ルネサスエレクトロニクス 米ソフトウエア会社8800億円で買収

半導体大手のルネサスエレクトロニクスは、半導体製品の開発や設計を短期間で行うため、アメリカのソフトウエア会社を日本円にしておよそ8800億円で買収することを発表しました。複数のチップを組み込む半導体製品は設計が複雑化していて、買収によって競争力を高めるねらいです。

発表によりますと、ルネサスエレクトロニクスは、アメリカのソフトウエア会社「アルティウム」のすべての株式を取得し、買収することで両社の間で合意しました。

買収金額は、日本円にしておよそ8800億円で、今後、アルティウムの株主や各国の関係当局などの承認を経て、ことしの下半期に買収を完了させる計画です。

ルネサスは、自動車や産業機器向けなどに複数の半導体チップを組み込んだ半導体製品を手がけていますが、高性能化に伴って開発や設計が複雑化しています。

アルティウムは、半導体製品に使うプリント基板をクラウド上で設計できるソフトウエアを手がけ、世界で高いシェアを持っています。

ルネサスは、買収によって設計のシステムを一元化して開発や設計を短期間で行い、競争力を高めるねらいがあります。

半導体分野は、需要の急速な拡大を背景に世界的な競争が激しくなっていて、ルネサスは、2021年にもイギリスの半導体設計会社を買収するなど、企業買収の手法で自社の事業を強化する戦略を加速しています。

ルネサスエレクトロニクス 社長「新しいソリューション作りを」

ルネサスエレクトロニクスの柴田英利社長は、オンラインで開いた会見で、「エレクトロニクスの世界ではデザインは複雑化し消費者の好みはどんどんと変わっていくため、速いペースで市場をテストして新しいものを導入していかなければならない。こうした中で、アルティウムが持っているものを買ってくることに加え、一緒にこれから新しいソリューションを作り、提供することで未来を作っていこうというのが大きなテーマだ」と述べ、買収の意義を強調しました。

アルティウム CEO「大きな変革生み出すものに」

アルティウムのアラム・ミルカゼミCEOは、オンラインで開いた会見で「ルネサスに加わることは非常に大きなイベントで、エレクトロニクス業界の大きなイベントとなる。破壊的なインパクトをもたらす土台となり、非常に大きな可能性を秘めている。両社の顧客とステイクホルダーにとって大きな変革を生み出すものになる」と述べました。