【詳細2月15日】イスラエルとハマス交渉 依然意見に隔たり

イスラエルとイスラム組織ハマスの間で続く戦闘の休止などをめぐる交渉が難航する中、イスラエルと隣国レバノンのシーア派組織ヒズボラとの間の戦闘が激化していて、緊張が高まっています。

※イスラエルやパレスチナに関する日本時間2月15日の動きを随時、更新してお伝えします。

ネタニヤフ首相 ガザ南部への地上作戦 踏み切る構え崩さず

イスラエル軍は、140万人以上が避難しているガザ地区南部のラファへの軍事的圧力を強めています。

ネタニヤフ首相は「住民らが戦闘地域を離れたあと、ラファへの強力な作戦を含め完全な勝利まで戦い続ける」と述べ、国際社会の批判が強まる中でも、地上作戦に踏み切る構えを崩していません。

さらに、イスラエル軍は、ガザ地区の中部やほかの南部の地域でも軍事的攻勢を強めています。

このうち南部ハンユニスにあるナセル病院では、イスラム組織ハマスの戦闘員が潜んでいるとして、イスラエル軍が患者らを強制的に移動させたうえで、15日の未明にかけても病院に激しい砲撃を加えたということです。

パレスチナの保健省などによりますと、病院には多くの患者や住民が避難できずに残っていて、治療を受けられなくなった患者が死亡したり、攻撃で犠牲になったりするケースが相次いでいるということです。

ガザ地区の保健当局によりますと、これまでの死者は2万8576人にのぼっていて、犠牲者が増え続ける中、戦闘の休止などをめぐる交渉がまとまるかどうかが焦点となります。

ネタニヤフ首相「ハマスは妄想的な要求を破棄せよ」

戦闘の休止と人質の解放をめぐり、カタールなどの仲介を受けてエジプトで続けられている交渉についても、ネタニヤフ首相は強硬な姿勢を崩していません。

イスラエルとハマスの間では戦闘の休止と人質の解放などをめぐり、関係国の仲介を受けて交渉が続けられていて、アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズは14日、イスラエルや仲介国などがエジプトの首都カイロでの協議を3日間、延長して行うと伝えています。

このなかで、関係者の話として、人質1人の解放に対してイスラエルの刑務所に収容されているパレスチナ人を何人釈放するのか、意見の隔たりが大きいとしていて、依然として交渉は難航しているとみられます。

こうした中、イスラエルのネタニヤフ首相が14日声明を発表し、「これまでに激しい軍事的圧力や断固とした交渉の組み合わせによって112人の人質を解放した」とした上で、「ハマスは妄想的な要求を破棄する必要があり、そうしたときに、われわれは前に進むことができるだろう」と述べ、ハマス側に要求を取り下げるよう求めました。

イスラエルの地元メディアは、ネタニヤフ首相が、いったん帰国していた交渉団に対してエジプトに戻らないよう指示したと伝えました。

交渉が難航し、停戦に向けた事態打開のメドが立たないなか、ガザ地区では犠牲者が増え続けています。

イスラエルとハマスとの連帯を示すヒズボラとの戦闘も激化

イスラエルと、隣国レバノンのシーア派組織ヒズボラとの間では、攻撃の応酬が続いています。

イスラエルメディアは14日、レバノンとの国境沿いやイスラエル北部の都市にヒズボラによるとみられるロケット弾攻撃があり、兵士1人が死亡し、8人がけがをしたと報じました。

これに対して、イスラエル軍はヒズボラの拠点に報復攻撃を行ったと発表していて、レバノン当局はイスラエル軍の空爆で子どもを含む4人が死亡し9人がけがをしたとしています。ガザ地区での戦闘の休止の見通しが不透明ななかで、イスラエルとハマスとの連帯を示すヒズボラとの戦闘も激化していて、緊張が高まっています。

エジプトとトルコの首脳会談 ガザ地区での即時停戦の必要性確認

イスラエル軍が100万人以上が避難しているガザ地区のラファへの地上作戦の構えを見せる中、イスラエルとイスラム組織ハマスの仲介役を務めるエジプトのシシ大統領は14日、トルコのエルドアン大統領と会談し、ガザ地区での即時停戦の必要性を確認しました。

14日、エジプトの首都カイロで、シシ大統領とトルコのエルドアン大統領が会談しました。2人は会談のあと記者会見に臨み、シシ大統領は「ガザ地区での即時の停戦が必要だという認識で一致した」とした上で、支援物資をガザ地区に運び込むためにトルコと協力を続けていると強調しました。

一方、エルドアン大統領は「ネタニヤフ政権はガザの市民の最後の避難場所であるラファで虐殺をしてはならない」と述べて、住民の避難先として140万人以上が暮らすラファへの地上作戦の構えを見せるイスラエルを強くけん制しました。

両国の関係をめぐっては、2013年に、当時、国防相だったシシ氏が事実上のクーデターによって民主的な選挙で選ばれた大統領を追放すると、エルドアン氏が公然と非難するなど両国の関係は悪化していました。

会談では、両国の貿易の活性化にも触れ、再来月にもトルコで再び首脳会談を行うことで合意したとしていて、関係改善を通じて、低迷する自国の経済を立て直そうという狙いが双方にあります。

スペインとアイルランド首脳 EUに早急に検証求める

イスラエル軍が100万人以上が避難しているガザ地区のラファへの地上作戦を行う構えをみせるなか、スペインとアイルランドの首脳は14日、EU=ヨーロッパ連合に対し、イスラエルが人権を尊重する義務を順守しているか、早急に検証するよう求めました。

これは14日、スペインのサンチェス首相とアイルランドのバラッカー首相が連名でEUの執行機関、ヨーロッパ委員会のフォンデアライエン委員長に宛てた書簡の中で求めたものです。

イスラエル軍はガザ地区で最も南にあり、住民の避難先として140万人以上が暮らすラファで地上作戦を行う構えをみせています。これについて書簡では「国際社会が緊急に対処しなければならない深刻で差し迫った脅威だ」と危機感を示しています。

そして、イスラエルが国際人道法に違反しているのではないかという懸念が広がっているとした上で、EUとイスラエルの間で結んだ貿易などに関する協定で記された人権を尊重する義務をイスラエルが順守しているか、早急に検証するよう求めました。そのうえで「もし違反しているなら、適切な措置を検討するよう求める」としています。

EUによりますと、イスラエルにとってEUは最大の貿易相手で、AFP通信は「今回の動きはガザ地区で人道危機が深刻化していることに対するヨーロッパの不満の高まりを示し、遠回しではあるが、初めて経済制裁の可能性を示したものだ」と伝えています。