インドネシア大統領選 プラボウォ氏が事実上の勝利宣言

14日に投票が行われたインドネシアの大統領選挙で、ジョコ大統領の政策の継続を訴えたプラボウォ国防相は、非公式の集計で当選に必要な過半数の票を確保したとして、事実上の勝利宣言を行いました。

インドネシアの大統領選挙はプラボウォ国防相、アニス前ジャカルタ州知事、ガンジャル前中部ジャワ州知事の3人が立候補し、14日に投票が行われました。

複数の民間の調査機関などが一部の開票所を抽出して行った非公式の集計によりますと、ジョコ大統領の後継者を自任するプラボウォ氏の得票率が50%台後半と、いずれも当選に必要な過半数を確保したとしています。

これを受けて、プラボウォ氏は14日夜、首都ジャカルタで開いた集会で副大統領候補としてペアを組んだジョコ大統領の長男・ギブラン氏とともに演説しました。

この中でプラボウォ氏は「すべての調査機関の速報値は1回目の投票でのわれわれの勝利を示している。これをすべてのインドネシア人にとっての勝利にしなければならない」と述べて、事実上の勝利宣言を行いました。

ただ、正式な開票結果はおよそ1か月後に発表されることから、プラボウォ氏は「選挙管理委員会による結果の発表を待たなければならない」と呼びかけました。

プラボウォ氏はジョコ政権の政策の継続か改革かが主な争点となる中、首都の移転など主要な政策の継続を訴えて支持を広げました。

プラボウォ氏とは

プラボウォ・スビアント氏は72歳。

陸軍の幹部としてキャリアを重ねたあと、スハルト元大統領の次女と結婚し、軍の最高幹部として独裁的なスハルト政権を支えました。

政権末期には、民主活動家の拉致事件に関与したとして軍籍をはく奪されましたが、軍人時代に培った人脈を生かし巨大なグループ企業を率い、経営者としても成功を収めました。2008年には、みずから政党を結成。2014年と2019年の過去2回の大統領選挙に立候補しましたが、いずれも接戦のすえジョコ大統領に敗れました。

前回の選挙後は、政権基盤の強化を目指すジョコ大統領から国防相として迎え入れられて関係を強め、2期目の政権を支えてきました。3回目の立候補となる今回は、ジョコ大統領の後継者を自任し、新首都への移転やインフラの整備などジョコ政権が打ち出した政策の継続を訴えました。

また、ジョコ大統領の長男で36歳という若さで地方の市長を務めるギブラン氏を副大統領候補にすえるとともに、親しみやすさをアピールするなど、有権者の半数以上を占める40歳以下の若い世代を意識した選挙戦を展開しました。

そして、選挙戦の終盤では、高い支持率を維持するジョコ大統領との関係の近さをアピールし、今月5日までに行われた最新の世論調査では50%あまりの支持率を得て、対立候補の2人を大きく引き離していました。