。

また、今も謝罪がないとした上で「加害者たちが息子が亡くなったあと、SNSでのやりとりの消去を呼びかけるなど、隠蔽工作を企てていたことを知り怒りを感じました。一人の命を奪った罪を認めてほしい」と話していました。

報告書に書かれた「いじめ」の内容

報告書では、男子生徒が中学1年生から中学3年生まで受けたいじめが詳細に書かれています。

中学1年生の時には、学年全員の88人が登録されているLINEグループで、男子生徒が「雨の匂い臭ない?笑」と書き込んだところ、「お前の方が臭い」などと集中的に書き込まれたということです。

いじめは中学3年生になるとエスカレートしていき、下校時の鬼ごっこで男子生徒に鬼役を押しつけ、置き去りにして笑いものにする行為が何度も行われたということです。

また、匿名で本人にメッセージを送ることができるアプリを使って、「なんで4なないの」「はよしぃねぇ」などと繰り返し「死ぬこと」を求めるような悪意に満ちた内容のメッセージが執ように届けられたとしています。

このほか、男子生徒が参加していないLINEグループで、男子生徒の容姿や行動を陰であざ笑う投稿が繰り返されていて、報告書では、本人が認識をしていなくてもその存在を認識した場合には心身の苦痛を感じるものについてはいじめに該当するとしました。

遺族側弁護士「いじめ認定は画期的」

遺族側の松森美穂弁護士は「本人がいないところでの書き込みが、いじめだと認定されたのは画期的だと思う。SNSで姿を隠して悪いことをいっても糾弾されるという社会的メッセージになる」と評価していました。

門真市教委コメント「調査報告書公表に向け調整」

それによりますと「去年12月に調査報告書の答申を受けたことから、現在は公表に向け、国のガイドラインにのっとった対応を行っているところです。今後におきましてもご遺族のお気持ちに寄り添いながら、調査報告書の公表に向けて調整してまいります」としています。